炎上を超えて: バーバリー が指し示す、サステナビリティプランの全容

再販市場へと手を広げる高級ブランドが増えている。

バーバリー(Burberry)もまた、11月に再販プラットフォームのリアルリアル(The RealReal)との提携を開始した。同社はG7によるファッション協定への参加を表明した。これは、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロに抑え、2022年までにカーボンニュートラルを達成するという世界的目標の一環で掲げられた協定だ。同社はこれ以外にも、ここ数年のあいだに持続可能性の取り組みを多数展開している。昨年バーバリーは売りさばけなかった大量の衣類を燃やして処理していることが問題視された。これを受けて同社は現在、持続可能性を重んじる企業というイメージを育もうと取り組んでいる。

バーバリーの企業責任担当バイスプレジデントを務めるパム・バティ氏によれば、同社が持続可能性についてはじめて真剣に考えはじめたのは15年以上前だったという。バーバリーは2018年に3600万ドル(約49億円)の衣類を焼却処理したと報じられたが、その1年前の2017年に同社が発表した、2022年までにカーボンニュートラルを達成する5カ年計画の立案にも同氏は携わっている。

「最近はじめたばかりの取り組みではない。だが強く力を注ぐようになっていることは確かだ」と、バティ氏は語る。

ポジティブな属性を「商品」に

同社の取り組みは「商品」、「運用」、「無駄」という3本の柱を中心としているという。「商品」に関していえば、バーバリーは2022年までに、すべての販売商品に少なくともひとつ「ポジティブな属性」を盛り込むとしている。たとえば魚網をリサイクルして作られ、環境に優しい素材として注目を集めるECONYL®で作られた服などだ。あるいは従来の素材ではあるものの、カーボンニュートラルな工場で作られた製品なども予定されている。

バーバリーはほかにも、2022年までに有害な化学物質を一切使用しない製品の生産に切り替えるとしており、目標達成のために1000人以上の社員に化学面での管理について教育を行っている。倫理的な手段に基づく綿の調達を支援するBCI(ベターコットンイニシアチブ)が注目を集めているが、同社の2017年のBCIコットン使用率は21%だったのに対し、2019年は68%にまで急増している。

5カ年計画を開始してからの2年で、バーバリーの製品のうち36%がこういった「ポジティブな属性」を持つようになっている。同社の目標は2022年までにこれを100%にまで引き上げることだ。

原材料段階を重視する「運用」

次に「運用」面について、バティ氏はサプライチェーンの原材料段階を重視しているという。バーバリーの二酸化炭素排出の50%がこの段階で発生しているためだ。バーバリーは、サプライチェーンで出来る限り再生可能エネルギーへの置換を進めることで、二酸化炭素排出量の95%削減を目指している。2018年から2019年にかけてバーバリーが使用した電力の60%近くは再生可能エネルギーとなっており、これは2016年から比べて43%の削減だ。同社では米国、英国を含め、アメリカ大陸、欧州、中東、アフリカで展開している一部店舗ですでにカーボンニュートラルを実現している。

上記のG7によるファッション条約は、法的拘束力がなく参加を表明した企業にのみ適用される点が批判されている。参加企業とつながりのあるサプライヤーや外部企業はには適用されないのだ。そしてこういった企業は、規制がゆるく透明性の低い地域で運営されている場合も多い。バーバリーは、サプライチェーンを通じて多数の外部企業とつながりを持っている。バティ氏は、自分たちのやり方を変えるほうがパートナー企業にやり方を変えてもらうよう説得するより容易いと語る。

「私たちにとって幸運なのは、当社は多数のサプライヤーととても長い付き合いをしてきた点だ」と、バティ氏は述べている。「スコットランドのある企業は、当社のスカーフの全生産を担っている。当社のスカーフづくりを100年前から行ってきた企業だ。当社が方針を変更した場合、彼らも基本的に同調してくれる」。

「廃棄」を減らすことも重視

さらにバーバリーは「廃棄」を減らすことも重視している。再生可能エネルギーへの切り替えはその一環だが、それ以外にも消費側に修繕や商品の引き渡しを促している。同社は2018年に衣類の焼却を中止し、その代わりに修繕、再利用、リサイクル、使用していない衣類の寄付を行っていくと発表した

これは消費者にできるだけ長く衣類を使ってもらおうという、循環性の取り組みだ。バーバリーはハンドバッグやアクセサリーの修繕サービスを提供しており(衣服はまだ行っていない)、再販企業とも直接的な提携を始めている。

10月にリアルリアルと提携し、バーバリー製品をリアルリアルに引き渡した個人客向けに無料のショッピングサービスを開始した。リアルリアルの戦略イニシアチブ担当ディレクターを務めるアリソン・ソマー氏によると、バーバリーは同社のサイトで常に検索数がトップのブランドとなっており、過去3年でバーバリーのリセール品の価値が64%向上したという。

「ファッション業界は世界でもっとも環境を汚染している業界のひとつだ。ここに変化を起こすには、製品の作り方だけでなく、作られた製品の行く末まで考えなければならない」と、ソマー氏は指摘する。「バーバリーのような未来志向の企業と提携し、再販を通じた高級品の循環活用と、持続可能性に対する認知度の向上を目指したい」。

循環性と持続可能性を前面に

バーバリーは衣類の焼却処理が明るみに出たことで猛烈な批判にさらされ、不買運動やソーシャルメディアでの反バーバリーキャンペーンが巻き起こった。そんななか2017年から2019年にかけて、同社の収益は横ばいから若干の減少に終わった。バーバリーの収益は2016年以降、年間34億ドル(約3700億円)前後で推移し、2018年から2019年にかけて若干の減少となっている。

衣服を焼却していたのは何もバーバリーだけではない。ルイヴィトン(Louis Vuitton)ナイキ(Nike)も同様であり、リシュモン(Richemont)もまた過去2年間で5億ドル(約540億円)以上の時計を廃棄したことを認めている。ファストファッションのH&Mは、2013年から2018年にかけて売れ残った衣服60トン以上を焼却したと報じられている。

バティ氏は持続可能性に向けたマーケティング戦略の一環として、店員を活用してカスタマーへこうした取り組みを伝えていきたいとしている。現在、同社の店舗スタッフは全員、商品の製造過程をカスタマーにいかに伝えるか教え込まれており、バーバリーにとって持続可能性がいかに重要かを示す役割を担っている。

ファッション業界にとって持続可能性の面で最大の課題となっているのが、過剰生産され、売られずに終わる製品の数々だ。循環型ファッションこそがこの問題に対する最善の回答とする声は多い。バーバリーは、環境への影響についての取り組みだけでなく、循環性と持続可能性を前面に押し出している。それはカスタマーに対する、優先順位を改めたというメッセージの発信にほかならない。

DANNY PARISI(原文 / 訳:SI Japan)