「広告主がコストに流れるのなら、もう引き留めはしない」:ブランデッドコンテンツにおけるマージン圧迫という困難

ブランデッドコンテンツは、広告収益に依存しているパブリッシャーの多くにとって不可欠な収入源だ。しかし、競争の激化や近視眼的なメディアエージェンシーの指標が、一部のパブリッシャーのマージンを削り、経営的に圧迫しはじめている。

コロラド州ベールで開催された米DIGIDAY主催のパブリッシング・サミットで、ドットダッシュ(Dotdash)のCEOを務めるニール・ボーゲル氏は、ベンチャーによる支援を受け、収益成長を目論むパブリッシャーたちが、収益性が高いかどうかにかかわらず、ブランデッドコンテンツ市場の価値を低下させていると語った。ポップシュガー(Popsugar)のCRO、ジェフ・シラー氏は、ひとつのパブリッシャーが黒字を確保して制作できるよりも多くの動画制作を提供するベンチャーに大きく依存しているパブリッシャーが存在しており、同社のブランデッドコンテンツスタジオ、ザ・ベーカリー(the Bakery)は、そんな彼らによる提案に対抗する必要が出てきていると述べた。

パブリッシャーたちの提案では、それぞれの価格の違いが著しく、パブリッシャーのなかには彼らのマージンをさらに圧縮する先例を作るよりも、むしろ既存のクライアントを失うことを望むものもいる。「それが避けられないのであれば、彼らを引き留めることはしない」と、アトランティック・メディア(Atlantic Media)のプレジデントを務めるマイケル・フィネガン氏は語った。 

需要は多いものの

ブランデッドコンテンツ配信プラットフォーム、ポーラー(Polar)によると、ブランデッドコンテンツに対する世界的な支出は、2020年には134億ドル(約1兆3400億円)に達すると予測されている。その数値は2018年に達成が見込まれていた70億ドル(約7835億円)の2倍弱だ。同じくポーラーによると、それは複合年間成長率40%を意味しているという。

パブリッシャーたちは、そうした成長を広告収入の減少を乗り切るために利用するのみならず、コンサルティング、体験型ビジネス、またはインフルエンサーマーケティング業務といった拡大を伴う最先端のブランドスタジオビジネスを構築するために利用してきた。昨年の米DIGIDAYによるパブリッシャーへの調査では、回答者の3分の1近くが、ブランデッドコンテンツがもっとも重要な収入源であり、成長の可能性がもっとも大きい分野だと答えている。

しかし、いくつかの出来事がパブリッシャーたちのマージンを圧迫しはじめている。たとえば、メディアレーダー(Mediaradar)のデータによると、ここのところ、この種の広告を購入する広告主の数は横ばい状態であり、2018年の年頭から2500から3000のあいだで、ほとんど動かない状況だ。

さまざまなネガティブ要因

ブランデッドコンテンツの成長の鍵となる重要な要素の有料Facebook配信は、着実に価格が上がっている

パブリッシャーのなかには、オーディエンスの関心を集めている番組のブランデッドエピソードを販売し、上昇する有料メディア費用に対処しようと試みるところもある。「ひとつのエピソードで50万から100万の視聴回数を獲得すると予測できるのであれば、それは意義がある」と、ある情報筋は述べた。

エージェンシーからもプレッシャーがかかっている。ほとんどのパブリッシャーがいまだにエージェンシーたちに翻弄されているのだ。彼らは、指標を確認することによってブランデッドコンテンツの価値を判断しており、パブリッシャーたちにいわせると、そのために質の高いコンテンツ制作が困難になるという。たとえば、サミットに参加したとあるパブリッシャーによると、エージェンシーは「ページビューに対する収益額(eCPV)」というプリズムを通して、すべてのものごとを判断する。これは一部のパブリッシャーがいうところの、質の高いコンテンツに大きく予算をかけるパブリッシャーに、さらなる圧力をかけることになる戦略だ。

「この分野でこれからも成長を見込むつもりなら、教育が必要だ。こうした質の高い制作物に対して、『我々のeCPVは4セントでなければならない』と、彼らは要求する」と、その情報筋は述べた。

問題を回避するために

これらの問題を回避するために、パブリッシャーたちはエディトリアルスポンサーシップ販売という考えに立ち返っている。アトランティック(the Atlantic)は、そのスポンサーシップをより多次元にすることをめざしてその戦略に戻っているが、その戦略は何年も前に支持されなくなっていると、フィネガン氏はいう。大規模なエディトリアルシリーズが特定のブランドによって後援されていることを単に記事の冒頭で明記するのではなく、パブリッシャーたちは、イベントで物理的なスペースを提供することを含め、広告主を取り込んだり、大規模なエディトリアルプログラムで特別に制作されたシリーズのために動画で貢献したりするなど、より多くの方法を模索していると、フィネガン氏は語った。

ほかのパブリッシャーは、パフォーマンス型広告手段としてのブランデッドコンテンツの使用に一歩踏み出している。ニューヨーク・マガジン(New York Magazine)とターナー(Turner)のソーシャルメディアエージェンシー、ランチパッド(Launchpad)は、広告主の売り上げを伸ばすためにブランデッドコンテンツの使用を開始した

多くのパブリッシャーが求めている解決策は、ブランド自体と直接協力することが含まれる。ワシントンポスト(Washington Post)のWPブランド・スタジオ(WP Brand Studio)の責任者、アニー・グラナスタイン氏は、この問題の解決策は、ブランドで「コンテンツを理解する」人材を探すことにあると述べた。すべてのブランドにそうした人材がいるわけではないが、そんな人材はこれからますます一般的な存在になるとグラナスタイン氏はいう。

Max Willens(原文 / 訳:Conyac