強まる「 Cookie 規制 」:日本のパブリッシャーが知っておくべきこと・考えるべきこと

サードパーティCookieが本格的に使えなくなったあと、日本のパブリッシャーが取り組むべきポイントはどこにあるのか。

GoogleによってChromeのサードパーティCookieの利用期限が示された。すでにSafariやFirefoxなどは厳格なトラッキング規制が行われており、サードパーティCookie消滅は待ったなしの状況だ。パブリッシャーへの衝撃も小さいものではなく、ポストCookieの模索がはじまりつつある。しかし、Googleの規制には2年の猶予も設けられていることや、そもそも国外の法規制に端を発していることもあり、国内パブリッシャーの動きにも迷いがあるようだ。

だが、ヘッダービディング・ソリューションに特化したテックベンダーとして、パブリッシャーのマネタイズ支援に取り組んでいる株式会社FLUXのCEO・永井元治氏とCPO・平田慎乃輔氏は、収益に影響を及ぼすことが明白である以上、Cookie規制を踏まえた対応は不可欠であると指摘。2月12日・13日に開催された、DIGIDAY[日本版]主催のイベント「DIGIDAY PUBLISHING SUMMIT 2020」に登壇し、「強まる『Cookie規制』:日本のパブリッシャーが知っておくべきこと・考えるべきこと」と題したセッションで、Cookie規制の動向とパブリッシャーの指針を示した。

進むCookie規制の現状

ユーザーが訪問しているWebサイトのドメインから発行されているCookieをファーストパーティCookieと呼ぶのに対し、規制の対象となるサードパーティCookieはその名の通り第三者が発行するCookieだ。たとえば、ディスプレイ広告などの配信サービスのドメインから発行されたものを指す。GoogleはChromeでのサードパーティCookieを2020年2月から制限しているが現時点では猶予期間ということもあり、Cookieの属性を書き換えることで引き続き利用できる。

Googleの規制には2年間の猶予が設定されている

Googleの規制には2年間の猶予が設定されている

   

「実際に書き換え対応をしている事業者やDSPが多い印象ではあるが、あくまで一時的な手段でしかない」とし、永井氏は説明する。「Cookie規制の動きはヨーロッパやアメリカにおけるプライバシーへの懸念と、それに対応したEUの一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)や米・カリフォルニア州消費者プライバシー法(California Consumer Privacy Act:CCPA)などの法規制からはじまった。いまや日本でもプライバシーの問題は多くの人に身近な存在になりつつあり、政府当局も海外の動きに追随し、規制に乗り出す可能性が高い。本格的なCookie規制がはじまる前に、今後を見据えた取り組みが求められる」。

「国内の法規制も見据えた取り組みが必要」と語った永井氏

「国内の法規制も見据えた取り組みが必要」と語った永井氏

   

平田氏もリターゲティング広告などCookieベースの機能を持った広告が制限されることで、パブリッシャーのマネタイズに影響を与えると警鐘を鳴らす。「Chromeの普及率は高く、PCのみならずスマートフォンも対象となる。もちろん、メディアによって広告出稿の比率は異なるので、パブリッシャーによってマネタイズへの打撃の大きさは異なる。だが、Cookie規制の結果が明らかである以上、対策は不可欠だ」。

プライバシーサンドボックスはCookieの代替か

ChromeのサードパーティCookie規制に伴い、Googleが代替案として提案しているのが「プライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)」だ。Googleはターゲティングを可能にしつつ、不適切なトラッキングを抑制することが可能になるとしているが、実態はどうなのだろうか。

永井氏はプライバシーサンドボックスにおいてポイントとなるのは、「コホートベースでのターゲティング」だと述べ、その概要を次のように語った。「今後のターゲティングはユーザーごとではなくコホートベース、つまり特定の傾向を持つ一定のグループを統計的に割り出し、そのグループに対してターゲティングを行う形になるという話も出ている」。従来は各ユーザーのCookieに紐づく閲覧履歴などで属性ターゲティングをしていたが、それとはまた異なる手法で属性ターゲティングが行われることになる。

FLUXのポストCookie

Googleが設けた2年の猶予のあいだにパブリッシャーはどう対応すべきか。平田氏はファーストパーティデータの活用を提案する。「ファーストパーティデータを利用するためにDMPを導入した場合、そのコストが広告だけでは負担できないのではないか、という懸念はあるかもしれない。しかし、前述の通りCookie規制によって従来のネットワーク広告などでは収益のダメージが出ることは明らかだ。自社のユーザーデータを活用し、広告主に提案することが不可欠となる」。

そして、ファーストパーティデータを生かすのがPMPだ。「パブリッシャーに在籍していたころ、PMPへの売り込みを行う際に感じていたのが、個々のメディアを代理店や広告主になかなか理解してもらえないことだ」とし、平田氏は続ける。「作り手やオーディエンスにしかわからないよさがあることは理解しているが、メディアの価値は伝える必要がある」。メディアアライアンスによって複数のメディアを一括してSSPに販売する方法もあるが、これではメディアごとのカラーは薄くなってしまう。「ファーストパーティーデータを活用し自身の特性を伝えつつ、PMPの販売に取り組むことが求められるようになるはずだ」。

平田氏はテクノロジーや規制のスピードは早いが、記事やコンテンツのなかに含まれる文脈や情報の価値は不変だと指摘する。「FLUXはユーザーが目にしているコンテンツから、どのようなコンテキストに置かれているのかを踏まえてターゲティングができるソリューションを提案していきたい。作り込まれたプロコンテンツと断片情報の寄せ集めでは、コンテキストの観点からも『濃さ』に差が生じる。コンテキストを重視する考えが浸透していくことで、丁寧に作られたコンテンツの広告単価が上昇するだろう」。

「コンテキストを重視する考えを浸透させたい」と語る平田氏

「コンテキストを重視する考えを浸透させたい」と語る平田氏

   

「コンテキストを利用してターゲティングする手法は以前から存在するが、よりプログラマティックな仕組みをFLUXのポストCookie・ソリューションとして提供していく。コンテキスト分析だけでなく、文脈に付随する感情、ブランドセーフティやビューアビリティの観点も取り入れ、より精緻なマッチングを実現したい」と、永井氏は語る。「FLUXはドメスティックなベンダーだ。Cookie規制をはじめ、主に国外が発端となる環境の変化を国内のパブリッシャーにいわば『翻訳』し、よりフィットする形でマネタイズの改善につながるソリューション提案を行なっていく」。

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Written by DIGIDAY Brand STUDIO