スマートフォンの普及とともに、アプリ内広告のフォーマットも多様化が進んでいる。なかでも「プレイアブル広告」は、ゲームやマンガアプリを運営する広告主から注目を集めている。モバイル広告プラットフォーム、Pangleの稲垣勇登氏にその真価を訊いた。
デジタル広告に「新大陸」があるとしたら、それはアプリ内広告だ。まだ歴史の浅い、この分野にはさまざまな可能性が眠っている。
アプリ内広告のなかでも、いま注目なのが、広告フォーマットのインタラクティブ化だ。以下の図のように、アプリ内広告のフォーマットは、テキストから静止画、動画、そしてインタラクティブと変遷している。なかでも「プレイアブル広告」は、ゲームやマンガアプリを運営する広告主から特に注目を集めており、主にアプリの新規ユーザー獲得に活用されている。プレイアブル広告を活用すれば、広告内でアプリの擬似体験を提供したり、リッチなコンテンツでゲームの内容を明示したのちにダウンロードを促すことから、CTRやCVR、さらにはリテンション率やLTV(Life Time Value)の向上が見込めるという。

アプリ内広告フォーマットの変遷
このプレイアブル広告を強みのひとつとしているのが、TikTok For Businessが展開するモバイル広告プラットフォーム、Pangle(パングル)だ。同社は、率先的に独自の技術を活用してデジタルマーケティングの効果を最大化。プレイアブル広告をはじめとした、インタラクティブ広告の可能性を広げるために取組んでいる。実際に、Pangleを使うことでCTRやCVRの向上が見られた、人気スマートフォンゲームアプリも多数存在している。
「Pangleの強みは、プレイアブル広告をはじめとした豊富な広告フォーマットや、それを低コスト実装できるサービス、加えて自社開発のテクノロジーと、独自のデータを使った広告配信の最適化技術だ」。こう語るのは、PangleのPSO(Product Strategy & Operation Manager)を務める稲垣勇登氏。Pangleの強みとプレイアブル広告の可能性を、事例を参照しつつ同氏に訊いた。

PangleでPSOを務める、稲垣勇登氏
──Pangleとはどういったサービスですか?
Pangleは、モバイル広告プラットフォームとして、モバイルゲームやアプリからの大量の高品質な広告在庫を強みに、TikTok For Businessから広告出稿する広告主、広告代理店様にご活用いただいています。Pangleなら、アプリインストールキャンペーンを目的した広告配信では、最適な配信プレースメント、広告露出の大幅増加、多様な広告フォーマットによるコンバージョンの増加を実現できます。
現在は13カ国で展開しており、特に日本、韓国、東南アジアを含むアジアにおける最大級のモバイル広告プラットフォームのひとつにまで成長しました。また、2020年9月に広告事業全般をリブランディングしたのに伴い、ロゴデザインを一新し、さらなる成長と飛躍を目指しています。
──Pangleの特徴、強みは何でしょうか?
豊富な広告フォーマットや、TikTokやBuzzVideoでも活用されている自社開発のテクノロジーと独自のデータを活用した、広告配信の最適化技術です。これにより、ターゲットに最適な広告を配信できます。また、現在日本において、リーチ可能なネットワーク全体でのDAUは5100万と、オーディエンスの規模感が大きいのも強みのひとつです。
加えて、運用に関するクライアントサポートの手厚さも、我々の強みのひとつです。広告の配信パフォーマンスや、日々の予算消化状況をモニタリングさせていただくほか、定期的に代理店様と広告主様に、パフォーマンスに関する課題感のヒアリングを実施しています。そこでのフィードバックやデータは、私が所属するPSO(Product Strategy and Operation)チームにフィードバックし、それを基に本社の開発チームと議論をしながらプロダクト改善を行います。
──Pangleの広告主は、現在どのような業種が多いですか?
現状は、特にゲームやマンガアプリを運営する広告主様にご利用いただくことが多いです。というのも、プレイアブル広告をはじめとした、我々が提供する広告フォーマットはこうしたアプリとの相性が高いからです。
ただ今後は、異なる分野の広告主様――たとえばファイナンス系アプリ、ライブストリーミングアプリ、レーティングアプリ、さらにはeコマース系アプリなどの広告主様にもご利用いただけるよう、新機能の搭載や改善を進めるつもりです。
──そのプレイアブル広告の特徴を教えてください
プレイアブル広告は、広告のなかでアプリを疑似体験できる広告フォーマットです。アプリのコア部分を、ダウンロードすることなく広告上で体験できるのが、最大の提供価値です。ダウンロード前に「お試し体験」を挟むことで、ユーザーが抱える広告への忌避感を低減し、ダウンロード後の態度変容にも良い影響を与えるソリューションです。
2020年にTikTok For Businessが発表した調査データによれば、動画広告は静止画広告よりも10倍も効果的であるとされています。そして、プレイアブル広告はその動画広告の、さらに3倍も優位性がある。実際、トラフィック獲得、CTR、CVR共に期待を超える実績を生み出しています。
──Pangleのプレイアブル広告ならではの強みは?
大きく分類すると、分析の精度向上と広告コストの削減が挙げられます。
まず分析の精度向上ですが、Pangleでは、画面タップからロード、プレイ、コンバージョンまで、オーディエンスが行う一つひとつの操作ごとに、データ分析を行うことができます。広告主様は、そうしたきめ細やかで客観的なデータをもとに、広告クリエイティブやキャンペーン戦略に関して、正確な分析を行うことができます。
また、コスト削減が見込める理由はふたつあります。ひとつは、CTR、CVRが大幅に改善されることで、より短い期間、少ない予算でユーザー獲得が実施できます。もうひとつは、Pangleが提供するクリエイティブ制作コストを低減するための、ツールやソリューションの存在です。通常プレイアブル広告のクリエイティブコストは高いことが多いのですが、これを活用することで、制作コストの抑制が可能です。
──制作コストを抑制できるのは嬉しいですね
はい。プレイアブル広告自体は2015年頃から利用されはじめており、現在は人気の広告フォーマットのひとつになりつつあります。しかし一方で、クリエイティブ制作にかかるコストが大きなボトルネックとなっており、我々が期待したスピードでの普及には至っていません。
通常、プレイアブル広告のクリエイティブは、コードで実装して入稿する必要があります。そのため、代理店様や広告主様の開発工数が発生します。
そこでPangleでは、プレイアブル広告を出稿したことがある代理店様・広告主様向けと、広告出稿したことがない代理店様・広告主様に向けて、簡単に、かつ、効率的にプレイアブル広告を作れるように、それぞれに適したツールを開発しました。
プレイアブル広告を出稿したことがない代理店様、広告主様向けには、「インタラクティブテンプレート」を用意しています。この機能を使えば、コード実装の手間もなく、クリエイティブをわずか15分で制作できます。一方、プレイアブル広告を出稿したことがある代理店様、広告主様向けには、「アダプションツール」という機能を提供しています。これを使えば、他社のアドネットワークや広告媒体で利用している、プレイアブル広告のクリエイティブファイルを、Pangle用に自動変換して配信可能です。

