Amazon プライムデー、 勝利を収めたブランドの条件は?:限定製品とファーストパーティ

Amazonのブランドやセラーが48時間のプライムデーをフル活用するには、何カ月も前から準備を始める必要があった。

プライムデーに売り上げを伸ばすための戦略は存在するが、何よりも重要なことは、数カ月前から商品リストを整理し、検索結果の順位を上げるため、ブランドや商品の広告を掲載しなければならなかったことだ。販売促進だけでは不十分だ。適切なキーワード、商品リストの中身、肯定的なレビュー、クリックスルーコンバージョンの高さ、利益率の低さもプライムデーの売り上げに貢献する。

Amazonのアルゴリズムは常に、高い販売率、一貫した広告費の投入、低い利益率を好むが、マーケティングプラットフォームを手掛けるイグニッションワン(IgnitionOne)によれば、プライムデーはこの傾向がもっとも強くなるという。2019年のプライムデーは7月15~16日で、61億ドル(約6590億円)の売り上げが見込まれている。Amazon全体の売り上げとトラフィックが増加するということは、ブランドの売り上げを増加あるいは減少させるAmazonの能力も明確になるということだ。そして、2019年は前年に比べ、ファーストパーティによる販売と限定商品が重視されていた。

ガートナーL2(Gartner L2)のダイレクター、ザカリー・ワインバーグ氏は「プライムデーは一瞬の出来事ではない。何より準備が重要だ。サイトに押し寄せる消費者を取り込むため、この日までにしてきたことが成果となって現れる」と話す。具体的には、肯定的なレビューを増やすこと、顧客からの苦情や質問に素早く対応すること、コンバージョンへとつなげるため、コンテンツを活用することなどだ。「プライムデーはすでにはじまっていると考え、いつも全力を投じなければならない」。

Amazonの優先順位の変化

Amazonでのビジネスに全力を投じれば、ほかのセラーが得られないようなチャンスを手にすることもある。Amazonで複数の消費者ブランドを立ち上げてきたイノベーション・デパートメント(Innovation Department)の創業者アレックス・ソン氏は3月、同社のサプリメントブランド、ウェルパス(WellPath)が新興ブランドグループの一員に選ばれたと述べていた。新興ブランドの成長を後押しするAmazon独自のプログラムだ。このプログラムに参加して間もなく、ウェルパスはAmazonの担当者から、プライムデーにリンゴ酢グミの限定ブランドを立ち上げるための手ほどきを受けた。Amazonは2019年に入ってから、限定商品を強化している。2018年、Amazonはプライムデーに50の新商品を販売し、ホームページで取り上げたが、2019年はその数が倍増した。目玉商品はレディー・ガガのビューティーブランド、ハウス・ラボラトリーズ(Haus Laboratories)だ。

「高品質なブランド商品を大量供給できると証明しなければならなかった」と、ソン氏は振り返る。「そこをクリアすれば、より大きなチャンスが待ち受けている」。ソン氏によれば、現在はAmazonとともに、年内に新たな限定ブランドを立ち上げる準備を進めているという。

これらのプライムデー戦略には、Amazonの優先順位の変化が反映されている。

マーケットプレイス・パルス(Marketplace Pulse)の創業者兼CEO、ユオザス・ケジエンカス氏は最近のインタビューで、「Amazonの戦略はこの1年で、自社ブランドを立ち上げて所有することから、ブランドと独占的な関係を築くことへと変化した」と語っている。「Amazonはこの取り組みを拡大し続けており、もはや自社のプラットフォームで絶えず商品を発売し、ブランドと競合することは目指していない。むしろAmazonと仕事をしたいブランドが利益を得られるような環境をつくっている」。

限定ブランドの立ち上げ

限定ブランドの立ち上げは、Amazonが自らの身を守る助けにもなっている。ほかでは見つからない商品を提供することで、プライムデーにセールをぶつけてくる250以上の小売業者より優位に立とうとしているのだ。たとえAmazonでも、堀をつくって守りを固める必要がある。

ワインバーグ氏は「Amazonはプライムデーに向けてすべてを強化する。今回はこれまでと異なり、ブランドの立ち上げを重視しているようだ」と話す。「プライムデーのブランド立ち上げは、未来のAmazon限定ブランドを見極めるユニークな方法だ。ブランドと手を組み、Amazonでの顧客獲得を後押しする意欲がよく表れている」。

ワインバーグ氏によれば、全体的に、Amazonのファーストパーティマーケットプレイスで販売するブランドはプライムデーに有利だという。Amazonが在庫調整の権限を持つため、適切な方法で商品を販促できる。

「ファーストパーティベンダーが有利なのは、Amazonのカスタマーインサイトの恩恵を受けることができ、プライムデーに露出が増えるためだ」と、ワインバーグ氏はいう。

勝利を収めるブランド

これらの条件に当てはまっていなくても、プライムデー戦略で勝利を収めるブランドはある。そうしたブランドはグロースハックの手法や自身に有利に働くアルゴリズムを見出している。スポンサーブランド、検索結果の商品リストといった有料の方法を利用するだけでなく、ブランドは売り上げを伸ばすため、コンテンツやレビュー、リピート購入を積極的に活用している。Amazonは決して多くの顧客データをセラーと共有しないが、最近はブランドに提供する情報を増やしている。つまり、そうしたデータをうまく活用する能力も競争上の強みになるということだ。Amazonのセラーが集まるFacebookのグループでは、多くのメンバーが、2018年のプライムデーより売れ行きが良いと報告していた。

Amazon戦略に特化したコンサルティング会社チャンネル・キー(Channel Key)の創業者、ダン・ブラウンシャー氏は「Amazonはいま、これまでよりはるかに上質なツールセットを提供している。つまり、ブランドはその規模にかかわらず、平等な条件で競争できるということだ」と話す。「ただし、Amazonでのブランド運営は複雑化している。プライムデーのようなイベントはなおさらだ。以前はいったん設定すれば終わりだったが、いまは万全を期さなければならない。しかも、以前よりレベルが高くなっているAmazonのツールセットを使いこなす必要がある」。

Hilary Milnes (原文 / 訳:ガリレオ)