ニューヨークで20年以上の経験をもつベテラン広告マン、マーク・ダフィ氏(54歳)がつづる、辛口エッセイ。これを読めば米広告業界の裏側がよく見えてくる? 今回のテーマはカンヌ広告祭の内幕話。
ーー賞の選考委員たちは、だいたいがピュブリシス、オムニコム、WPPの三大広告グループのどれかが所有する広告代理店の社員である。2012年、WPPのCEOであるマーティン・ソレルは、オムニコムがいわゆる「ブロック投票」をしたと非難した。つまり、同グループ所属代理店の社員である選考委員が、共謀して自社グループの作品に票を集め、他のエントリ作品を潰したというのである。オムニコム系代理店DDBのワールドワイド・チーフ・クリエイティブ・オフィサーであるアミル・カセイは、これまたびっくりの反応を見せ、わかりやすく言い換えると、「うるさい、ブロック投票したのはそっちだろ!」と返している。