Glossy+リサーチブリーフィングでは、ファッションと美容のリサーチからのインサイトをキュレーションしてお届けする。
今回は、GlossyのYouTubeインフルエンサー・インデックスと、マーケターがどのように長尺のソーシャルメディア・コンテンツを作成し、インフルエンサーをイベントに活用しているのかに着目したケーススタディから、注目すべき点を紹介する。
長尺動画がブランドにとってより有意義なオンラインエンゲージメントを生み出している
エッセンスコスメティックス(Essence Cosmetics)は、TikTokを皮切りに長尺動画コンテンツに投資している。このメイクアップ会社は、クリエイティブエージェンシーのムーバーズ+シェイカーズ(Movers + Shakers)と提携し、ロサンゼルスでIRLの授賞式を開催する。この授賞式は直接録画され、エッセンスのTikTokページのコンテンツとして活用される予定だ。今回のキャンペーンは、同ブランドの米国での認知度を高めるための取り組みである。ブランドはTikTokで高い支持を得ているが、NYXやE.l.f.コスメティクス(E.l.f. Cosmetics)などの競合他社に遅れをとっている。
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Glossy+リサーチブリーフィングでは、ファッションと美容のリサーチからのインサイトをキュレーションしてお届けする。
今回は、GlossyのYouTubeインフルエンサー・インデックスと、マーケターがどのように長尺のソーシャルメディア・コンテンツを作成し、インフルエンサーをイベントに活用しているのかに着目したケーススタディから、注目すべき点を紹介する。
長尺動画がブランドにとってより有意義なオンラインエンゲージメントを生み出している
エッセンスコスメティックス(Essence Cosmetics)は、TikTokを皮切りに長尺動画コンテンツに投資している。このメイクアップ会社は、クリエイティブエージェンシーのムーバーズ+シェイカーズ(Movers + Shakers)と提携し、ロサンゼルスでIRLの授賞式を開催する。この授賞式は直接録画され、エッセンスのTikTokページのコンテンツとして活用される予定だ。今回のキャンペーンは、同ブランドの米国での認知度を高めるための取り組みである。ブランドはTikTokで高い支持を得ているが、NYXやE.l.f.コスメティクス(E.l.f. Cosmetics)などの競合他社に遅れをとっている。
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同ブランドの親会社コスノバ(Cosnova)のチーフマーケティングオフィサー、ジル・クラコウスキー氏によると、授賞式で制作されたコンテンツは10月中旬に投稿される予定だという。「ムーバーズ+シェイカーズは、TikTokでは短いものだけでなく長尺のコンテンツが現在注目され始めていると教えてくれた。非常に魅力的なものを作ることができれば、人々に滞在し視聴してもらえると言われた」と、クラコウスキーは述べた。同ブランドが投稿するコンテンツの正確な長さは未定だが、クリップの長さは1分半程度になるとみられている。
この傾向は、Glossy+リサーチのYouTubeインフルエンサー・インデックスでも観察されており、より長い動画の方が視聴者の注目をもっとも集め、エンゲージメントを引き起こしている。15分から30分の動画は、それよりも長い動画や15分より短い動画にくらべて平均して再生回数が多い。特に、視聴者は他のプラットフォームで見られる動画よりも、よりクリエイティブにキュレーションされた動画や有益な動画を求めてYouTubeを利用している。
Glossyの分析によると、YouTubeに長尺のスポンサードコンテンツを投稿すると、より注意深いオーディエンスがその動画や場合によってはブランド自体と関与しようとするという結果をもたらす。逆にマーケターはTikTokで苦戦しているが、TikTokでは視聴者に対してキャッチーで短い動画が次々とフィードに流れていくため、スポンサーシップのインパクトが薄れてしまうからだ。すぐに忘れ去られるクリップには、最低限の価値しかない。現在、TikTokではより長い動画が選択できるようになり、ブランドはTikTokで有益でキュレーションされた長尺コンテンツを試し始めている。
主な調査結果:
・エッセンスは米国でのブランド認知度を高めるため、長尺のTikTokコンテンツを実験している。同ブランドは消費者、特に忠実なファンに30秒以上エンゲージすることを期待している。
・YouTubeの視聴者は、他のプラットフォームで見られる動画よりも、よりクリエイティブにキュレーションされた動画や有益な動画を求めてYouTubeを利用している。15分から30分の動画は、それよりも長い動画や15分より短い動画よりも平均して再生回数が多い。
