YouTube TV 、デジタルパブリッシャー数社を新規導入か?:近日中に新チャンネル開始とのウワサ

YouTubeのライブストリーミングTVサービス「YouTube TV」が、チェダー(Cheddar)やテイストメイド(Tastemade)、ザ・ヤング・タークス・ネットワーク(The Young Turks Network:以下、TYTネットワーク)など、複数のデジタルメディアパブリッシャーのチャンネルをラインナップに加える見込みだ。これが実現すれば、これらのチャンネルは同サービスで番組を視聴できるデジタルファーストのメディア企業として先行する、E・W・スクリップス(E.W. Scripps)傘下のニュージー(Newsy)に続くことになる。

YouTubeの計画を直接知る複数の消息筋によると、YouTubeは現在、デジタルパブリッシャーの新たなチャンネルを6つ一挙にYouTube TVでテストしているという。YouTube TVは同社が昨年4月にローンチしたライブストリーミングTVサービスで、50以上におよぶリニアTV(従来型のTV放送)、ケーブルTV、およびローカルTVのチャンネルを月額40ドル(約4300円)で提供している。今回新たに参入すると見込まれているデジタルパブリッシャーには、ビジネスニュースネットワークのチェダー、フード/ライフスタイル・パブリッシャーのテイストメイド、革新系ニュースメディアのTYTネットワークの3社が含まれている。まだテストが行われている段階のため、これらのチャンネルの放送開始日がいつになるかは不明だが、早ければ数週間以内にローンチされる可能性もあると、消息筋は言っている。

YouTube TVに関するデジタルパブリッシャーとの契約についてYouTubeにコメントを求めたが、回答を得られなかった。テイストメイドとTYTネットワークにも同様にコメントを断られた。いつも饒舌なチェダーのCEO、ジョン・スタインバーグ氏にも何度かコメントを求めたが、いまのところ回答は得られていない。

YouTube TVの現在

YouTubeは1年前、レガシー系やテック系の企業が次々と有料のストリーミングTVサービスを開始する波に乗って、YouTube TVをローンチした。コードカッティング(有料放送の解約)が増加するなか、Hulu(フールー)やディレクTV(DirecTV)、ディッシュネットワーク(Dish Network)ら他社は、もっと安くて、さまざまなコネクテッドTVの画面で番組が見られるTVバンドルで顧客にアピールしたいと考えている。

この成長著しいTVパッケージを牽引するのが、ディッシュネットワークのスリングTV(Sling TV)だ。同サービスは2017年末の時点で220万人以上のサブスクライバーを獲得している。一方、CNBCが1月に報じたところによると、同期のサブスクライバー数はYouTube TVが30万人超で、HuluのライブTVサービスが45万人だという。

デジタルパブリッシャー各社がFacebookをはじめとするソーシャルプラットフォームから脱却して収入源の多様化をはかっている昨今、ストリーミングのスキニーバンドル(視聴できる番組数を減らして安く提供するプラン)は、24時間のリニアTVチャンネルをプログラムできる企業にとってのチャンスとなっている。チェダーとTYTネットワークは以前、CNN傘下の動画メディア企業グレート・ビッグ・ストーリー(Great Big Story)とともに、YouTube TVを含めたさまざまなストリーミングTVプロバイダーとディストリビューション契約の話を進めていると言っていた。もし実現すれば、YouTube TVはディッシュネットワークのスリングTVに続いて、チェダーが番組を配信する2番目のストリーミングバンドルになる。

レガシー系とは異なる契約

チェダーとテイストメイド、TYTネットワークはYouTube TVで番組を配信する初のデジタルファーストメディア企業ではない。ニュージーが昨年7月からサービスを提供しているのだ。同社のCEO、ブレイク・サバティネリ氏は、YouTube TVにおけるパフォーマンスの統計データを明らかにはしなかったが、同サービスとニュージーのオーディエンスは「申し分のないペース」で成長を続けていると教えてくれた。

「ここまでのところ、視聴者数は好調を維持している。ターゲットオーディエンスについていうと、オーディエンス層は我々の狙い目通りだ」と、サバティネリ氏は語る。「リニア性の高いプラットフォームへ移行する際、我々が抱える視聴者全体の平均年齢は上がるだろうが、年長の後期ミレニアル世代にとどまっている限り、我々にとっては好機だと思っていた。実際、YouTube TVなどのストリーミングTVバンドルではそうなっている」。

複数の消息筋によると、YouTube TVはいまのところ、レガシー系のTVチャンネルとの契約とは異なり、デジタルパブリッシャーには放映料を支払っていないという。その代わりに、YouTubeとデジタルパブリッシャーはチャンネル内で広告インベントリー(在庫)を販売し、売上を分け合うことになる。YouTubeの取り分については不明だが、オンデマンドの場合は通常、広告プロダクトから得られた売上の45%が同社の懐に入ることになっている。

それでもチャンスといえる

しかしそれでも、サブスクライバーを集め続けるYouTube TVでの番組配信は、リニアTVやOTT(オーバーザトップ)動画ストリーミングの野望に燃えるデジタルパブリッシャーにとってチャンスであることに変わりはない。YouTubeは同サービスの需要に関するデータを公開していないが、顧客はおそらく、スマホやタブレットよりもコネクテッドTVの画面での番組視聴に多くの時間を費やしていると思われる。大半のストリーミングTVやOTT動画のプロダクトと同様に。

費やされる時間の延長とTV画面での視聴、YouTube TVなどの閉ざされた「プレミアム」な環境が三位一体となれば、健全なCPM(インプレッション単価)を生み出す原動力になってくれるはずと語るのは、コンサルティング企業TVレブ(TVRev)でリードアナリストを務めるアラン・ウォルク氏だ。

「一部の広告主は、おそらくYouTube TVなどの有料のストリーミングTVサービスに広告を出したほうが自社の信用を高められるだろう」と、同氏は語る。「こうしたTVサービスは今後、全国規模の大企業を含む、以前なら獲得できなかったかもしれない広告主を呼び込めるようになるだろう」。

また、YouTubeがYouTube TVに派手なマーケティングキャンペーンを打ってきたことも、同サービスのチャンネルパートナーの助けとなっている。YouTubeは昨年のワールドシリーズでタイトルスポンサーを務めており、各試合の1回表と裏のあいだのCM枠を丸ごと買い取った。同社はMLBとの2018年および19年のワールドシリーズでの同契約もすでに更新している。

Sahil Patel (原文 / 訳:ガリレオ)