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B2B 予算のデジタル移行で潤う、インダストリー・ダイブ:ビジネスジャーナリズム特化で広告収益増

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新型コロナ禍により騒然とするB2Bメディア界において、ビジネスジャーナリズムに特化する1社、インダストリー・ダイブ(Industry Dive)は好調を続けている。

今年、大半のメディア企業が苦戦を強いられるなか、インダストリー・ダイブは新規バーティカルを2つ立ち上げ、コンテンツスタジオを買収し、2020年の目標に先んじて、前年比+30%の収益増を達成した。同社CEOショーン・グリフィー氏は、その要因として、トラフィック増と広告予算のイベントからデジタルへの移行を挙げる。

「確たる需要を生めるかが鍵」

インダストリー・ダイブ――ファルファリアス・キャピタル・パートナーズ(Falfurrias Capital Partners)が昨年、非公開価格で株式の過半数を取得した――は、きわめて優良な企業だ。収益は6000万ドル(約62億円)、利益率が30%であり、収益の内4000万ドル(約41億円)を主力の広告業が占めている。さらに、今年度の採用数は計画を下回ったものの、全210人の従業員に対し、減給も、一時帰休や解雇も実施しておらず、来年度は大量増員を予定している。現在、記者が80人いるが、グリフィー氏によれば、来年中に20人を新規採用するという。

新たに加わる記者の一部は、バイオ医薬品からトラック運送に至るまで、20にわたる既存バーティカルに配属され、一部は新規バーティカルの立ち上げに携わることになる。氏によれば、手始めとして、来年度第1四半期に1つ興し、その後もいくつか予定しているという。また、今後は自社産バーティカルの育成だけでなく、買収も視野に入れていくという。

次に立ち上げるバーティカルの種類について、グリフィー氏は具体的な言及を避けたが、デジタルテクノロジーによって混乱を来たし、規制の影響をまともに被っている業界にフォーカスしている、とだけ語った。

「衝撃的な出来事が起きるのは、オーディエンスにしてみれば、素晴らしい」と、グリフィー氏は語る。「ただ、一般に予算は厳しくなるが、その場合、パートナーに確たる需要を生めるかどうかが鍵となる」。

デジタル広告収益にフォーカス

大半のB2Bパブリッシャーは往々にして、収益の大部分をイベントのみに依存しているが、インダストリー・ダイブは主に、デジタル広告収益にフォーカスしている。

同社は今年前半、とあるイベント企業の買収計画を破棄したのだが、その先手が功を奏した。この夏、B2B広告主らはこぞって、エクスペリエンシャルマーケティング予算の新たな使い先を探したからだ。市場調査会社イーマーケター(eMarketer)によれば、コロナ禍によるロックダウン開始から間もなく、米B2B広告主の実に43%がイベント用の予算をデジタル広告に回した。

「顧客の多くが予算の支出先を変え、助けを求めてきた」とグリフィー氏。「『我々だけでは解決できない問題の解決に力を貸して欲しい』と」。

この変化の後押しを受け、米B2B広告支出は2019年のそれをさらに上回る伸びを見せた。8月に発表された前出のイーマーケターの調査報告では、今年度の米B2Bデジタル広告支出は2019年度の成長率を超える、23%増の81億4000万ドルと予想している。

またこれにより、リード(見込み客)を動かせるB2Bパブリッシャーは、広告媒体としてもなおいっそう魅力的になった。イベントからデジタルへの予算の切り替えが始まると、その多くはまずデジタルプラットフォームに流入したのだが、それを受けて価格が急騰したと、B2Bエージェンシー、アルティテュード・マーケティング(Altitude Marketing)のチーフストラテジーオフィサー、アダム・スマーツチャン氏は言う。

「CPS(クリック単価)はいま、常軌を逸していると言えるほど高い」とスマーツチャン氏は嘆き、昨年は4ドルだったLinkedIn(リンクトイン)のCPCが、いまは少なくとも10ドルにまで跳ね上がったと語る。「となれば、我々エージェンシーとしては、デジタル予算を投じるにふさわしい、より魅惑的な場所を探すしかない」。

「四半期ごとに購入するなら本物」

オフラインイベントの復活がいつになるのか、いまだ先が見えないなか、インダストリー・ダイブの広告事業は広告主との関係を引き続き深めていくことが予想される。7月、同社はコンテンツマーケティングソフトウェア企業、ニュースクレド(NewsCred)からコンテンツスタジオを買い取り、10月に自社スタジオ、スタジオID(Studio ID)として開業した。スタジオIDは今年度、2000万ドル(約21億円)の収益を担っている。

もっとも、B2B広告市場はB2C市場が被ったほどの大打撃こそ受けなかったものの、後者で起きた事象のいくつかは今年、前者でも見られている。たとえば、グリフィー氏が指摘するとおり、不安定な経済状況のせいで、広告主のコミット期間が以前よりも短くなっているのも、そのひとつだ。

今後、そうした短期的思考が新常態となっていくのか、答えを出すのは時期尚早だが、グリフィー氏によれば、それは間もなく、インダストリー・ダイブの顧客が年間予算の使途/時期に関する協議を始めれば、明らかになるという。

グリフィー氏いわく、「皆が四半期ごとに購入するようなら、それは本物だということだ」。

[原文:‘Help us solve goals that we can’t solve in person’ How Industry Dive soared revenue as B2B budgets

(翻訳:SI Japan、編集:長田真)