エージェンシー各社、 GDPR コンサルタント業務を開始:アイソバーが皮切りに

「一般データ保護規則」(General Data Protection Regulation、GDPR)の遵守へのカウントダウンがはじまった。GDPRの専門家やコンサルタントがにわかに増えつつあるが、エージェンシーも遅れをとってはいない。

デジタルエージェンシーのアイソバー(Isobar)は、数週間のうちにGDPRコンサルタント業務を立ち上げる予定だ。電通イージス(Dentsu Aegis)の子会社である同社のクライアントには、コカ・コーラ(Coca-Cola)やアディダス(Adidas)、エンタープライズ(Enterprise)、P&G(Procter & Gamble)、フィリップス(Philips)、ファーウェイ(Huawei)といった世界的企業が名を連ねる。アイソバーのグローバルCEOを務めるジーン・リン氏は、各企業がGDPRを遵守しつつ、保持しているデータの活用を続けられるよう支援していくと語る。

GDPRを、ヨーロッパで販売を行うあらゆる企業に影響を与える世界的な問題だと指摘するリン氏は、「すべてのエージェンシーがこうした支援を行うべきだ」と語る。アイソバーはクライアントとのコンサルタント業務の内容と、それにともなう料金の詳細は明かしていない。

複雑に入り組んだGDPRの規則が生みだす問題は多いが、同時に市場におけるチャンスも生まれている。そしてGDPRの専門家としての資格も存在しないなかで、エージェンシーにおけるコンサルタントが、どのような人物なのかもはっきりしない。

ライバルたちの動き

GDPR関連特有のサービスを行っているのはアイソバーだけではない。大手デジタル広告エージェンシー2社の役員も、匿名を条件にGDPR関連のサービスの開発初期段階にあることを明かした。サービスはいまだ開発の段階で、教えることができる詳細も多くはないという。そのうちの1社は、クライアントであるブランドとの仕事にとりかかる前の段階で、メディアパートナー各社が確実にGDPRのコンプライアンスを遵守できるようにすることを重点としている。

調査会社ピボタルリサーチ(Pivotal Research)でシニアリサーチアナリストを務めるブライアン・ウィーザー氏は、GDPR専門のコンサルタント業務をはじめるエージェンシーも現れるのではないかと予測しており、次のように述べた。「エージェンシーは、高度なデータ戦略についてクライアントへ助言するのに適している。これまで高度なデータ戦略を俎上に載せてこなかったマーケティング担当者も多いが、そうせざるを得なくなっているいま、GDPRがそうした会話の第一歩となっている」。

そしてそのようなサービスが、いまになって浮上しつつあるのも驚きではないとする同氏は、「マーケティング担当者の大半は、ここ数週間のうちに対処しなければならない問題があることを、最近ようやく受け入れた状態だ」と指摘する。

ほかの広告エージェンシーやメディアエージェンシーは、クライアントに対して専門的なサービスをうたうことなく、比較的目立たない形でアドバイスをしている。たとえばIPGメディアブランズ(IPG Mediabrands)は、クライアントのためのGDPRに関するガイドとして、EU内の同エージェンシー内で200人の「GDPR推進担当」の研修を行なった。フルサービスのマーケティングエージェンシーであるマーカス・トーマス(Marcus Thomas)は、GDPRの遵守についてグローバルなクライアントに助言する一方で、法律顧問や専門サービスからは一線を引いている。

GDPRの及ぼす影響

これについて、マーカス・トーマスでアナリティクスおよびデジタル戦略部長を務めるスコット・チェーピン氏は、グローバルなクライアントを抱えるエージェンシーがGDPR関連のサービス提供を開始するのは理にかなっており、もしアメリカにもGDPRに相当するものがあれば同様のサービスの提供を考えるだろうと語る。

同氏は「GDPRは複雑で、どう対処すべきか答えを求めている人は多い。EU内では特にそうだろう。EUがどれくらい厳密に規制を適用し、最初の訴訟事例がどうなるか業界全体が様子見をしている段階だ」と指摘する。

そしてマーケティング担当者らの混乱は、今後数年間は続くだろうと語る同氏は、次のように述べた。「いまよりもメッセージを絞り込んで届けるのは難しくなり、それによってメディア費用で無駄がかさむ可能性は否めない。数週間前にGoogleがDoubleClickのユーザーIDについて行った変更によって、北米のマーケティングもまたヨーロッパと同じくらい影響を受けるかもしれない」。

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Ilyse Liffreing(原文 / 訳:SI Japan)