米・セブンイレブン、「レジ無し」店舗へ新規参入:しかし、業界普及はまだまだの段階

レジ無し店舗をめぐる競争に新たな参加者が現れた。

米・セブンイレブン(7-Evelen)は2月、テキサス州アーヴィングの本社において試験的プログラムとして「レジ無し」店舗の運営を開始した。これによってレジ無し店舗をめぐる競争へ新たに加わった形だ。700平方フィート(約65平方メートル)の店舗は2月5日にオープンされた。現時点ではアプリを使い、従業員が利用できる店舗となっている。アプリ経由でチェックインをし、買い物をし、店舗を出ることができる。

買い物客に、レジにおける長い列を除くといった摩擦のない会計プロセスを提供しようとするリテーラーの波に、今回のセブンイレブンのプログラム開始は加わった。現状でテストがどのような成果を見せているかについては広報担当はコメントをしなかった。

レジ無し店舗の厳しい現状

あらゆる種類の企業からレジ無しに関するテストがたくさんと世に出ているが、まだ広範への拡大は起きていない。試験運用が世に出てから少なくとも2年が経過した。セブンイレブンも、もともとはレジ無し店舗のコンセプトを2018年末に発表していた。ここ2年ほど、サムズクラブ(Sam’s Club)やジャイアント・イーグル(Giant Eagle)といったリテーラーたちはシームレスな会計テストをローンチしてきた。これは最終的には全国のロケーションに拡大することが狙いだった。本格的な拡大という点ではAmazon Goのみとなっている。Amazon Goはリテーラーたちに可能性を示した。しかし自社開発の技術を使ってこれを可能にしたAmazonだが、これをライセンス化して他社に使わせる計画はないようだ。つまり、いまからレジ無しに参入する企業はすでに遅れをとっていることになる。

レジ待ちの列や万引きによる損失といった、実店舗が抱えるいくつもの問題への解決策として、レジ無し店舗の導入方法がいくつか提案されてきた。その一方で批判も集めている。Amazonが2016年に最初にレジ無し店舗を発表したとき、監視カメラとセンサーを組み合わせた購入モニタリング形式はプライバシー侵害の可能性があるとして批判を集めた。

レジ無し店舗のコンセプトはまた、レジ勤務の仕事を削減するものとして見なされてきている。Amazonは、店舗のスタッフは再編成されるだけだと説明することで懸念に対処することになった。昨年5月には、ニューヨークのAmazon Go店舗で現金を受け付けることになると認めた。これは現金を利用する買い物客に対する差別をなくすための法律が提案されているなかの動きだ。ロジスティクス面では、商品を手に取って出ていくだけのAmazon Goの仕組みをより大きなロケーションで実装することには困難が生じており、そのため技術改善の投資額を高めている。

その一方、期待も広がっている

そうは言っても、これらの問題があるからといってリテーラーたちがレジ無し店舗に飛びつくことは止まらない。

CBインサイツ(CB Insights)のリテール・テック(Retail Tech)報告書によると、実店舗におけるAI技術の活用は2020年に入っても増加を続け、レジ無し会計のトレンドの成長をさらに助けるだろうとのことだ。店舗内におけるテック部門の支出は、2019年に年間37億ドル(約4116億円)に達している。これには店舗リテールテック企業による取引やファイナンスも含まれる。これは2015年の年間12億ドル(約1335億円)からの急上昇となっている。

既存のリテーラー向けのレジ無し技術を構築しているスタートアップ自身も成長している。アイファイ(AiFi)、ジッピン(Zippin)、グラバンゴ(Grabango)といったスタートアップはどれも2019年の資金調達で数百万ドル(数兆円)を調達してスケールに挑戦している。

2016年のローンチ以来、リテール顧客の需要は増加していると、グラバンゴの最高ビジネス責任者アンドリュー・ラドロー氏は言う。グラバンゴはスーパーマーケット・チェーンのジャイアント・イーグルのレジ無し技術構築をサポートした。彼らの技術は現在、マシーンラーニング・モードにあり、2020年のどこかの段階で、公式にローンチすると期待されている。

「需要はますます高まっている」

「需要はますます高まっている」と、ラドロー氏は言う。グラバンゴの技術を備えたジャイアント・イーグル店舗の買い物客たちからのフィードバックは、ほとんどがポジティブなものだと語る。

「買い物客のなかには、レジ無しアプリを使って、レジの長い列を通り過ぎるのを楽しみにしている者もいるようだ」と、ラドロー氏は語るが、グラバンゴの技術は完全な自動化ではなく、「レジも含まれる形」と形容する。「店舗従業員たちはアルコール飲料の購入の際には身分証明書のチェックをするし、現金収集、一般的な買い物客とのコミュニケーションにも彼らが必要だ」。

ラドロー氏はまた、彼らの技術に対する問い合わせもここ数カ月で増えていると語った。現状、複数の契約交渉が進んでいるとのことだ。これは近い将来に、AIを活用したレジ無しシステムの実装を検討しているリテーラーが増えていることを示している。

スターバックスにおける成功事例

シームレスなレジ無し会計は、ここのところ増加し続けている。そんななか、スターバックス(Starbucks)のピックアップ・プログラムも徐々に台頭している。彼らが展開するピックアップのみの店舗のうち、最新のものは昨年ニューヨークにローンチされたが、店舗の成果についてスターバックスはコメントを控えた。広報担当者によると、モバイルのオーダー・アンド・ペイ(Order & Pay)プログラムは顧客利用が増えているという。スターバックスが最近リリースした2020年第1四半期の収益報告では、モバイルでの注文がアメリカでの取引の約17%を占めている。ピーク時間帯では5400ほどの店舗において、モバイルからの注文が20%を越えているという。

「我々が目にしていること、耳に届いている声からすごく励まされている。顧客エンゲージメントは高く、この体験について従業員と顧客からポジティブなフィードバックを受け取っている」と、声明でスターバックスは述べた。

Gabriela Barkho(原文 / 訳:塚本 紺)