「 Amazon’s Choice 」表示は、かつて 入札 できた!? : 複数の米上院議員が問題視

Amazonがかつて、ベンダーに対してAmazon’s Choice表示を「入札」できるようにしていたことが明らかになった。条件は商品価格を下げることと、より多くの広告費を支払うことだ。最近、複数の米上院議員がこの問題を取り上げている。

この仕組を実際に利用したベンダーがいるかは不明だ。また現在は撤廃されたこのプログラムがどれくらいの期間利用可能だったかも不明だが、ある関係者は数カ月行われていたと明かしている。

Amazon’s Choiceは商品が推奨されていることを表すマークで、対象商品は検索結果でより上位で分かりやすい位置に表示される。Amazon’s Choiceを選ぶ正確なアルゴリズムは公開されていないが、これまで一般的に商品のリスティングや仕様、価格、レビューなどにもとづいていると考えられてきた。

だが、関係者によると、Amazonは2017年頃に販売業者に対してこのマークを入札で販売していたという。

営業資料に書かれた詳細

米DIGIDAYが営業資料を確認したところ、特定の商品カテゴリーについて同入札プログラムに関する詳細が記載されていた。同資料には2015年にローンチされたAmazon’s Choiceプログラムについて説明されており、Amazonの検索結果ページでより分かりやすい位置に表示され、販売数と収益増につながるブランドにとってプラスのシステムと解説されている。たとえばAmazon’s Choiceに選ばれたある電化製品は、四半期あたりの販売数が10%増加しており、選ばれて数週間以内に商品ページの閲覧数も増えている。

実際Amazon’s Choiceに選ばれれば表示上有利であり、コンバージョン率も高まるのだ。Amazonはこれを支払い前提のシステムにしたわけではないが、システムの操作とも捉えられる仕組みを作り上げていたことは間違いない。

同プログラムの存在と内容について問い合わせたメールに対し、Amazonの広報担当はプログラムのオファーは行われていないと回答している。

入札における判断基準

各入札で判断基準として重視されていたのが、レビューと在庫率だ。Amazonはブランドに対して、12カ月間製品在庫を切らさず、カスタマーレビューを星4つ以上に保ち、商品のサブカテゴリーとして一定の技術的仕様の掲載を要求していた。いうなれば、Amazonはすでに高品質の製品を販売しているブランドからの入札しか受け付けなかったということだ。

そういったブランドの商品を各カテゴリーでより目立たせることで、最大限の収益を確保しようというのがAmazonの狙いだったといえる。Amazonの戦略ベンダーサービスマネージャーがあるクライアントのブランドへ送ったメールのなかでは、入札で勝つために販売価格を30ドル(約3200円)下げることを勧めている。これによってAmazonの販売利益は増加する。ベンダーにとってAmazon内部へのアクセス手段と捉えられている戦略ベンダーサービスマネージャーを利用するには年間数十万ドル(数千万円)かかる。

あるエージェンシー関係者によると、入札プログラムは2017年に短期間運用されたもののその後撤廃され、現在Amazon’s ChoiceはAmazonのアルゴリズムによって選ばれているという。Amazonのベンダーと販売業者の関係者らはAmazon’s Choiceについて、在庫とコンバージョン率、カスタマーレビュー、価格、Prime配達といった面で優れた商品を、有利な位置に表示するためのものだとしている。だがAmazonによる悪質な推奨はこれまでも問題となってきた。BuzzFeedが6月に公開した記事のなかでAmazon’s Choiceの何十という商品を検証したところ、質の低い商品や欠陥品、販売業者によるレビュー操作が行われた商品などが多く含まれていた。

このプログラムの問題点

8月第3週に2人の米上院議員がジェフ・ベゾス氏を喚問、Amazon’s Choiceの選択方法について説明を求めた。なかでも焦点となったのが販売業者が金を払うことでAmazon’s Choiceを獲得できたのかどうかで、もし事実であればAmazonのマーケットプレイスにおける競争の阻害にあたる。ワシントンではAmazonの解体すら一部で検討されている。

たとえ短期間であっても一時期ブランドがAmazon’s Choiceを入札で獲得できた場合、商品の信頼性に関してカスタマーを欺き、Amazonにおける競争システムに関して販売業者も欺いたことになる(同プログラムはファーストパーティベンダーのみが対象で、サードパーティベンダーは非対象だった)。

同プログラムについて詳しい関係者は次のように指摘する。「問題はまさにその点にある。もし競合他社が入札していたのに、自分たちは入札できなかったらそれは大問題だ。ポートフォリオの大きな購入力のあるブランドであれば、実際に購入してもまったく不思議ではない」。

不誠実な印象の対応

Amazonは過去に魅力的なブランドを引き入れる取り組みを進めており、今回の件も入札対象になるようなブランドに有利な措置を行ってきた。営業資料にはマーケティング上の優位な点が記載されており、最高クラスの分析を無料や割引価格で受けられるほか、Vineプログラム(カスタマーに商品を送るかわりにレビューしてもらうプログラム)やメールでの宣伝、在庫販売における優遇などを12週間にわたって受けられるとのことだ。

一方、AmazonはブランドがAmazon’s Choiceを獲得するにあたり商品の掲載により多くのリソースを割くよう求めている。営業資料には各入札で検討される点として、カスタマーからの返品率や破損率、過去の販売数、専門家のレビュー、利益の伸び、Amazonの広告商品に対するマーケティング投資、コンテンツ作成、宣伝規模などが挙げられている。このうちマーケティング投資については、Amazonは入札者に商品宣伝の投資計画およびすでに行っているマーケティングをまとめて提出するように求めている。

Amazonから営業を受けたある関係者は「Amazonはベンダーにはおいしい話を持ちかけていた」と語る。「だが販売業者は知らされておらず、カスタマーも全体像について知りようもなかった」。

Hilary Milnes(原文 / 訳:SI Japan)