「昔ながらのエージェンシーモデルは、もう過去のものだ」:日産のジャン・ピエール・ディアナズ氏

日産自動車は2018年、ほとんどの時間を費やして、コネクティッドカーに挑み続けてきた。

日産における欧州のトップマーケターであるジャン・ピエール・ディアナズ氏によると、コネクティッドカーは次の大きなメディアチャンネルになるという。これからの12カ月、そうした車輌から集めたデータが、クリエイティブからプログラマティック広告の購入まで、日産のマーケティングのすべての面を知らせるようになるだろう。

以下、読みやすさのためにインタビューの内容は凝縮されている。

――このシフトに対してどのような準備をしてきたのか?

日産の自動車は、今後12カ月以内に100%コネクティッドカーになるだろう。つまり、車輌から送られてくる毎分数メガバイト分のデータ処理が数ギガバイト分の処理へと変わることを意味する。こうした洞察に対応するため、我々は、2018年に多くの時間を費やし、我が社のデータ管理プラットフォーム(以下、DMP)向けのより堅牢な戦略を考えてきた。欧州ではいま、すべての企業がプランニングの一部としてDMPを使用しているが、2018年の前半はそうではなかった。我々は、持っているデータを充分に活用できていないことに気づいた。

――それが実現したら、どのようなことになるのか?

ドライバーの運転の状況に加え、我々は各車輌のデータポイントを利用して正確なマーケティングメッセージをドライバーとやりとりし、自分で運転しているとき、あるいは自動運転中に彼らに関連のありそうなサービスを知らせることができるようになる。我々はオンラインチャンネルとオフラインチャンネルを橋渡しする必要があり、それを助けてくれるのがコネクティッドカーだ。2019年にサブスクリプション型マーケティング戦略と呼んでいるものを推し進めようとしている理由もここにある。たとえば、主に週末に自動車を使う家族に、自動車向けのWi-Fiホットスポットのサブスクリプションを勧めることもできる。

――サブスクリプション型マーケティングモデルを準備しているということは、マーケティングをさらに内製化する必要があるということか?

その答えは「はい」でもあるし「いいえ」でもある。我々が、我々の広告についてのデータ解析をコントロールするのは当然のことだ。我々は顧客のプロフィールを豊かにしようとしているのだから、それは重要だ。我々はいま、さまざまなチャンネルから2200のデータベースをまとめようとしており、コネクティッドカーはその一部だ。そのデータは我が社のDMPに取り込まれるので、我が社のマーケターはそれを直接操作する必要がある。我々のメディア戦略の他の側面は、エージェンシーに任せておくことになるだろう。我々には彼らの専門知識がまだ必要なのだ。

――そこにはプログラマティック広告の購入も含まれるのか?

プログラマティック広告を購入する予定は、我々にはない。それはエージェンシーに任せておくほうがいいだろう。しかし我々は、彼らが購入するものをすべてチェックしている。私のチームは、金曜ごとに各市場での日産のすべてのプログラマティック投資を確認し、エージェンシーに翌週のアクションプランを渡している。我が社は大企業であり、マーケターからなる私のチームは、単なるメディア購入以外の責任を負っている。

――プログラマティック広告への支出をどのように可視化しているか?

プログラマティックオークションのダイナミクスの理解に関して、我々は入札サイドにもっと敏感になる必要がある。これは、我々が行う入札の監査と人々が行っている投資の質の監査を通じて着目していることで、我々は、エージェンシーに雇われている専門家の知識やスキルを十分認識している。これは我々が大きなオンラインプラットフォームで行っていることと似ており、欧州レベルでは毎月、グローバルレベルでは四半期ごとにエージェンシーと顔を合わせている。エージェンシーとともに推進する最善策についてのインテリジェントな視点を教えてくれる合弁ビジネスプランに基づき、こうしたプラットフォームを使って作業をする専属チームのメリットは大きいと思う。

――エージェンシーを完全に信頼しているという意味か?

関係は改善しつつある。我々がクライアントとして、パートナーに期待すること、お金を払う用意ができていることを明確に説明する責任は我々にある。私が望む透明性のレベルにはまだ到達していないが、それに向けての取り組みを進めている。次のエージェンシーモデルは、オンライン広告はプラットフォームやアドテクによって細分化が進み、投資するお金を我々自身でしっかり管理できるようになろうとしているという事実によりうまく対応する必要がある、と私は感じている。

――それはどのようなモデルになるのか?

我々はいまそのプロセスのまっただ中にいて、現状で言えることはあまりない。昔ながらのエージェンシーモデルは、もう過去のものだと誰もが知っている。チームの構造やその場所から、メディア購入に利用されるプロセスやツール、状況報告まで、エージェンシーとの仕事の仕方を全面的に変えようとしているところだ。新しいモデルは、エージェンシーとの統合がさらに進んだ、共同作業型アプローチに近いものとなり、データやクリエイティブ、そしてITをひとつに融合させたものになるだろう。未来のオンライン広告は、いまよりもさらに細分化される可能性があり、我々はパートナーによる教育の支援を必要としている。さもなくば、どこに何がどれだけ流れているかがわからなくなるだろう。

――それはつまり、特にアドテクスタックに関しては、パートナーとの作業が増えるということか?

我々がやろうとしていることに価値を追加してくれそうなニッチな専門家がたくさんいるので、アドテクスタックの細分化は今後さらに進むだろう。買ったばかりのツールを改良するための新ツールは常に存在する。にもかかわらず、私は最高のパートナーを選ぶほうが好きだ。たとえそれが、我々のアドテクスタックの価値を細分化することを意味するとしてもだ。我々にはこの視点を受け入れる余裕がある。各ベンダーの組み合わせ方を理解しやすくするレベルの統合と制御と管理が、我々にはあるからだ。何もかもを1人のプレイヤーに集約させて、我々がいるすべての市場でそれを使うほうが簡単だろう。だが、それで効率はいくらかよくなるだろうが、効果のほどを確かめることは難しいと思う。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)