キヤノンUSA、プロ向け施策を インフルエンサー にも拡大

キヤノンはこの23年間、プロカメラマン向けのプログラム「エクスプローラーズ・オブ・ライト(Explorers of Light)」を運営してきた。プログラムに参加するカメラマンは、イベントでキヤノンを代表している。だが、インスタグラム(Instagram)時代のいま、キヤノンは、プロカメラマン42人が参加している「エクスプローラーズ・オブ・ライト」プログラムにアマチュアカメラマンのインフルエンサー40人を加えた。

「プロと普通の人との隔たりを埋め、若い世代に手を差し伸べたい。人々は、写真は自分で撮れると感じたがっている」と、キヤノンのマーケティング担当シニアディレクターを務める、ドリス・ツァイ氏は話す。

これらのアマチュアカメラマンであるインフルエンサーは、キヤノンの「エクスプローラーズ・オブ・ライト」プログラムの新しい固定層となる。キヤノンは、旅行やフード、健康、ライフスタイルといった質の高い画像を生み出す分野で、オーディエンスをターゲットにしているインフルエンサーを選んだ。キャノンは、同社の製品を使って撮影されたインフルエンサーの写真コレクションを保存する専用ページ「アーカイブ(aRchive)」を作成している。たとえば、インスタグラムにフォロワーが10万人近くいるインフルエンサー、デズモンド・イズ・アメージング(Desmond is Amazing)は、「ドラッグキッド(子どものドラッグクイーン)」を自称し、キヤノン製カメラで撮影されたという写真をインスタグラムで共有している。同じくインフルエンサーのケイト・ウッド氏は、フード専門ブロガーで、自身のブログ「ウッド・アンド・スプーン(Wood and Spoon)」でキヤノンを宣伝している。

最新のキャンペーンでは、キヤノンはこれらのインフルエンサーのうち20人に協力を求め、ユーチューバーのデビン・グラハム氏とともに、新製品のミラーレスカメラ「EOS R」を宣伝する動画を撮影。それをYouTubeやインスタグラムなどのプラットフォームで、展開してもらった。グラハム氏のYouTubeチャンネル「devinsupertramp」は、500万人以上のサブスクライバーがおり、視聴回数が10億回を上回る。視聴回数が30万回を超えたこの動画のなかでは、グラハム氏が、飛行機から滑り落ちている。

インハウス化と外部委託

キヤノンは、インフルエンサーエージェンシーに外部委託している。だが、製品主体の小規模な特別の宣伝用に、5人体制の社内チームを通じて10人前後のインフルエンサーと直接協働している。すべてをインハウス化したいのか、インフルエンサーエージェンシーを利用したいのか、まだ迷っているところだ。

「エージェンシーと協働してもデータは得られない。インフルエンサーはまだデータを提供できる。測定のレベルから、誰かが何かを投稿すれば、こちらで追跡できるし、そのほうがはるかに簡単だ。彼らのチャンネルでは、そうした情報を得るのにエージェンシーに依存しなくてはならない。何が最善の方法かまだ検討中だ」と、ツァイ氏はいう。

ツァイ氏によると、インフルエンサーキャンペーンのインハウス化には多くの時間が掛かり、こうした少人数のチームでは、いまのところ実現できないという。「ひとつずつ契約交渉しなくてはならない。その管理にはもっと大人数のチームが必要だ」。エージェンシーがキヤノンと提携しているタイプのインフルエンサーでは特に、エージェンシーが専門知識や人脈ももたらせると、ツァイ氏は述べている。

「必要な調査に要する延べ時間数は、控えめに言ってもかなりになる。契約や法的問題、評判、すばらしいブランドアイデンティティーの保証など、多くの要因を検討する必要がある」と語るのは、コンサルタント会社MBcの創業者でマネージングディレクターでもあるミシェル・ブラッドリー氏だ。

ユーザーとつながる手段

キヤノンにとってインフルエンサーは、より多くのオーディエンスとつながる手段にとどまらない。インフルエンサーは、ターゲットのオーディエンスでもある。スマートフォンの台頭は、アマチュアの写真撮影の増加をもたらし、いつでも好きな時に写真を撮れる手段を皆に与えた。これは一般の人々にとってありがたいことかもしれないが、キヤノンの場合は、このグループがスマートフォンにこだわるか、キヤノンの製品を導入するか知る必要がある。

キヤノンは、インフルエンサー自体を調査して、独自の情報を得ている。10月には、世論調査をおこなうハリス・ポール(Harris Poll)と提携し、コンテンツの作成にスマートフォンだけでなくカメラを使用しているかどうか、インフルエンサー1000人を対象に調査を行った。調査結果によると、73%のインフルエンサーがデジタル一眼レフカメラを所有し、86%が、カメラはコンテンツの作成に利用するもっとも重要なツールだと回答した。

「クリエイターのあいだには、インフルエンサーはスマートフォンしか使わないという誤解がある。インフルエンサーと協力することで、カメラの高度な機能と長所によって、どうすればコンテンツの質を向上できるか、次世代のクリエイティブに情報を提供する機会を作っている」とキヤノンの担当者は語った。

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Ilyse Liffreing(原文 / 訳:ガリレオ)