シャーロット・ティルベリーはVRフォーマットを利用したソーシャルショッピング新機能「Shop With Friends」をローンチ。来年には、ユーザーが自分のアバターを作って仮想ストアを歩き回ることができる機能が追加される予定であり、オンラインショッピングの「メタバース」にさらに深く関与することになる。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
VRオンラインストアを立ち上げてから1年、シャーロット・ティルベリー(Charlotte Tilbury)はVRフォーマットを利用したソーシャルショッピング新機能に大いに賭けている。
メタバースで3DのVR購入体験を
「友人と一緒にショッピング(Shop With Friends)」と呼ばれるこの新機能は、11月15日、シャーロット・ティルベリーのVRストアで展開された。それにより、顧客はVRショッピングを体験しながらビデオチャットに4人まで追加できるようになった。ユーザーはメールで受け取るリンクを共有して友人をストアに招くことができ、デスクトップでもモバイルでも利用できる。来年には、ユーザーが自分のアバターを作って仮想ストアを歩き回ることができる機能が追加される予定であり、シャーロット・ティルベリーはオンラインショッピングの「メタバース」にさらに深く関与することになる。
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「『メタバース』とはインターネットの3Dバージョンのようなものだ」。そう話すのは、テックスタートアップ、オブセス(Obsess)の創設者兼CEOのネーハ・シン氏だ。オブセスはティルベリーの仮想ストアのソフトウェアプラットフォームを提供している。「メタバースのほかの重要な要素には、自分がアバターとして擬人化されていること、自分がインターネットのなかにいることを画面上で見ているのではなく、実際に体験しているということがある」。
顧客のフィードバックから生まれた新機能
この新機能のローンチは、友人とZoom通話しながらVRストアにアクセスしているという、ティルベリーが顧客から受け取ったフィードバックがきっかけとなった。
「デジタルイノベーションは我々のあらゆる行動の中心にあるので、このビューティ関連のテックを実現できてワクワクしている」とシャーロット・ティルベリー氏。
シャーロット・ティルベリーの成長・技術担当最高責任者であるコリンヌ・スーヒー氏は、次のように述べている。「我々は常にデジタルファーストのブランドであり、仮想ストア内でこの新機能をローンチすることによって、顧客から利用されるときにはいつでもどこででも没入型の豊かな体験を提供するオムニチャネルビジネスとして成り立っている」。
高まる「メタバース」への関心
「ブランドにもショッピングにとっても、購入する商品は3Dなのでこれは申し分のないフォーマットだ。エクスペリエンスを作り上げることを目指しているブランドには、メタバースは最適だ。したがって、関心が非常に高まっている」とシン氏は言う。
この新機能は、テックのバズワードとなっている「メタバース」としてローンチされた。10月28日、Facebookもメタバースとバーチャルアバターに焦点を当てた「メタ(Meta)」に名称を変更し、話題となった。
メタバースに参入のためにゲームに関与
ファッションブランドはさまざまな方法でメタバースに参入している。成長している選択肢にゲーミングがあることは、バレンシアガ(Balenciaga)が今年9月にオンラインゲームのフォートナイト(Fortnite)でファッションルックの発売を発表したことや、セルフリッジズ(Selfridges)が10月にポケモンとコラボして仮想ショッピング体験を作り上げたことからも感じられる。
また、オブセスは、フォートナイトとロブロックス(Roblox)で機能する仮想ストアの制作に取り組んでいる最中である。
シン氏いわく、「つまるところ、メタバースというのは新しいモールのようなものだ。ゲームをしている人たちは単にゲームをしているのではなく、一緒に時間を過ごして[も]いるわけだから」。
シャーロット・ティルベリーのVRストアにはゲーム機能もあり、店内をクリックして隠しキーを集めるようにユーザーに働きかけている。
同社はまたゲーム関連のマーケティングにも投資しており、今年8月に、ガールゲーマー・eスポーツ・フェスティバル(Girlgamer Esports Festival)のスポンサーになったことを発表している。
パンデミックが加速した仮想ストアビジネスのゆくえ
ブランドたちのメタバースへの関心は、パンデミックにおける店舗の再開によっても鈍化してはいない。
バーチャルショッピングは「以前は、ブランドが実験的な領域として検討するようなものだった。将来的には考えなければならないとブランドは理解していた」とシン氏は言う。「しかし、パンデミックにより大いに加速されて、去年実店舗が再開しても仮想ストアビジネスの速度が遅くなるようなことはなかった」。
友人と一緒にできるソーシャルショッピングに加えて、ブランドたちはアバターベースの仮想ショッピングのほかの用途も考えている。
これについてシン氏は次のように述べる。「この機能を使いたがっているブランドと話し合っているが、これは友人とだけではなく、店舗の販売員やインフルエンサーとのやりとりも容易にしてくれるものだ」。
[原文:Charlotte Tilbury steps further into the metaverse]
LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:小玉明依)