メイシーズ(Macy’s)は9月、一部の地域で無料の即日配送サービスをテストすると発表した。10月1日より30の地域で、75ドル以上の注文品を無料で即日配達するという。通常、メイシーズはこのサービスに8ドルの配送料を課している。メイシーズは以前から、デリブ(Deliv)と提携して即日配送サービスを提供してきた。
ウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)などの大手スーパーマーケットは、Amazonによって作り出された消費者の高い期待に応えるため、さまざまな配送オプションを積極的に導入してきた。その一方、ホリデーシーズンを控えたいまデパート各社も、他社に負けない迅速な配送オプションを提供できることを消費者にアピールしようと取り組みを強化している。
メイシーズ(Macy’s)は9月、一部の地域で無料の即日配送サービスをテストすると発表した。10月1日より30の地域で、75ドル以上の注文品を無料で即日配達するという。通常、メイシーズはこのサービスに8ドルの配送料を課している。メイシーズは以前から、デリブ(Deliv)と提携して即日配送サービスを提供してきた。
今回、無料即日配送のテストをいつまで行うのか、メイシーズは明らかにしていない。だが、調査会社イーマーケター(eMarketer)のアナリスト、アンドリュー・リップスマン氏は今回のテストを、ホリデーシーズンの買い物客を呼び込むための一時的な戦略と考えている。
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「ホリデーシーズンは、あらゆる企業にとって勝つか負けるかの大勝負だ。メイシーズのようなデパートにとっては特にそうかもしれない」と、リップスマン氏は話す。さらに同氏は、クリスマスが近くなるほど、買い物客はオンラインの注文品が予定どおりに届くという確信を持てなくなると述べたうえで、「約束した期日に配送できる体制をもっともうまく整えた小売業者が支持されことになるだろう」と語った。2018年のメイシーズは、11月~12月の売上高が前年同期比で1.1%の増加にとどまり、ホリデーシーズンとしては同社でもっともさえない記録だった。
ライバルたちの動き
一方、ライバルのノードストローム(Nordstrom)は、9月に入ってニューヨーク市に2つの店舗をオープンした。これらの店舗は、オンラインの注文品をピックアップする拠点として機能する。同社にとって、ニューヨーク市はオンラインの注文がもっとも多い場所だ。また、最大の市場であるロサンゼルス市では、翌日配送可能な商品の在庫が2018年の7倍に増加したと、共同社長のエリック・ノードストローム氏は第2四半期の決算報告の場で述べている。同じくライバルのコールズ(Kohl’s)は、より多くの顧客に対し、オンラインで購入して店舗で商品を受け取るか店舗から商品を出荷するオプションの利用を促している。CEOのミシェル・ガス氏は前回の決算報告で、デジタル注文の40%が店舗で処理されたと語っていた。
これまで、即日配送がもっともよく利用されるのは、食料品などの傷みやすい商品だった。だがAmazonは、実店舗を持つすべての小売業者に商品の配送を早めるよう求めている。
「あなたが消費者で、あらゆる商品をAmazonで注文することに慣れているなら、取り扱っている製品が違うとはいえ、メイシーズなどの小売業者が注文をすぐに配送できないことを奇妙に感じるだろう」と、ピュブリシス(Publicis)の最高商業責任者、ジェイソン・ゴールドバーグ氏は指摘する。
また、ターゲットやウォルマートのような大規模スーパーが、デパートからますます多くの買い物客を奪うなかで、衣料品の品揃えを拡充した。食料品やクリーニング用品をターゲットに即日配送してもらうことに慣れきった顧客が、かつてデパートで買っていたキッチン用品や衣料品までターゲットで注文するようになれば、デパートにとっては顧客を失うリスクがさらに高まる。
永遠に行うのは難しい
メイシーズは、2014年からデリブのサービスを使って即日配送オプションを提供している。だが、注文時に即日配送オプションを提供している顧客の数は明らかにしていない。ガートナーL2(Gartner L2)の研究員、エヴァン・マック氏によれば、メイシーズはここ数年、ウェブサイトで即日配送オプションを宣伝する回数を増やしており、いまでは注文当日の配送や店舗でのピックアップに対応した商品を検索できる機能を顧客に提供しているという。
とはいえ、すばやい配送オプションの提供だけでは、顧客にメイシーズを選んでもらうための戦いは道半ばだ。メイシーズは、費用対効果の高い方法でこのオプションを提供できる方法を見つけ出す必要もある。メイシーズの最高財務責任者であるポーラ・プライス氏は、2018年には商品計画を見直すことで配送コストの増加を相殺できたと述べていた。だが、そのようなやり方を永遠に行うのは難しいだろう。
今回のテストでメイシーズは8ドルの配送料を引き下げたが、コストの一部を相殺するには75ドルの最低注文金額を設定しているだけでおそらく十分だと、イーマーケターのリップスマン氏は考えている。
「市場はいま、こうした(最低注文金額を設ける)方向に向かっている。したがって、小売業者がそのような即配オプションをうまく提供できれば、それだけスムーズに移行を進められるようになる」と、リップスマン氏は語った。
Anna Hensel(原文 / 訳:ガリレオ)