インタラクティブプレートの使用画面
──具体的な成功事例はありますか?
女性向けRPGゲーム『宮廷女官~最強悪女を育成~(以下、宮廷女官)』と、タップゲーム『豆腐少女』の事例を紹介します。
『宮廷女官』は、華やかな古代の宮廷を舞台とした女性向けRPGゲームで、リリースされたのは2018年4月。それ以降、日本の無料モバイルゲームトップ100にも入るなど、安定した人気を維持してきました。しかし特定のメディアでの配信期間が延びれば延びるほど、CTRやCVRは伸び悩むので、新規のメディアを開拓する必要性が出てくる。そこで、Pangleをご利用いただきました。
結果として、プレイアブル広告のインタラクティブなクリエイティブが鍵となり、CTRが150%向上したほか、プレイアブル広告導入前後で比較して、210%のトラフィックを獲得するに至りました。なお、このプレイアブル広告の制作には、前出した「インタラクティブテンプレート」が利用されています。
一方『豆腐少女』も、2019年11月にリリースされてから、瞬く間に人気となったゲームアプリ。女の子のキャラクターを画面タップでジャンプさせ、次々と出現する弾力のある豆腐のブロックの上に着地させていくという、ユニークな内容になっています。結果は、CTR、CVRの両方が増加。特に、CVRは、非プレイアブル広告(イメージ広告や動画広告)と比較して、その3倍の獲得を達成しました。

『豆腐少女』のクリエイティブ
──成功要因はどこにあると思いますか?
『宮廷女官』に関しては、クリエイティブのなかに、どのようなゲームアプリなのかをしっかり盛り込んだ点にあります。キャラクターの衣装や風景などのディテールも非常に細かく、実際のゲームアプリと遜色ない世界観を展開しており、そのリッチさが広告パフォーマンスにつながったと考えます。
一方『豆腐少女』は、そもそもが非常にシンプルなゲームアプリなのですが、体験のコア部分をクリエイティブに実装したのが、一番の訴求ポイントでした。シンプルだからこそ、体験プレイですぐにゲームアプリの楽しみ方を理解できるし、「もっと遊びたい」と思わせることができた。さらに、「面白かった」という広告は、インストール後の継続率やアプリ内での課金傾向にも、好影響を及ぼすことがわかっています。
これらふたつの事例から、インタラクティブな要素を盛り込むことと、アプリの世界観をしっかり表現することが、プレイアブル広告活用のポイントといえるでしょう。
──今後の展開を教えてください
ローンチ以来、さまざまなご要望をいただいています。特に、アプリのインストール目的で配信される広告主様からは、新規ユーザーのLTVを向上させたい、ROASを改善したい、というものが多いです。それを受けて2021年上半期は、リテンション最適化機能や、アプリ内の購入イベントに対して直接最適化をして入札を行う機能のリリースを予定しています。
こうしたアップデートを推進力にしながら、特に、プレイアブル広告に関しては、Pangleの代名詞となり得るサービスとして、今後も広告主様への手厚いフォローとともに強化していきたいと思っています。
※Pangleは、広告主様・代理店様向けに、広告パフォーマンスを上げていく以外、アプリデベロッパー様向けにも効果的なモバイルアプリの収益化サービスを提供しています
Sponsored by Pangle/TikTok For Business
Written by DIGIDAY Brand STUDIO(内藤貴志)
Image by Pangle