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グッチはケンダル・ジェンナー氏やバッド・バニー氏と組み、フェンティのスーパーボウルの瞬間のようなブランドの話題作りを目指す
自社製品に関する自然な話題と会話を生み出すために、ブランドは引き続きみずからを大きなポップカルチャーの瞬間に関連させようとしている。ラッパーのバッド・バニー氏とスーパーモデルのケンダル・ジェンナー氏を起用したグッチ(Gucci)の最新キャンペーンは、この新しいセレブリティカップルのデビュー作となった。2人の交際は数カ月前からネット上で憶測が囁かれていたが、グッチは、1月からネットに出回っていたパパラッチの写真を連想させるような、このカップルを空港でカジュアルに撮影した写真を使い、新しいキャンペーンにネットでの話題を生かすことができた。
グッチは10月1日に、キャンペーンの写真5枚とリールをインスタグラムに投稿した。合計6つの投稿には、10月3日の時点で約440万件の「いいね!」がついた。もっとも人気のある投稿は120万以上の「いいね!」と4500以上のコメントを獲得している。
Glossy+リサーチでは、ブランドがどのようにインフルエンサーとイベントを組み合わせて認知度を増幅させたかという点に関する最近のケーススタディで、スーパーボウルのような大規模な文化的イベントを通じて同様のポジティブなブランドの印象が創出されることを観察している。
たとえば、リアーナ氏は今年のスーパーボウルのハーフタイムのパフォーマンスで、フェンティビューティ(Fenty Beauty)やサヴェージxフェンティ(Savage x Fenty)など、自身のフェンティブランドのプロモーションを行っている。スーパーボウルは毎年のファン層と視聴率をすでに確立しているため、フェンティはキャンペーンをプロモーションするために他の方法に投資する必要はなかった。その代わり、同社はリアーナにステージ上でパウダーを塗り直してもらうなど、自然なブランドのタッチポイントをパフォーマンスに織り込んだ。また、フェンティビューティは、NFLのリポーターであるエリン・アンドリュース氏と、歌手で女優のシェリル・リー・ラルフ氏に同ブランドの製品を使用してもらい、インスタグラムのストーリーの舞台裏動画で紹介した。
「(こうした例は)ブランド色をあまりに派手に押し付けることなく、フェンティを統合する非常に見事な方法だ」と、クリエイティブ・インフルエンサー企業のエージェンシー・ワカモレ(Agency Guacamole)のプリンシパルビラル・カイザー氏は述べた。
フェンティビューティはまた、ブレットマン・ロック氏(@bretmanrock、TikTokのフォロワー数1520万人)、ミケイラ・ノゲイラ氏(@mikaylanogueira、TikTokフォロワー数1460万人)、ゴロリア・ジョージ氏(@golloria、TikTokフォロワー数110万人)、ステファニー・バレンタイン氏(@glamzilla、TikTokフォロワー数170万人)など人気インフルエンサーのスーパーボウルへの旅行のスポンサーも務めた。ブランドの「フェンティボウル(Fenty Bowl)」の週末にアリゾナを訪れたインフルエンサーたちは、スポーツファンもそうでない人も含む何百万人ものフォロワーを、一連のイベントやフェンティが提供するホテルの部屋へ招待した。
グッチと同様に、フェンティビューティはリアーナ氏のセレブリティとしてのパワーとそのブランドのインフルエンサーパートナーを活用し、オーディエンスとの会話をリードした。同様に、バッド・バニー氏とケンダル・ジェンナー氏の関係は数カ月間注目の話題となっていて、忠実なファンらは2人の私生活を垣間見ることを熱望していた。そして今、私たちはひとつのことを知っている。そう、この2人は、グッチを着ているのだ。
主な調査結果:
・バッド・バニー氏とケンダル・ジェンナー氏という超大物セレブリティを起用したグッチの最新キャンペーンは、インスタグラムの6つのグリッド投稿で440万以上の「いいね!」を獲得し、ブランドに多大な注目を集めた。
・リアーナ氏はスーパーボウルのハーフタイムパフォーマンスを、フェンティブランドのプロモーションに活用した。スーパーボウルは毎年のファン層と視聴率が確立しているため、フェンティはキャンペーンを宣伝するために他の方法に投資する必要はなかった。その代わりに同社は、リアーナがパフォーマンス中にフェンティビューティの製品を使うなど、自然なブランドタッチポイントをパフォーマンスに織り込んだ。
DANIA GUTIERREZ(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)