GoogleとFacebookはいまだ支配的、だが「限界」は近い?

ここ数年、デジタル広告市場におけるGoogleとFacebookの支配拡大に終わりはないように見えた。だがいま、トンネルの先で光が点滅している。

Amazonとスナップ(Snap)が予想を上回る速さで成長しているため、GoogleとFacebookは今年、市場シェアをはじめて失うと3月に予測して、調査会社eマーケター(eMarketer)はメディアで大きく取り上げられた。これは、GoogleとFacebookは2018年、シェアをやや伸ばすとした昨年9月の同社の予測をくつがえす結果となっている。

インタラクティブ広告協議会(IAB)は5月10日、その予測を裏付けるレポートを発表した。最新の「インターネット広告収益レポート(Internet Advertising Revenue Report)」は、米国におけるデジタル広告支出総額は昨年、前年比21%増で、記録的な880億ドル(約9.7兆円)に達したが、2社によるデュオポリー(複占)のビジネスモデルには限界があることを示した。IABは個々の企業を取り上げていないが、検索広告の市場シェアは2016年の47.7%から2017年の46.2%へと低下し、市場の4分の1を占めるソーシャルメディアは成熟しつつあると述べている。

「両社に成長は見られるが、Googleについては、現時点で市場の成長が倍になる見込みはなく、Facebookについては、第1四半期の成長率はかなり堅調だが、徐々に鈍化すると予想している。全体としては、朗報と見なしている。競合企業が増えるのは、消費者と広告主にとって常に良いことだ」と、eマーケターの予測担当バイスプレジデントであるマーティン・アトレラス氏はいう。

本件についてGoogleはコメントを避けた。Facebookは締め切り前にコメントしなかった。

成長を妨げるもの

AmazonとSnapchat(スナップチャット)は、独占する2社のシェア低下の主な要因と見られがちだ。これまでは、Amazonのデジタル広告の方が、成長ペースが速いものの、基盤は小さかった。Amazonの大きなセールスポイントは、(Googleのように)人々が検索しているものだけでなく、人々が実際に購入しているものを把握している点だ。それに、Amazonは音声対応デバイス市場を支配しているので、音声広告を配信するのに良い立場にある。アトレラス氏によると、Amazonの好調な第1四半期は、市場シェアを獲得するためのさらに強い理由を正当化するかもしれないという。スナップも、市場シェアを少しずつ伸ばしている。プライベートメッセージングアプリを提供する同社は、この1年は苦難のスタートを切っているものの、まだ成長して実験の実績を挙げ、創業してから7年目で(Facebookに7年遅れて)アプローチに磨きをかける時間がある。

Amazonやスナップだけではない。PwC(PricewaterhouseCoopers)米国法人が準備したIABのレポートによると、テレビのシェアが低下したのを受け、昨年はじめて、デジタル広告の売り上げがテレビ(地上波とケーブルの合計)を上回ったという。その分の金がすべてGoogleとFacebookに流入しているわけではない。テレビのシェアは、OTT(オーバーザトップ)動画の成長を犠牲にして成り立っている。一部はGoogle傘下のYouTubeに流れつつあるが、ロク(Roku)やHulu(フールー)も利益にあずかり、Huluを所有する従来型メディア企業は間接的に恩恵を受けている。Facebookのテレビ売り上げに対する挑戦である「Watch(ウォッチ)」は、実績があるというにはほど遠い状態だ。

放送局と、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)やメレディス(Meredith)のような従来型メディア企業も、デジタル広告のインベントリー(在庫)のマネタイズが上手になってきている、とアトレラス氏は語る。

「まだ道のりは長い」

経済は、ワービー・パーカー(Warby Parker)やキャスパー(Casper)のような直販型マーケターにシフトしてきた。現在、直販型マーケターの広告予算の大部分はデジタルに回されているが、成熟するにつれて多様化して、非デジタルメディアにもっと多くの金が注がれるだろうと語るのは、2017年のデジタル広告レポートについて議論するためにIABのウェビナーに参加した、調査会社ピボタルリサーチ(Pivotal Research)のアナリスト、ブライアン・ウィーザー氏だ。

デジタル広告というパイがもっと公平に分配されるのを期待する者は、まだシャンパンの栓を抜くべきではない。大手テック企業はまだ、ほかのデジタル広告セラーすべてよりも優位に立っている。そうした企業は、広告主にとって買い付けしやすく、消費者が多くの時間を注いでいると、ウィーザー氏は指摘する。そのうちに最大手企業に流動的な動きがあるかもしれないが、現在は、そうした企業が以前よりも広告というパイの多くを管理しているという。「GoogleとFacebookは業界を完全に支配している」。

「情勢が変化する初期の兆候を見ているのかもしれないが、広告市場の不均衡に対応するまでには、まだ長い道のりがある」と、デジタルパブリッシャーの業界団体デジタル・コンテンツ・ネクスト(Digital Content Next)のCEOで、2社による複占の批評では信頼できるジェイソン・キント氏は語る。「GoogleとFacebookの信用が低下して、ブランド広告主と規制当局の監視が厳しくなりつつあり、正当な理由で今後数カ月間、それが加速すると思われる」。

Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)