「スニーカーマニアの市場は、驚くほど活気が戻っている」:StockXのCMOディーナ・バーリ氏

このたびのコロナ危機で落ち込んだ売上を、StockX(ストックエックス)は早くも取り戻している。同社は、さまざまな商品――主にスニーカー――の適正価格での売買を仲介するマーケットプレイスだ。

「我々の取引市場には、驚くほど活気が戻っている」と、StockXのCMOディーナ・バーリ氏は、米DIGIDAYの兄弟サイトであるモダンリテール(Modern Retail)のポッドキャストシリーズで語った。「4月半ばには通常の、もっといえば、通常以上の購買行動が見られるようになっていた」。

しかもこれは、バーリ氏いわく「目に見える成長に貢献しないすべて」の支出をカットしたうえでの現象だ。StockXは実際、リニアTVへの支出やカルチャーイベントでのマーケティング費を大幅に削減した。

「マーケティング費に関して非常に保守的な姿勢をとったわけだが、ありがたいことに、いまのところビジネスに悪影響は出ていない」とバーリ氏は語る。

デトロイトを拠点とする同社は、2015年、スニーカーの取引市場として創業した。その後、ほかのストリートウェアや時計、トレーディングカード、電子機器なども扱うようになったが、主軸がスニーカーであることに変わりはない。

熱狂的スニーカーコレクター、いわゆるスニーカーヘッズをはじめとする消費者は現在、スニーカーを堅実な投資先と見なしているようだ。StockXは実際、株式市場と同様の仕組みを取り入れており、ホームページ画面の下に各シューズの相場が表示される。「これはトレンドを予測する我々のパートナーも示唆しており、我々自身の観察結果でもあるのだが、こういう時は、堅実な投資となる商品を、クラシックを、時の試練に耐えるアイテムを購入する傾向がなおいっそう高まる」とバーリ氏は語る。

以下にいくつか抜粋を紹介する。なお、読みやすさを考え、発言には少々編集を加えてある。

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エクスクルーシブイベントは今後NG

「今回のドキュメンタリー公開を盛り上げるため、当初はLAで大きなイベントの開催を考えていたが、方針を変えざるをえなくなり、そこでデジタルに切り替えた。幸い、視聴数は数十万に上り、各種メディアにも数多く取り上げてもらえた。当初の意図からはかけ離れてしまったが、オンラインにしたことで、結果的にエンゲージメントの高いイベントになってくれた。特定の都市の人々しかアクセスできない、エクスクルーシブなものを想定していたイベントが、一転、米国中の、いや世界中の人々に開かれたものになった。オンラインならば、誰もが自宅からアクセスできる。LAの小規模な場での公開というきわめてフィジカルなイベントを、オンライン化を余儀なくされたおかげで、すべての人々が利用できるものにできた。これは間違いなく今後の指針となる」。

eスポーツへの方向転換

「言うまでもなく、スニーカー業界にとってスポーツの存在はきわめて大きい。我々も(NBAのチーム)クリーブランド・キャバリアーズや(NBA)オールスターゲームなど、多くのブランドと提携しており、それが毎年の活動の大きな部分を占めている。しかし、そうしたスポーツの休止状態が続くなか、我々も方向転換を迫られ、そこで目を向けたひとつがオンライン化[によるeスポーツ]であり、これは今日のZ世代の動向やゲーム人口を考えれば、きわめて時宜を得ている。いや、目を向けるのが少々遅かったと言えなくもないが、いずれにせよ、目の前にまったく新たな世界が開けた。おかげで、スケールおよびリーチの新たな機会が数多く生まれた。オールスターイベントでのように、商品に直接触れることはできなくなるが、また別の形で我々とエンゲージしてもらえるはずだ」。

クラシックの時代

「[マイケル]ジョーダンと(シカゴ)ブルズの黄金期を追ったドキュメンタリーシリーズ、『ラストダンス(The Last Dance)』は間違いなく、この業界に莫大な影響を及ぼした。あの配信以来、クラシックと讃えられる逸品スニーカーの再発売や再々発売が続いた。それらはいまも圧倒的な人気を誇っている。この現象は、我々の市場に広く見られる消費者の思考の変化を反映している――クラシックと呼ばれる、投資に値する商品への回帰だ。これはトレンドを予測する我々のパートナーも示唆しており、我々自身の観察結果でもあるのだが、こういう時は、一時の流行で終わると思われる贅沢品ではなく、堅実な投資となる商品を、クラシックを、時の試練に耐えるアイテムを購入する傾向がますます高まる」。

Pierre Bienaimé(原文 / 訳:SI Japan)