アディダス のサステナブル製品、4年で1500倍の売り上げ:「今後数年間の成長機会」

アディダス(Adidas)が、リサイクルした海洋プラスティックでできたスニーカーライン「パーリー・フォー・ジ・オーシャン(Parley for the Oceans)」をローンチしたのは2015年のことだった。当時の生産数は控えめで、わずか7000足だった。同社によれば、2019年の販売数は1100万足に到達することが見込まれているという。

アディダスが手がけるサステナブル製品の成長は著しく、この四半期の売上を10%増の64億ドル(約6980億円)に押し上げた一因となっている。ストリートウェアやスニーカーを扱うブランド各社がサステナビリティ(持続可能性)の導入に手間取っていることを考えると、これは特筆すべき成長だ。

パーリー・フォー・ジ・オーシャンやフューチャークラフト.ループ(Futurecraft Loop)をはじめとする一連のコレクションなど、サステナブル製品をめぐる革新という点では、アディダスは大きな進歩を遂げてきた。その一方で、そんな同ブランドにとっての次の課題は、リサイクルに回すために使い古した製品を顧客から回収することだ。

AdidasのCEOを務めるカスパー・ローステッド氏は、11月6日に行われた直近の収支報告で、サステナビリティは「今後数年におけるアディダスにとって最大の成長機会とまでは言わないが、そのなかのひとつ」であり、来年には「ふたつのサブブランドが登場して、アディダスが将来展開するサステナビリティ活動をサポートしていく」と述べた。

「使い古しにも価値がある」

循環システムを促進するための試みの主なものは、10月なかばにイギリスで展開されたバウチャープログラムだ。顧客は、過去5年間に購入したアディダスの製品であれば、その状態に関係なく、どんなものでも返却すれば、もとの価格に応じて最高で25ドル(約2700円)分のクレジットがもらえ、今後の買い物に利用できる。商品の返却はイギリスのスタートアップ、スタッフスター(startup Stuffstr)が対応しており、「アディダスクリエイターズクラブ(Adidas Creator’s Club)」ロイヤルティアプリを介してリクエストが行われると、消費者の自宅にはプリペイドのパッケージが送られる。アディダスは来年、イギリス以外でもこのプログラムを展開することを計画している。

アディダスでサステナビリティ部門のディレクターを務めるアレクシス・オーランス・ハース氏は「顧客がアディダスの製品を購入すると、アディダスはその顧客が購入したものを記録に残している」と語る。「アディダスは顧客に、使い古されたあとも製品には本質的な価値があることを伝えている。そして、それを買い戻すことを申し出ている。アディダスが試みているのは、衣類が第二の人生を得る機会をショーケース化することだ。何でもかまわない。顧客が望むのであれば、汚れた靴下でも。再販できないものは、リサイクルに回される。こうした製品に引き続き活躍の場を与えるサステナブルな理由は十分にある」。

このプログラムのローンチと時を同じくして、アディダスはフューチャークラフト.ループの「バージョン2」の製造に向けても動き出した。「バージョン1」は昨年、インフルエンサーやクリエイターなど一部の人々に送られた。履き古されたあと、最終的にはアディダスに返却されることになっており、彼らのフィードバックをもとに、それを新バージョンにリサイクルする意向だ。アディダスは現在、バージョン1の回収を続けながら、すでにバージョン2のデザインにも取りかかっている。バージョン2には、染料や色を使うためのサステナブルな手法が取り込まれることになっている。フューチャークラフト.ループは現在のところ未発売だが、2021年に一般発売されることが決まっている。

「ある意味、集団オーディションのようなものだ」と語るのは、アディダスのUSスポーツ部門でシニアPRマネージャーを務めるポール・マーフィ氏だ。「アディダスは『シューズを返してもらえますか?』という内容のメールを顧客に送る。つまり、これが発売された際には、1回購入の取引になるということだ。一足買えば、それを送り返し続けるかぎり『新しい』製品が手に入る。製品を求める声はすでに上がっているが、いまはまだシーディングプログラムのようなものだ。すでに手にしている人々はウェアテスターだ」と語る。

製品が戻ってくる仕組み

ハース氏によれば、同氏の現在のプライオリティのひとつは、新製品を回収するためのインフラを構築することだという。修理や修繕、再梱包、リサイクルのための分解などを行う施設などのインフラだ。また同氏は、製品のライフサイクルに対する消費者の考えを変えることにもフォーカスしている。

「これらはどれも、アディダスの顧客を使い捨て文化から循環型経済へと誘導するための大きな戦略の一部だ」と、ハース氏は語る。「ひとつめは、アディダスのサステナブルなものづくり。ふたつめは、こちらのほうが重要なのだが、再利用できるように、製品がアディダスに戻ってくるような仕組みを作ることだ。来年は、このインフラに大規模な投資を行うことになっている」。

サステナブルな衣類に対する需要が高まっている。ロビン・レポート(The Robin Report)によれば、35歳未満の消費者の65~70%がサステナブルなブランドを求めているという。その一方で、スニーカーやストリートウェアの世界はこれを取り入れることに手間取っている。またアディダスは、最大のライバルであるナイキ(Nike)との競争にも直面している。独自のサステナビリティ活動を展開するナイキは先日、「ムーブ・トゥー・ゼロ(Move to Zero)」キャンペーンを発表した。その狙いは、炭素ゼロ、廃棄物ゼロを実現するための同社の取り組みを消費者に知らせることだ。

伝えることも重要なこと

マーフィ氏によれば、アディダスがいま重視していることのひとつは、サステナビリティに対する同社のさまざまな取り組みを消費者に知らせることだという。たとえば同社は、国際宇宙ステーション(ISS)にスニーカーを送ることで、自社のテックチームやエンジニアリングチームにスポットライトを当てようとしている。もっと身近な例でいうと、海洋プラスティック製スニーカーをプロモーションするために今年も開催されたレース「ラン・フォー・ジ・オーシャンズ(Run for the Oceans)」もそうだ。

「こうした考えを伝えることは、アディダスがもっと力を入れていかなければならないことのひとつだ」と、マーフィ氏は語る。「先日、あるゲストスピーカーをオフィスに招いた。スポーツビジネスアナリストのダレン・ロベル氏だ。我々がアディダスのサステナビリティについて説明していると、ロベル氏は我々の話をさえぎり、こういった。『もっとこれをPRしなければだめだ』と。世間一般の人はアディダスが行なっていることをよく知らないかもしれないが、知ってもらうべきなのだ。巷には、こうしたことに深い関心を持っている消費者もいる。そうした人々に、アディダスもそれに取り組んでいることを知ってもらわなければならない」。

Danny Parisi (原文 / 訳:ガリレオ)