ロックダウン のなか、賃貸再契約を試みる D2C ブランド勢

D2Cの実店舗ブームは2020年3月、急停止した。

ブランドのオフライン化に特化するプラットフォーム勢は現在、同じブランドを今度は賃貸契約にまつわる制約から解き放ち、新型コロナウィルス感染症拡大によるシャットダウンの影響を軽減する術も模索している。

D2Cをまとめるリープの事例

レッドベリー(Ledbury)、グッドライフ(Goodlife)、コイオ(Koio)といったeコマースブランドにニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、マイアミの店舗を賃貸するリテールスタートアップ、リープ(Leap)は現在、ブランド勢の家主から、願わくは1〜2週間の賃貸無料を含め、さまざまな譲歩を取り付けるべく動いており、長期にわたる賃貸契約の変更も視野に入れている。

ただ、事例はないに等しい。多くの契約書は「不可抗力」条項を設け、契約当事者の債務履行を阻害する不測の事態に言及している。だが、再交渉を認める事由として、必ずしも伝染病が明記されているわけではない。とはいえ、政府の要請/命令による全国規模の店舗閉鎖は、多くは異例の事態と見なされるだろうし、これは今後数週間にわたる家主との交渉においてテナントに有利に働くだろう。

リープ(Leap)の共同CEOジャレッド・ゴールデン氏によれば、同社のチームは現在、各地の家主と協議しているが、賃貸に関する結論はいまだ予測できないという。各大都市圏での閉鎖を受けて、リープ(Leap)は現在、シャットダウン期間中の賃貸無料を含め、ブランドパートナーへの譲歩について家主らと交渉を進めている。
リープ(Leap)の家主は、地方の建物管理会社から、NYはハドソンヤード(Hudson Yards)特別地区を管理するリレーテッド(Related)といった大手不動産グループまで、多岐にわたる。

いまのところ家主は理解を示す

いまのところ、家主はリテーラーブランドの現況に理解を示していると、ゴールデン氏はいう。「不要な」店舗とされたリープ(Leap)のパートナーらは、ほぼ一夜にして収入源の大幅な削減を目の当たりにさせられた。今回の場合、ブランドと同様、借地人も苦境に立たされており、中間業者であることはリープ(Leap)のようなリテールプラットフォームに有利に働いていると、氏は説明する。

「家主の反応は概して好意的であり、賃料の軽減か週単位での譲歩が得られる可能性がある」とゴールデン氏は述べ、リテーラー/家主間の協調関係に期待を寄せている。

低コストの短期サブリースを新進ブランドに提供するD2Cソリューションプラットフォームの力は、新進ブランドをフィジカルなリテールスペースに誘うための重要な鍵となってきた。ブランドが借地の面積に応じて借地人に長期契約のコストの一部を支払うこのモデルは、実店舗に最近進出したスタートアップにとって有益だった。
一方、収益の大半を実店舗に依存するリテーラーにしてみれば、閉鎖を余儀なくされる状況は現金収入を断たれることを意味し、この状態が続けば、経営危機に追い込まれかねない。不況下においてはとくに、立て直す体力のないブランドには深刻な状況であり、支払不能や倒産につながる恐れもある。

ショーフィールズはEC支援に注力

一方、ショーフィールズ(Showfields)のチーフレベニューオフィサーで共同創設者のケイティ・ハント氏は、ボンドストリート11番地の店舗を閉鎖しているが、閉鎖期間中は出店ブランドに賃料を課さない旨を公言している。ニューヨークを拠点とする新業態のデパート、ショーフィールズ(Showfields)は、クイップ(Quip)、エイト・スリープ(Eight Sleep)、ブリリ(Brilli)といったデジタルD2Cブランドが低リスクでフィジカルリテールに移行するための協力をリテールコンセプトの主眼としている。

ショーフィールズ(Showfields)のスタッフは現在、フィジカルなスペースが閉鎖されているなか、デジタルプラットフォームやバーチャルオファリングの提供手段を検討している。同社CEOタル・ズヴィ・ナサネル氏は、マイアミに2号店を建設する計画は依然進行中だが、当面は被害を受けているNYブランド勢のeコマースオペレーションの支援に注力すると語った。

ショーフィールズ(Showfields)に出店するD2Cブランドのなかでもとりわけ大きな影響を受けている1社、ブリリ(Brilli)は賃貸契約に関するコメントを拒んだ。リープ(Leap)が支援するフローラヴェア(Floravere)とコイオ(Koio)には、賃貸契約に関する今後の交渉について質問を試みたが、連絡を付けられなかった。

貸し手、家主、借り手の心理

不動産カウンセラー/ブローカー、トラヴィス・D・ヒューズ氏は、この調整初期段階において、家主側は事後通告に寛大な姿勢を取ると予想し、「家主は当面、テナント側と協力してこれを乗り越えようとするだろう」と語る。先の見えない状況ではとりわけ、良質な家主はわざわざ自身の評判を落とし、「テナントの敵」との汚名を着せられたいとは思わないと、同氏は指摘する。

2021年、小規模なテナントは賃料の支払に苦慮することになり、家主側は契約条件を見直す前に何らかの譲歩をする可能性が高いと、ヒューズ氏は予測する。しかし、テナント側が何カ月にもわたり債務不履行を続けはじめた場合、家主側は貸し手からのプレッシャーを感じ、より多くの条件を課すだろうとも言い添える。

借り手側は一方、「契約条件に基づき、積極的なテナントはとりわけ、伝染病や公衆衛生措置を含む不可抗力条項の存在を声高に主張することに、いずれなるだろう」と、ゴールデン氏は予測する。

Gabriela Barkho(原文 / 訳:SI Japan)