プライベート・エクイティ・ファンドのカーライルグループ(The Carlyle Group)は4月13日、10億ドル(約1095億円)で、クリーンビューティ企業ビューティカウンター(Beautycounter)の株式の過半数を取得した。コロナ禍は美容業界に打撃を与えたが、投資分野は記録的なペースで回復している。
コロナウイルスはビューティ業界に大打撃を与えた。だが、同業界の投資分野は、記録的なペースで回復している。
プライベート・エクイティ・ファンドのカーライルグループ(The Carlyle Group)は4月13日、10億ドル(約1095億円)の評価額で、クリーンビューティ企業ビューティカウンター(Beautycounter)の株式の過半数を取得した。これは、女性向け育毛・養毛ブランドのベガモア(Vegamour)への(別のエクイティファームによる)投資ニュースと日を同じくしており、またパイスキンケア(Pai Skincare)、パーソナルケアブランドであるハンドインハンド(Hand in Hand)、そしてハリーズ(Harry’s)、コンエアー(Conair)といった、ビューティ分野で起きた特筆すべき投資や買収に続く形となっている。
ピッチブック(Pitchbook)のデータによると、ビューティカウンター(Beautycounter)はこれまでに外部から約1億ドル(約109億円)の資金を調達しており、2018年の評価額は4億ドル(約438億円)だった。同社は以前、プライベート・エクイティ・ファンドのTPGから資金調達を受けたが、TPGはカーライルグループが株式を取得したことでその地位を退く予定だ。ムースパートナーシップ(Mousse Partnership)も資金調達ラウンドに参加し、2018年にビューティカウンター(Beautycounter)に投資している。
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ビューティカウンターは、ブランド認知度を高め、オムニチャネル事業の成長を支援する計画を加速させる意向だ。同ブランドは6万5000以上の個人販売員を抱えているが、D2Cであるeコマースと3つの独立店舗を通じて販売している。
「クリーンビューティ」の意味
同ブランドの創設者兼最高経営責任者のグレッグ・レンフル氏は、「カーライルとともに私たちはビューティ業界全体に向けて大きなメッセージを送る機会を得た。『クリーンビューティは(あるべき)未来であるだけでなく、今ここにある存在だ』と。私たちはこのカテゴリーにおける規模でいうとリーダーとなっている」と述べた。
ビューティカウンターは1800もの使用禁止成分のリストを抱えている。しかしレンフル氏にとって、「クリーンビューティ」の「クリーン」とは単に「ダメな成分」のリストを意味するわけではない。「クリーン」は「安全」と「倫理的」の両方を包括する大きな用語となっている。レンフル氏は、素材調達とサプライチェーンの透明性を改善したり、法改正を提唱したりといった、彼らの取り組みを挙げた。
カーライルグループのグローバル消費者、メディア、小売部門の責任者ジェイ・サモンズ氏は声明で、レンフル氏と経営陣を称賛した。「ビューティカウンターは、急速に成長しているクリーンビューティ業界のパイオニアでありリーダーだ。才能ある創始者主導のチームを支援し、「ビューティ」を変えるという同ブランドの使命をさらに大きく広げる機会を見出している」とサモンズ氏は述べた。
新規コンサルタント登録が急増
インク(Inc.)によると、ビューティカウンターの年間売上は2015年から80%増加し、収入開示文書によると、2019年には1億2000万ドル(約131億円)の手数料を販売業者に支払ったとする。しかし、この文書によるとビューティカウンターの販売員の大半は、ほとんど、あるいはまったく利益を上げていない。新規販売員(コンサルタント)は登録に平均440ドル(約4万8000円)を費やし、彼らブランドコンサルタント(ビューティカウンタの販売業者・販売者の82.2%を占める)が稼ぐのは月平均46ドル(約5000円)だ。これは、同ブランドがしばしば副業としての製品販売の金銭的利益を宣伝しているにもかかわらずである。
しかし、このことは新規のコンサルタント登録を衰えさせてはいない。米DIGIAYの姉妹サイト、グロッシー(Glossy)が以前に報じたように、コロナウイルス禍において人々が収入を追加で補おうとした結果、コンサルタント採用が増加した。
実際、ビューティカウンターはパンデミックの最中にさらにリーチを拡大した。同社は2020年12月に買い物が可能なライブストリーミングを開始し、2020年6月にはセフォラ(Sephora)のオンラインおよび店内ポップアップを開始した。2020年3月には、レンフル氏とビューティカウンターは法改正を提唱するにまで至る。
以前の正常な状態に戻っている
コロナ禍における成長は、彼らの投資元であるカーライルグループも類似の体験をしている。ピッチブックによると、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティなどのプライベートマーケットは最近急成長しており、どちらの投資カテゴリーも2020年を大成功の年として終えるとまではいかなくとも、(コロナウイルス以前の)正常な状態に戻っている。
アクセンチュア(Accenture)のグローバル・ビューティ部門責任者、オードリー・デプレーター=モンタセル氏は「数カ月のあいだに状況は大きく変わった」と話す。「コロナウイルスのパンデミックによって大きな変化が引き起こされ、危機が安定するにつれて投資活動が増加することが期待できる」。
レンフル氏は、有料広告と無料の両方のソーシャル投稿への投資を増やすことが、同社のブランド認知度向上計画の鍵となり、無料の投稿としてはライブストリーミングが大きな役割を果たすだろうと述べた。彼女はまた、同社の国際市場への拡大は「差し迫っている」と述べ、ビューティへのカテゴリーの追加もまた、差し迫っていると述べたが、詳細とスケジュールについては明言を避けた。
「私たちは常にリードし、新しい現象を引き起こそうとしている」とレンフル氏は述べた。「ライブストリーミングなどのデジタル戦略やデジタルメディアを通じて、顧客と長期的かつ継続的な関係を我々は築いていく。我々は今後、この点に注力していく」。
[原文:Beautycounter is now a $1 billion brand following Carlyle Group investment]
EMMA SANDLER(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)