パブリッシャーの不満:ニュース速報動画は、 Twitter で収益化できない

ここ数年、Twitterは自社のプラットフォームをライブストリーミング動画の終着点に位置づけるべく、力を注いできた。だが、一部のニュースパブリッシャーが米DIGIDAYに語るところによると、Twitterの動画配信機能「アンプリファイ(Amplify)」のブランドセーフティルールでは、ニュース速報の動画の収益化が難しく、ほかのプラットフォームなら広告料を稼げるニュース動画なのに、Twitterではその収入を諦めざるをえないという。アンプリファイを利用するパートナー企業2社の関係者は、厳しい規約のおかげで、Twitterでの動画戦略の縮小を余儀なくされたと語った。

「状況はすぐに飲み込めた」と、一方のニュースパブリッシャーの関係者は言う。このパブリッシャーは、昨年、いくつかのTwitter動画がアンプリファイの収益化プログラムの審査に通らなかった経験を持つ。「スポーツ以外で何かやろうとすると、不承認のリスクは免れない」。

この問題に対するTwitterの言い分は異なる。Twitterで米国のニュースパートナーシップを統括するニック・サロン氏によると、2018年以降、アンプリファイを通じて配信されたニュースおよび時事関係の動画のうち、広告審査に通らず、収益化できなかったものは、全体の4.5%に過ぎないという。

「パブリッシャーがアンプリファイプログラムで収益化しているコンテンツの大半は適格だ」と、サロン氏は主張する。「インストリーム動画広告の配信でもっとも成功しているパブリッシャーのなかには、アンプリファイでコンテンツを共有しているニュースパブリッシャーも存在している」。

この説明に、アンプリファイに参加するパブリッシャーたちはさらに苛立ちを募らせ、(アンプリファイの審査に通らなかった)同じニュースの同じカット、同じ動画が、ほかのプラットフォームや自社のウェブサイトではちゃんとマネタイズできていると反論する。

「我々はブランドセーフなパブリッシャーだ」と、アンプリファイで保留の扱いを受けている、もう一方のパブリッシャーの幹部は主張する。「プラットフォームによって異なるラベルが付けられるのは、ちょっと紛らわしい」。

アンプリファイの厳格なルール

Twitterがアンプリファイで掲げるブランドセーフティルールは明快だ。たとえば、自然災害、死亡への言及、政治的暴動、テロ攻撃などは、ニュース速報でごく普通に取り上げるトピックだが、公式のFAQ(よくある質問)ページを見るかぎり、このようなトピックを描写したり議論したりする動画では、広告の表示は許可されない。どんなにニュースバリューがあろうとも、このルールに例外が認められることはない。

このガイドラインから外れる動画をTwitterで配信するなら、アンプリファイでの収益化を無効にしておく必要がある。さもないと、Twitterに無効化される恐れがあり、その結果、警告としての「ストライク」の判定を食らうかもしれない。スリーストライク、つまり三振すれば、そのパブリッシャーは6カ月間、アンプリファイで動画の広告在庫を収益化できなくなる。

アンプリファイのガイドラインは、特定の動画コンテンツが広告主にとって適切な内容であることを保証し、ひいては、プログラムの長期的なサステナビリティを担保していると、サロン氏は説明する。

「プログラムの目的は、報道機関の収益化の努力を支援するものだ」というのがサロン氏の主張だ。「これを実現するには、現状では、ブランドスータビリティ(適合性)とブランドセーフティ(安全性)に細心の注意を払う必要がある」。

パブリッシャーたちの言い分

だが複数の情報筋によると、パブリッシャーの自社サイト、あるいはYouTubeやFacebookのようなほかのプラットフォームでは、自然災害や銃撃事件から回復する地域社会のニュース報道など、多くのトピックや動画で容易に収益化を行ってきたという。

このような規制は、報道機関としての責任を果たし、オーディエンスに絶えず情報を届けるために必要な、パブリッシャー本来の能力を削いでしまうとパブリッシャーたちは口をそろえて主張する。

「我々はニュースを配信するパブリッシャーだ」と、アンプリファイで自社の動画を広告表示不可と判定された別のパブリッシャーの幹部は言う。「消費者が我々のもとに来る最大の理由は最新の情報だ。この点に鑑みれば、ニュースパブリッシャーに、どんな形であれペナルティを科すことには苛立ちを禁じえない」。

エージェンシーサイドの見方

一部のメディアエージェンシーは、追加的な規制が必要になるのは、Twitterのユーザーエクスペリエンスに原因があると指摘する。「Twitterは会話のための、あるいは会話型のプラットフォームだ」。メディアエージェンシーのエッセンスグローバル(Essence Global)でソーシャルアクティベーションを統括するリリアン・アーマン氏は、編集部に宛てた電子メールでそう述べている。「そこには、分別のある会話や討論を損なう、たちの悪い連中のリスクが本来的につきまとう」。

アーマン氏はこうも言っている。「Twitterが将来的にブランドセーフティのポリシーを緩和するにしても、返信を非表示にする機能を設けるなり、ターゲティングのトピックリストをもっと細かく設定できるようにするなり、ユーザーエクスペリエンスの改善をまずは先行させるべきだろう」。

メディアエージェンシーのグループ・エム(GroupM)でブランドセーフティ担当のマネージングパートナーを務めるジョー・バローネ氏によると、「Twitterのルールというガードレールがあるおかげで、ニュースの広告枠を安心して購入できるというクライアントもいる」という。

バローネ氏の言葉を借りるなら、「環境を適切にキュレーションできないなら、ニュースに対して広告を出すのは一切やめようということになりかねない」。

Max Willens(原文 / 訳:英じゅんこ)