自宅待機ニーズに合わせ、ピンタレスト が EC 進出を本格化:リテーラー勢にその利用法を指南中

ピンタレスト(Pinterest)がeコマース界への進出を本格化させている。

リテーラー勢の多様化したマーケティング努力を長期的にサポートする戦略の一環として、ピンタレストは5月、リテールページのショッピング機能のさらなるアップデートを発表した。そのひとつ「ショップ・フロム・ア・ボード(Shop from a Board)」は、過去のアクティビティに応じてパーソナライズされたショップタブをユーザーに提示する。「ショップ・フロム・サーチ(Shop from Search)」は、検索を介して在庫有り商品のショッピングをより簡便にする。「ショップ・フロム・ピンズ(Shop from Pins)」は、商品の写真から直接レジに進めさせる機能だ。

ピンタレストのリテール部門グローバルヘッド、エイミー・ヴェナー氏によれば、コンテンツに関して、刻々と変わる状況に即した判断を下す必要があるブランドやリテーラーの手助けをするため、同社は「この隔離期間中、ピナー(ユーザーの通称)とのコミュニケーションの取り方について、彼らと絶えず意見交換」をしているという。

利用数は過去最高を記録

3月、シェルターインプレイス(屋内退避勧告)によって、実店舗が軒並み閉鎖されて以来、ピンタレストのリテールパートナーチームは、顧客がいまどんなコンテンツを検索しているのか、その実態をリテーラーが掴みやすいよう、「週ベースで」データを共有してきた。これは、人々がステイホームを余儀なくされ、ソーシャルメディアを使う頻度が高まる現状の有効活用を狙うピンタレストの戦略にほかならない。実際、同プラットフォームの利用数は過去最高を記録しているという。

また、コマース部門の強化も同社の戦略の一環だ。FacebookやGoogleといった広告媒体としてのライバル勢が巨大化した一方、ピンタレストは依然、ニッチな存在に留まっている。だがそれでも、認定ショッププログラム(Verified Merchants)や一連のショッパブル機能のおかげで、関心を示すリテーラーの数は右肩上がりだと、ヴェナー氏は断言する。

ピンタレストは以前から、コンバージョン率の高いチャンネルとしてマーケターに売り込みをかけており、2020年初頭には、ウォッチブランドMVMTや靴下ブランド、ボンバス(Bombas)の売上増に貢献した。その一方、昨年にはコンバージョンビディングおよびショッピングカタログツールの新プログラムを加えている。同社の最近のアーニングコールによれば、その甲斐もあり、今年度第1四半期、リテーラーのカタログアップロード数は144%増を記録したという。

刻々と変わる現状で重要なこと

ピンタレストはあくまで、画像に特化した検索エンジンだが、ヴェナー氏いわく、顧客の習慣が日々変わっていく現在のような状況においてはとりわけ、リアルタイムの、幅のあるインサイトが欠かせないという。たとえば、シェルターインプレイスがはじまった当初は、ホームオフィスとキッズDIYプロジェクトに関する検索数だけが一気に急増したが、この何週間かでそれがホームインプルーブメント(住居改善)やセルフケアへの関心へと大きな広がりを見せていると、同氏は説明する。室内装飾部門で最近成功を収めたリテールパートナーとして、氏はD2Cラグブランドのラガブル(Ruggable)とルーム&ボード(Room & Board)を挙げ、いずれのトラフィック増もオンライン売上増に直接結びついたと語る。

ピンタレストによれば、ロールアウトしたそれらのアップデートにより、リテーラーの「プロダクト・ピン(Product Pin)」 数は2019年から2.5倍に増え、リテーラーのウェブサイトへの総トラフィック数も2.3倍を記録した。さらに、ピンタレストのeコマース機能にエンゲージするユーザー数も、前年比44%の伸びを見せたという。

米大手百貨店チェーン、コールズ(Kohl’s)のパンデミックに関連するピンタレストコンテンツはその一例で、同社はステイホーム生活に優しいワードローブをキュレートすると同時に、実店舗の再開や(ネットで注文し、店の駐車場で受け取る)カーブサイドピックアップに関する情報を日々更新している。また、マコーミックの子会社で、マスタードで有名な米食品ブランド、フレンチ(French’s)は自宅ランチ用のレシピや調理のコツを同プラットフォーム上で提供し、天然素材デオドラントブランドのネイティヴ(Native)は、ピンタレストのインサイトとテキストオーバーレイ機能を活用し、14日間にわたる天然素材デオドラントへの切替チャレンジを実施している。

ピンタレストへの支出も増えた

マーケティングエージェンシー、アドゥルセント(Adlucent)におけるデジタルマーケティングのスペシャリスト、キャット・フェラーリ氏は米DIGIDAYの兄弟サイトであるモダンリテール(Modern Retail)に、ピンタレストの最新ツール群はクライアント――ラグジュアリーおよび室内装飾ブランドを含む――のキャンペーンに貢献しており、それが今年4月のピンタレストへの支出増に繋がったと分析する。

シェルターインプレイスがはじまって以来、あるクライアントブランドは「ピンタレストのオーガニックからのトラフィック数が前月比で100%近く伸びた」と、フェラーリ氏は言う。アドゥルセントはそこから得たインサイトにもとづき、有料ピンを含む有料キャンペーンを推奨した。すると「同キャンペーン中、そのリテーラーのウェブサイトへのクリックスルー率が3%近くに上った」と、氏は断言する。

ノンエッセンシャル(非必須)リテーラーの多くが店舗の一時閉鎖を続けるなか、今後もしばらくは、顧客の来店は期待できそうもない。そしてその現状こそが、パンデミック中におけるeコマース全体の、さらにはピンタレストの活況に繋がったと、ヴェナー氏は語る。同プラットフォームは現在、利用数においても、保存および検索数においても「過去最高」を記録しているという。

今後の成功のカギを握るもの

来たるシーズンも変わらず、ピンタレストはマーケターの助力となる戦略を展開していくという。成功のカギを握るのは、新学期を控えた「バックトゥスクール(Back to School)」シーズンを「バックトゥホームスクーリング(Back to Home Schooling)」としてマーケティングする方法を見出せるかどうかだと、ヴェナー氏は語る。

Gabriela Barkho(原文 / 訳:SI Japan)