サイバーマンデーの顧客を、いかに「常連客」にするか?

サイバーマンデーがやって来たことで、顧客やブランドはどちらもホリデーショッピング気分が続いているようだ。

ホリデーに関しては、プロモーション期間が長くなれば、より大きな売り上げのチャンスも増える。2018年では感謝祭とクリスマスのあいだに32日間存在していたが、今年は26日となっている。アドビ・アナリティクス(Adobe Analytics)によると、2018年にはブラックフライデーにオンラインで消費者は62億ドル(約6740億円)を消費した。これは年比較で24%近い伸びとなっている。そしてサイバーマンデーの場合は19%の増加で79億ドル(約8590億円)だった。しかし、感謝祭とクリスマスのあいだの日数がほぼ1週間分も減ってしまったことで、ブランドたちはより少ない時間で多くを売ろうとしている。

セール戦略は「諸刃の剣」

ギャップ(Gap)のようなブランドたちはこれまで、割引に頼ったために大きく苦しんできた。セールでの商品購入を顧客に教え込んでしまうと、通常価格では購入しなくなってしまう。ビューティやウェルネス分野のブランドにとってはこの問題は小さいものだが、企業はただ一度購入して終わりにならないよう、ホリデーシーズンを越えて取り組む必要がある。これは特に、消費者にダイレクトに販売するD2C売り上げが大きい企業に当てはまることだ。

「下方スパイラルになり得る。顧客がウェストエルム(West Elm)とポッタリー・バーン(Pottery Barn)から毎日15%オフを得ると、それを期待するようになり、最終的にはプロダクトの価値を下げてしまう」と、アイリス・ノヴァ(Iris Nova)のCEOかつファウンダーであるザック・ノーマンディン氏は言う。

ホリデーシーズンに注目すると、オンライン売り上げは継続して増加している。2015年には顧客のたった52%がeコマースサイトで買い物をした、と報告していたのに対して、今日ではその数字は59%となっている。それでも、チャンネルにかかわらず、ブランドは過度な宣伝やギミックから身を守る必要がある。ブラックフライデー、サイバーマンデー、クリスマス、が並ぶシーズンの、消費者たちの注目を長期的な顧客のそれへと変換することが重要だ。

LTVを高めるサービス商品

アイリス・ノヴァが抱える飲み物ブランド、ダーティ・レモン(Dirty Lemon)は愛好者に提供するためにブラックフライデー用にプラチナムVIPメンバーシップを作った。5000ドル(約54万円)を支払うことで、顧客はダーティ・レモンのプロダクトを一生、無制限に利用できるというものだ。先着100名だけのオファーとなっている。さらに、現時点で7万5000人のメンバーを抱えるVIPプログラムだが、それに上位のバージョンを追加するようだ。このプログラムでは月額料100ドル(約1万800円[税別])でダーティ・レモンのプロダクトを無制限に得られる。現時点で、VIPメンバーには月額45ドル(約4893円)で月に1度、プロダクトが詰め込まれた箱が届けられ、これは通常顧客には65ドル(約7068円)で販売されるものだ。

「この時期買い物客たちはセールを狙っていることを考えると、型破りだ。しかし我々は長期間に渡って我々のプロダクトの恩恵を得たいと考える人々に報いたかった」と、ノーマンディン氏は言う。

ノーマンディン氏の概算によると、30代でダーティレモンを飲みはじめた人物が70代になっても飲み続けていた場合、この5000ドルのメンバーシップのコストは1日1ドル以下になるだろう、とのことだ。

「ひとりの顧客の生涯価値、彼らの長期にわたる消費量を定めることができれば、たった1回買ってもらっておしまい、にはならないことが分かる。自分のブランドにそのようにアプローチしないと、ビジネスにおいて破滅的だ」と彼は語った。

特別な体験サービスを付与

化粧品サンプルのサブスクリプションサービスであるバーチボックス(Birchbox)もまた、ホリデーシーズンで顧客へ追加のオファーを届けようと取り組んでいる。11月からクリスマスにかけて、自宅にプロがやってきてヘアやネイルをしてくれるグラムスクワッド(Glamsquad)のサービスをサブスクリプション購入にボーナスとして付けている。6カ月のビューティ・ギフト・サブスクリプションであればヘアブロー2回、そして12カ月のサブスクリプションであれば2回のヘアブローとメイクアップ・サービスが1回、無料でついてくる。

