「『これ全部、自動化にならないのか?』と平気で言う」 : 米パブリッシャー・プロダクト担当者たちの本音

デジタルメディアのプロダクトに携わるのは、種類の異なる帽子をいくつも被っているのと変わらない。

それゆえ、広告からサブスクリプション、エンゲージメント、プラットフォーム、データに至るまで、山と積まれた問題と対峙させられることは少なくない。

チャタム・ハウス・ルールのもと、米DIGIDAYが開催したパブリシング・プロダクト・リーダーズ・リトリート(Publishing Product Leaders Retreat)では、参加者が上記すべてに関する苦労を歯に衣着せずに語ってくれた。

ニュースに課金してもらう苦労

「非サブスクライバーについてかなり調べたのだが、彼らはやはり、ニュースを無料で読めるものとしか考えていない。ところが、我々が提供しているのはニュースじゃない、そこが問題だ」。

「今後、人々はサブスクリプションを取捨選択することになる。我々はいつだって、Apple Music(アップル・ミュージック)、Spotify(スポティファイ)、Netflix(ネットフリックス)の下だ」。

「市場はサブスクリプションで溢れている。飽和状態もいいところだ」。

「ニュースは無料が当たり前だ、と信じて疑わない人がいまだに多い。いま手にしようとしているそれは、よそでは決して手に入らない、という事実を絶えずリマインドする必要がある」。

リソース不足

「ペイウォールは改善したいが、そのためのデータインフラストラクチャーがない」

「ペイウォールのせいで、最適化はきりがない」

「いまや何でもかんでもEBITDAだ。たとえば、ROIがすぐに望めると証明できれば、うちのCFOは200万ドル(約2億円)でも、その場でぽんと出してくれる。でも、分析的なことを支援するのに毎月400ドル(約4万円)要るというと、渋い顔で、『うーん、ちょっと考えさせてくれ……』と返される」

習慣の構築

「マガジンタイプのジャーナリズムには、習慣を構築するプロダクトの提供という困難がついて回る」

広告モデルとサブスクリプションモデルのバランス

「うちのサイトは美しい広告だらけだから、下に隠れたコンテンツを見つけるのは、ひと苦労だろうな」

データ絡みの問題

「データの信憑性を裏付けると謳うソースが複数あり、いずれにも整合性がない。無理やりひとつにまとめることもできるが、数字が合わないし、どうしようもない。こちらが使いたいメトリクスと、広告主が使いたいメトリクスが違うのが問題だ」

「データマイグレーション(移行)は世界最低の悪夢と言える。自動でできると思っているかもしれないが、そんなにうまくは行かない……というか、まるでダメだ」

「データについては、何かしらの標準化が必要だ。比較材料のデータがバラバラの状態では、買ったり売ったりするものが信頼に足るかどうか、確認のしようがない」

「オフプラットフォームデータは大きな問題だ。というのも、データは完全に繋がっていると誰もが思っているからで、逆に言えば、実際には違うのに、繋がっていると、いくらでも嘘をつける」

「データのことをよく知らない人はみんな、『これって全部、自動化にならないのかね?』とか、平気で言ってくる」

「識別できているユーザーが1割でもいるところって、あるんですかね?」

デジタルファースト?

「[雑誌を]一号刊行するには、とんでもない時間がかかる。なのにみんな、その苦労も知らないで、『で、おたくは、デジタルはどうするつもり?』とか、平気で訊いてくる」

「新聞の印刷版からデジタル版への移行は、形の上では成功した。でも、我々作り手の考え方自体は、何も変わっていない」

エディトリアルに関する諸々

「アルゴリズムにモバイルアプリをプログラムさせるように説得できたのは、たった半年前のことだ」

「[エディターは]こちらの望みをすべて知っているかのように振る舞う。何を望んでいるのか、そもそもこちらがわかっていないのに」

「カスタマージャーニーマップの作成とユーザーテストの実施は、社内のステークホルダーを理解へと至らせるのに役立つと思う」

「何にせよ、とにかくドルマークを付けると、みんなすぐに大騒ぎする」

コミュニティ

「コミュニティ的なものは壊せない。かなり昔、うちにはFacebookのグループがあったんだが、それが我々のウェブサイト上のフォーラムに発展した。どうしたものか、正直、途方に暮れている」

「コミュニティの構築は、必要だと思う。熱心な読者がいるだけでも、十分なのかもしれないが」

陰のプロダクト

「これはセールスチームだけの話じゃない。収益最適化部門(RevOps)にも、広告運用部門(AdOps)にも言える。陰のプロダクト変更が頻繁に行なわれている可能性がある。『JavaScriptのここをちょっとだけ。大丈夫、大勢に影響はないからさ』とか」

プラットフォームアドベンチャー

「Amazon Skillストアに商品をアップロードするたび、10年前かよ、と突っ込みたくなる。一体全体、どこに行ったらいいんだ? 誰か手助けしてくれる人はいないのか?」

「eメールにはビューアビリティメトリクスがない。だから、『これは100%ビューアブルです』と断言できる」

「Apple News(ニュース)には長いことフォーカスしていない。何の収益ももたらしてくれないからだ」

「Apple Newsから速報が毎週送られてくる。これだけの人数がおたくのコンテンツを見ましたよ、と。その数が毎週、どんどん増えているんだ。で、こちらとしてはふと、心配になる。『そのうち、この人たちはみんな、我々のサイトに直接来てくれなくなるんじゃないか?』って」

Max Willens(原文 / 訳:SI Japan)
With contributions from Brian Morrissey and Aaron Gottlieb