メイクアップブランドのユースフォリアは色が変化するチークとプリゲームプライマーがバイラルになり、「TikTokで有名なビューティブランド」と呼ばれている。TikTokでの製品動画の再生回数は100万回を超え、同ブランドのハッシュタグは3300万回以上視聴され、すでにアルタビューティで取り扱われている。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
メイクアップブランドのユースフォリア(Youthforia)は色が変化するチークとプリゲームプライマー(Pregame Primer)がバイラルになり、「TikTokで有名なビューティブランド」と呼ばれている。TikTokでの製品動画の再生回数は100万回を超え、同ブランドのハッシュタグは3300万回以上視聴されている。また、創業からわずか1年だが、すでにアルタビューティ(Ulta Beauty)で取り扱われている。
TikTokでの成功にもかかわらず、同社の創業者兼CEOのフィオナ・チャン氏は1月初めにメタ(Meta)のイベントに参加し、競合プラットフォームであるインスタグラムリールの可能性を大きく宣伝した。同氏は、売上に関して言えば、ユースフォリアにとって「コンバージョン率がもっとも高いオーガニックコンテンツのソース」であるのはリールだと述べた。
Advertisement
データ追跡の減少にともなうマーケティングの変化
メタの広告収入は、Appleの新しいデータ追跡のオプトイン要件により打撃を受けた。現在、メタは、劇的に減少したデータ追跡を使ってインスタグラムとFacebookでのマーケティングを通じて達成できることをブランドに示そうとしている。12月に開催されたプレスとのZoomパネルディスカッションで、メタはインスタグラムで成功を収めたブランドの1社としてユースフォリアを取り上げた。
このディスカッションで、メタのコマースビジネスグループのバイスプレジデント、キャサリン・シェプリー氏は「いまは間違いなく、ビジネスにとってダイナミックで挑戦的なときだ」と述べている。「キャンペーンを測定することがますます難しくなっているのは理解しており、多くの場合、それはAppleの変更により過少報告されていることが原因だ」。
Glossyのパートナーパブリケーション、Digidayのリサーチによると、エージェンシーのプロフェッショナルの42%が第3四半期にインスタグラムが「クライアントのマーケティングの成功を後押しする」と「確信している」と回答した。これは今年の第1四半期の49%からの減少だ。インスタグラムは信頼を推進するプラットフォームとして第1四半期の3位から第3四半期には5位になった。一方、Facebookは第1四半期から第3四半期まで2位を維持しており、51%がFacebookへの信頼を示している。
第3四半期の決算でメタは7月〜9月の収益が前年同期比で4%減少したと報告。それを受けて同社は11月に1.1万人の従業員を解雇している。
アプリがデータを追跡する前にユーザーの許可を求めることを義務づける、iOSに関するAppleの新しいプライバシー規則は2021年4月に発効した。アプリの収益化スタートアップであるフラーリー(Flurry) のデータによると、現在、アプリの追跡の許可を選択しているユーザーは約25%にすぎなという。
シャプリー氏よると、メタは、この変更発効後の期間を「ブランドがペイド戦略とオーガニック戦略の組み合わせに依存している」という「コミュニティへの直接(アクセスの)」時代と定義しているという。メタはブランドにリールの使用を強く奨励しており、リールの使用は、Facebookとインスタグラムで毎日1400億回再生され、6カ月前から50%増加していることを強調している。
「ビジネスは、ある意味クリエイターのようにふるまっており、オーガニックコンテンツを使って顧客からのフィードバックを集めている」とシャプリー氏は語っている。
オーガニックなリール投稿を広告で補うユースフォリア
ユースフォリアの場合、それはオーガニックなリール投稿にフォーカスすることを意味し、「それが当社によるものであろうと、顧客やインフルエンサーによるものであろうと、リール投稿を広告で補っている」とチャン氏は語っている。また、ユースフォリアはいまでも可能な場合にはターゲティングを使っている。たとえば、クレドビューティ(Credo Beauty)とアルタビューティ(Ulta Beauty)でローンチした際には、地理位置情報を利用して店舗の近くに住む顧客にインスタグラム広告を表示した。
ユースフォリアのほかに、ボディケアブランドのソフトサービシズ(Soft Services)の共同創業者、レベッカ・チョウ氏は、同社もTikTokよりもリールからの売上が多かったと昨年6月に述べている。
しかし、入手可能なデータが限られているため、ユースフォリアはコンテンツ自体にもっとフォーカスしており、投稿のアイデアはインスタグラムDMに頼っている。
「もっとも魅力的な広告や最高のパフォーマンスを発揮する広告の多くはコミュニティ主導の質問から生まれた」とチャン氏。さらに、「製品を開発した理由や創業者としての経験など特有なことを共有したときに大きな成長が見られた」。
ブランド向けにアドバイスコンテンツを提供するメタ
メタは、新しい変更に合わせて広告戦略を調整する方法についてブランドに助言するコンテンツを作成している。その一例には、新しい広告セットへの支出を最小限に抑えてクリエイターコンテンツへの投資を増やすなどの5つのベストプラクティスのリストの作成がある。また、ソーシャルショッピング機能や、8月に発表されたAdvantage+プログラムの使用にも注力している。Advantage+プログラムはAIを使って一度に最大150のクリエイティブの組み合わせの広告テストを自動化するものだ。
シェイプリー氏は次のように述べている。「我々はテクノロジーや機械学習、プライバシー強化テクノロジーへの投資にフォーカスしており、それは少ないデータを使いながら優れた広告を提供するのに役立っている」。また、メタは「iOSの変更により昨年9月の15%から約8%まで減少した過少報告のギャップを埋めた」と付け加えた。
[原文:Meta’s ‘new era’ following Apple’s iOS change: ‘Businesses are behaving more like creators’]
LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)