バーチボックスはこれまで、ビューティサービスをサブスクリプションに組み入れたことはなかった。しかし、最高顧客責任者であるアマンダ・トールソン氏は、ホリデー期間には買い物客はイベントやパーティに出かけるため、ビューティサービスは彼らの念頭にあるものだと述べる。

「関係性を作るビジネスにいるため、自社のホリデー売り上げだけを考えているわけではない。友人にギフトをプレゼントし、自分自身のホリデー体験も向上できる、というのが今回のアイデア。ギフトを受け取った人だけでなく買った人にも報いたい」と、彼女は述べた。

サブスクライバーとの交流機会に

バーチボックスはまた「25日間の喜び(25 Days of Cheer)」プログラムにも付け加えている。無料の景品をサイトで提供することでトラフィックを増やすのが狙いだ。最初の景品はセントクロイ島での4日間の滞在だった。トールソン氏はショッピング体験をゲーム化する手法のひとつだという。

「これは売り上げを狙うチャンスではなく、どんな景品を得られるチャンスがあるか顧客に毎日訪れてもらって見てもらおうとする狙いだ」と彼女は語った。

トールソン氏は、2年続けてこの種類のトラフィック誘導作を行った。そのあとに、2018年だけ行わなかった際、2017年と比較して2桁のサイト訪問減少が起きたという。2016年と2017年には、「12日(12 Days)」と題されたプロモーションで82万のサイト訪問、そして67万の景品応募があった。

これ以外には、12月4日まで15%、20%、25%、と言ったディスカウントを展開している。

バーチボックスはグローバルで100万人のサブスクライバーを抱えており、これらの戦略はすべてホリデーショッピングを増加させることが狙いだ。昨年、売り上げの55%はホリデーシーズンにおけるサブスクライバーから来ていた。トールソン氏は今年、この数字が70%に上るだろうと見ている。

追加のギフトをプレゼント

ダーティレモンとバーチボックスの売り上げの大部分は彼らのeコマース・サイトから来ている。しかし、今年はじめてバーチボックスはウォルグリーン(Walgreens)とパートナーシップを結んでいる。この契約には彼らの8000店舗におけるギフトカードの販売、そしてホリデー用のバーチボックス・プロダクト専用棚を500のロケーションで展開することが含まれている。バーチボックスのプロダクトのフルサービスは11店舗に限られている。

より大きなリテールパートナーシップを抱えるビューティとウェルネスブランドたちにとっては、これは少し複雑になる。韓国のビューティリテーラーでブランドのピーチ・アンド・リリー(Peach & Lily)はサイト全体で30%の割引を行っている。しかしウルトラ(Ultra)で販売されているピーチ・アンド・リリー・コレクション(Peach & Lily Collection)のプロダクトはそこに含まれない。ピーチ・アンド・リリーが抱えるフェイスマスクのうち3品は、コレクションのプロダクトをサイトで購入したときにギフトとして入手可能となっている。

2018年に3000万ドル(約32億円)の年間売上を達成したピーチ・アンド・リリーだが、このホリデーショッピング・シーズンにおいてサイトのトラフィックは1000%の増加を見ている。彼らもディスカウントをすることでコレクションの価値が下がることを避けた形だ。

「これは常に定額であり続けるだろう。これは従来では180ドル(1万9000円)のものだから。そのような高価な値段を下げることはできないとはわかっていた」とCEOでありファウンダーのアリシア・ユン氏は言う。39ドル(約4240円)で販売されるグラススキン・セーラム(Glass Skin Serum)を例に挙げ「この日常的な価格を生み出すことの方が、割引してプロモーションするよりも重要だった」と語った。

リテーラーとパートナー関係

しかしウルトラでは、ブラックフライデーとサイバーマンデーにおいて、ピーチ・アンド・リリー・コレクションのプロダクトも割引される。

「期間限定ではあるものの、リテーラーとパートナー関係を持つと決めたときに受け入れられる妥協点として決めたことだ。これはよく理解したうえでパートナーシップを開始した点であり、『あなたたちと販売をはするけども、あなたのルールには従わない』とは言わなかった」と彼女は語った。

ノーマンディン氏同様、ユン氏はブランデッドプロダクトに関してはセール文化を避けようとしている。ブランド内に構築されたコミュニティ対策がピーチ・アンド・リリーのヘビーユーザーを引きつけることを願っているようだ。

Priya Rao(原文 / 訳:塚本 紺)