レクサスはなぜ、パブリッシャーと直接コラボするのか?:ブランドとメディアの新しい関係

メディアの専門家を自社で雇うと同時に、レクサス(Lexus)は直接メディアオーナーとコラボレーションしたいと考えている。

通常であれば、エージェンシーがパブリッシャーとやりとりして広告主のためにメディア契約を行うが、小規模な契約に関してレクサスは自ら取り組んでいる。今年初頭には、レクサス社内のマーケターたちがコンデナスト(Condé Nast)との契約を結び、コンデナスト・トラベラー(Condé Nast Traveler)、GQ、ヴォーグ(Vogue)といったメディアとブランディッドコンテンツシリーズをローンチした。クリエイティブスタジオネットワーク(Creative Studio Network)と呼ばれるコンデナストの社内エージェンシーとレクサスのマーケターチームが直接協働した形だ。メディアエージェンシーはサポート役に回った。

「これは我々がエージェンシーの代わりになろうとしているわけではない。しかし、メディアオーナーたちに加えて、これらのパートナーたちと会話をすることができるスタッフを、我々が社内に持てるポジションに立つ必要がある」と、レクサスのブランドマネージメントマーケティングのグローバル責任者である、スピロス・フォティノス氏は言う。

ブランデッドコンテンツが中心

(ブランデッドコンテンツの場合)エージェンシーが持っているバイイングの力は必ずしも必要ではないため、レクサスが主に自社で取り組むのは通常のメディア契約よりもブランデッドコンテンツとなるだろう。

レクサス社内の専門スタッフによって行われるメディア展開の例としては、Amazonプライムの長編ドキュメンタリー「匠(Takumi)」もある。シェフ、切り絵職人、宮大工、そして自動車品質検査担当という4人の職人にフォーカスを当てたもの。仕事に注ぐ、彼らのコミットメントは、レクサスの自動車製造に必要なスタッフに対するコミットメントとつなげられている。ザ・アンド・パートナーシップ(The&Partnership)が、レクサスのマーケターたちと共同でこの映画を制作し、Amazonと配信契約を取り持った。

「Amazonはもはや、ただブランディッドコンテンツを配信してもらうだけのプラットフォームではない。彼らはコンテンツクリエイターだ。つまり、彼らとより密接にコラボレーションをすることができる。これまでの我々とのコラボレーションとは違った形での共同作業に、メディアオーナーたちも好意的だ」と、フォティノス氏は言う。

データ専門家たちに期待

今後、レクサスはより多くのデータ専門家を雇う計画だ。広告のターゲットではなく、計測に対するデータの使われ方に、よりコントロールを握りたいと、レクサスは考えている。リクルートがプライオリティーになるなか、社内人材に対する広告主たちの自信は衰えつつある。IDコムズ(ID Comms)が米国と欧州で129の広告主を対象に行った調査によると、2016年には自社のチームに非常に大きな、もしくは大きな自信があると回答した社は22%であったのに対して、いまでは14%、10社に2社の割合しか同様の回答を出していない。

「エージェンシーたちはデータに基づいて我々の予算がどこで費やされるのがベストか、判断をしようとする。そして我々はデータを見て、我々が取り組むべき、より広範囲なビジネス上の課題に(支出の費やされる場所が)適切かどうかを判断することができる。そのため我々は、自社にデータ専門家を確実に持つ必要がある。マーケティング部門が取り残されるということがあってはならない」と、フォティノス氏は言う。

ヨーロッパにおいてこの計画は、すでに2年間取り組まれてきている。欧州ではザ・アンド・パートナーシップから30人のエージェンシーエグゼクティブたちがヨーロッパ本社に籍を置いている。このおかげで、レクサスのマーケターたちは以前よりももっと早い段階でブリーフに自分たちの考えを反映させるチャンスを得られている。ローカルのマーケットのために広告の微調整をより早く、より初期の段階で行うことができるレベルまで達しているのだ。エージェンシーと同じオフィスで働いていることの結果として、撮影現場にマーケターが出席できる頻度も上がっている。

ハイブリット・モデルに成果

このようなハイブリット・モデルが今日において成果を出している理由のひとつには、レクサスがあらゆるレベルでコントロールをキープしていることがある。メディアオーナーたちと取引を行うこと以上に、レクサスは、ザ・アンド・パートナーシップのエージェンシー・チームにスタッフを供給することの責任も負っている。2017年に自社エージェンシーを立ち上げたとき、チーム全体のスタッフ採用とこれらのスタッフを社のカルチャーやプロセスに取り組んでいくことに100日の期間が設けられた。同時に、それまで使っていたクリエイティブやメディアエージェンシーと取り決めていたキャンペーンの最後のもののプランニングもしながら、社内エージェンシーを使って新しいキャンペンの開発もしなければいけなかった。

この変遷を率いるために、ブランドコミニュケーションズ部門のマネージャーであるエマ・レイン氏は本社へと一時的に配置換えされた。彼女は駐車場のパスの分類から、新しい契約書の作成まであらゆる業務に関わった。さらに重要なことに、会社とエージェンシーが一つの場所で共存することでカルチャー面での衝突も予測する必要があった。「これらの新しいスタッフを採用して、我々のマーケティング・モデルを変えていく中で、誰しもが口にしていた1番大きな疑問は「新しいスタッフはどんな服装をするのか」だった」とレイン氏は説明する。「短パンやサンダルを着用したスタッフが闊歩するオフィスになるのではないかと人々は心配していたのだ」。

Seb Joseph(原文 / 訳:塚本 紺)