TikTok 広告バイヤーの願い:「もっと購入のしやすさを」

TikTok(ティックトック)は、チポレ(Chipotle)ラルフローレン(Ralph Lauren)といったさまざまなブランド、はては米大統領候補すら惹きつけてきた。だが、広告主のメディアプランに必ず入るような、利用しやすいプラットフォームを構築するには至っていない。

広告バイヤーから見たTikTokの抱える問題は、基本的に共通している。広告購入プロセスが手動なこと、販売チームの規模は小さいこと。さらに広告プレースメントからのショッピングやオープンソース広告APIといった重要な機能のいくつかを欠いている。

いまのところバイヤーは、こうした問題を我慢して使い続けている。それは、TikTokがいまもっとも人気のアプリだからだ。モバイル市場分析企業のセンサータワー(Sensor Tower)によれば、北京に本社を置くバイトダンス(Bytedance)が開発したTikTokは、リリースから1年でGoogle PlayとApp Storeで15億ダウンロードを叩き出している。また、世界でこれまでユーザーが支払った金額は1億7500万ドル(約190億円)にもなるという。

TikTokは、バイヤー側にとっての問題に対処はしており、とりわけ米国での営業チームを拡大している。だが、バイヤーが望むのはそれだけではなく、TikTokにおける広告購入プロセス全体をより最適化し、事務手続きを減らすとともにより分かりやすくすることだ。

フォワードPMX(ForwardPMX)でEMEA地域のペイドソーシャル担当ディレクターを務めるディミトリオス・ボーンポス氏もまた「手続きが複雑だ。膨大な書類を処理せねばならず、時間がかかる」と語る。

セルフサービス型の広告モデル

セルフサービス型の広告モデルがないことも、この状況に拍車をかけている。エージェンシーの360iで国内ペイドソーシャル戦略担当リーダーを務めるフィリップ・フィン氏は、TikTokがセルフサービスと教育に関するプラットフォーム投資を増やしてほしいと希望している。

「TikTokについて学び試したいと望んでいるブランドやエージェンシーにとって、大きな後押しになるのはもちろん、TikTokの営業担当にとってもブランドからの購入手続き追われることなく『なぜTikTokが良いか』『どのようにTikTokを活用できるか』といった訴求に集中できるようになる」。

TikTokの6月の媒体資料を見ると、同社はセルフサービス型の広告モデルに移行しようとしているのは明らかだ。フォワードPMXもまたこのモデルをベータ版の段階から試験運用しようとしている。

「直接購入するのは悪いことではないが、簡単なプロセスでもない」と、ボーンポス氏は語る。360iは、いまだクライアントのためにTikTokで広告を展開していないが、今後は展開していきたいとしている。

TikTokの広報担当はセルフサービス型の広告モデルについて何もコメントはできないとしているものの、米DIGIDAYに対し「当社はブランドパートナーの皆様にとっての価値を創出できるよう、さまざまなモデルとビジネスチャンスを模索している。実験は初期段階にある」と語っている。

サードパーティへのAPI公開

APIのサードパーティ開発者への公開また、ボーンポス氏をはじめとする一部バイヤーの希望だ。これにより広告主は、FacebookやSnapchat(スナップチャット)と同じようにサードパーティのAPIツールでTikTok上のキャンペーンを監視できるようになる。

アイプロスペクト(iProspect)のソーシャルメディア担当バイスプレジデントを務めるジョーダン・ジェイコブソン氏は、TikTokはいますぐにAPIを公開する必要はないとしつつも、「中小企業の広告主を惹きつけるにはAPIは絶対に必要だ。TikTokが今後さらに成長していくなかで成功を続けるには必須となるだろう」と語っている。

フィン氏はTikTokがいずれセルフサービス型の広告プラットフォームを構築するのであれば、ブランドにとって必須の存在となるにあたってAPIの作成が欠かせないとは言い切れないとしている。

「セルフサービス型はエンドユーザーにとってもメリットがあるというだけでなく、TikTokの営業やマーケティングチームにとってもブランド側へのメリットの説明に集中できるようになる。さらにブランドからすれば、関連性の高いクリエイティブコンテンツやインフルエンサーを通じてプラットフォームに確実に順応できるようになる」と、同氏は語る。

その他、求められる要素

PMGでソーシャル担当ディレクターを務めるカーリー・カーソン氏はTikTokに望むこととして、APIへのアクセスに加えて、全種類の広告に対応したサードパーティの広告サービスとCRMの統合を求めている。「TikTokがブランドにとって、ただのお試しではなく、永続的なパートナーとなるためには、これらすべてを満たす必要がある。これらの要素によって、ブランドはTikTok上の適切な消費者と結びつきやすくなる」。

今月はじめ、TikTokはAdobe Premiere Rush(アドビ・プレミア・ラッシュ)から直接TikTokに動画を共有できる機能「Share to TikTok(シェア・トゥ・ティックトック)」を導入した。これはサードパーティのアプリや開発者がTikTokとの統合機能をもたせられるようにする第一歩と言えるだろう。

ボーンポス氏は、ファッションや旅行といった分野ごとにチームが分かれすぎているという点も指摘している。「エージェンシーとしてはセルフサービスへのアクセスが欲しい。TikTokまで出向いて、提携について腹を割った話し合いがしたいと思っている。何もかも分野わけされるとエージェンシーとしては苦しい。だからこそより積極的な提携と、ほかのベータ版プログラムへの参加に向けて直接話し合いをしていきたい」。

ブランドセーフティもまた、全バイヤーが懸念として挙げた点だ。グループ・エム(GroupM)のソーシャル担当グローバルリーダーのキーリー・テイラー氏は「ブランドセーフティをマーケットプレイスに導入すべきだ」と指摘する。「ブランドセーフティに関する共通の基準があれば、リスクを見極めてより確信をもって投資できるようになる」。

一方ジェイコブソン氏は「TikTokの測定基準とブランドセーフティへのソリューションは、まだ生まれたばかりのサービスであることを考えれば優れた基準にあると思う」と指摘する。

ショッパブルな広告機能

カーソン氏はTikTokに求める改善点として、より買い物に結びつきやすい場所にすることを挙げている。「ショッピングとECを統合するような広告をいかに提供するか模索しつづけることが重要だ」。

TikTokの中国版はすでに強力なEC機能を導入しており、同社は現在中国国外でショッパブルな動画を試験運用している最中だ。

だが、それと同時にバランスも重要となる。「TikTokが素晴らしいのは、どのコンテンツを見ても『嘘くさくない』と思えることだ」とカーソン氏は語り、次のように述べた。「広告インベントリーが大量に流入してそれが台無しになるのは見たくない。だが、もう少しだけショッパブルにするための広告提供の機会があれば、それはありがたい」。

Deanna Ting(原文 / 訳:SI Japan)