【一問一答】「 プログラマティックOOH 」とは?:すべてを自動化できる次世代「 屋外広告 」

屋外広告の業界にいま、イノベーションの波が押し寄せています。

これまでは中小の媒体社が乱立し、ひと枠を押さえるにもさまざまな手間がかかった屋外広告(Out of Home:以下、OOH)。たとえ、運良くいい枠を押さえても、その効果をいかに評価すべきかも悩ましい部分でした。しかし、昨今ではデジタル屋外広告(Digital Out of Home:以下、DOOH)も増え、それをオンラインでネットワークに繋ぎ、広告の取引や配信、そして効果測定を自動化する「プログラマティックOOH」という試みが進んでいます。

デジタルマーケティングの未来に、示唆を与える用語をわかりやすく説明する「一問一答」シリーズ。今回は、OOH、DOOHの進化形「プログラマティックOOH」について解説します。以下、いつものように、一問一答形式でお伝えしますね。

◆ ◆ ◆

──プログラマティックOOH、ひと言で表現すると?

屋外広告、いわゆるOOHは大きく分けて、通常のアナログなOOHと、デジタル屋外広告(デジタルサイネージ)ともいわれるDOOHに分類することができます。プログラマティックOOHは、DOOHのさらなる発展形で、複数の広告枠をオンラインでネットワークに繋ぎ、取引や広告の配信を自動化したものです。

LIVE BOARD(ライブボード)でテック部のディレクターを務める宮川聡氏は、プログラマティックOOHを「プランニング、広告枠の取引、配信の自動化が可能な次世代型OOH」と定義。LIVE BOARDは、2019年2月、NTTドコモと電通の共同出資により創設された企業で、自社と同名のDOOH広告配信プラットフォームを運営しています。

──プログラマティックOOH活用のメリットは?

プログラマティックOOH活用のメリットは、ふたつあります。ひとつは、OOHの広告価値を可視化できることです。これまで、DOOHを含む従来のOOHは、効果を評価するのが困難でした。これは、イギリスなどのOOH先進国と異なり、国内にはオーディエンス測定のためのガイドラインが存在しなかったことが大きな要因です。こうした現状に対し、宮川氏は「国際的なガイドラインに準拠した、効果測定の導入を進めていく必要がある」と語ります。

そしてもうひとつが、オペレーションの効率化です。プログラマティックOOHは、広告の取引や配信が自動化されているため、従来のOOHのようにどの枠が出稿可能か、媒体社に都度問い合わせる必要がありません。宮川氏によると「日本のOOH市場は、アナログもデジタルも、海外に比べて営業権が細分化されており、取引構造が煩雑になっている」そうです。たとえば、以下のグラフにある通り、OOH先進国であるイギリスは、市場の87%のシェアを上位3社が占める寡占産業。一方、日本市場は非常にロングテールな市場となっており、そこを効率化できるのです。

「いまでも国内の大手のエージェンシーでは、電話やファックスでその枠の入稿状況を確認しなければならず、月間約2000回ほどのやりとりが発生していると聞いている」と、宮川氏。「国内の広告主やエージェンシーに対する、自動化のメリットは大きい」。

あああああ

イギリスと日本における、OOH市場の構造の違い(LIVE BOARDの資料より引用)

──逆に、媒体社にはどのような利点が?

先述した通り、プログラマティックOOHは、ネットワークで繋がっています。そのため、媒体社にとっては、空き枠を効率的にマネタイズすることができ、ロケーションオーナーにとっては、サイネージを設置することで、新たな収益の確保が見込めます。

──プログラマティックOOHの普及はどのくらい進んでいるのか?

現在、国内で唯一のプログラマティックOOHサービスといえる「LIVE BOARD(ライブボード)」の国内シェアは、「OOHのなかでも主要な屋外看板の数を全国160面としたとき(※)、2019年度末では52.5%となっているようだ」と宮川氏はいいます。

なお、グローバルのOOH市場に占める、DOOHの平均割合は39.7%。ここ数年で年13.2%強の成長を遂げているのだとか。そして、そのうちプログラマティックOOHは5%〜10%。現状、まだそこまで割合は高くないものの、日本と比較すると、海外では普及が進んでおり、今後2〜3年には30〜40%ほどになると予想されています。こうした流れから、世界ではOOHメディア企業の価値も高まっているのです。

一方、日本のOOH市場は、世界で3番目の規模があるにも関わらず、プログラマティックOOHの普及以前にそもそもデジタル化が遅れています。その理由は、「ガイドラインが存在しないため、OOHの広告価値が認知されていないこと」と、宮川氏はいいます。

あああ

日本のOOH広告市場予測:OOH全体 vs DOOH(LIVE BOARDの資料より引用)

──メディアプランニング全体において、プログラマティックOOHは、どのような役割を担えるのか?

OOHは元来「強制視認性」、つまり「目に止まりやすい」という特性を持っていると、宮川氏は説明します。これは老若男女、道ゆく人に対して平等に効果的なので、大きな強みです。「テレビに出稿するほど予算がないけど、ある程度広くリーチさせたい、あるいはテレビを見ない若年層に接触したいーープログラマティックOOHは、こうしたニーズに応えられる」。

この点に加え、「プログラマティックOOHは、ほかのデジタル広告と同じ指標で効果を把握できる」と、宮川氏は付け加えます。同氏が例として挙げるのは、LIVE BOARDの提供する「LIVE BOARDマーケットプレイス」です。同サービスは、日本初となる、そして唯一のインプレッションベースでの広告取引が可能なプラットフォーム。「これを活用すれば、従来のOOHやDOOHを活用するよりも、ほかのメディアを組み合わせた、多様かつ精度の高いプランニングを行うことができる」と、宮川氏は説明します。

──OOHで「インプレッションベース」の取引って、どういう意味?

広告主は、LIVE BOARDを利用する際、推計インプレッションを購入して取引を行います。同社は、ドコモが独自開発した交通量推計モデルを用いて、過去にLIVE BOARDのサイネージの計測可能エリアを通ったドコモユーザー数のデータを、他キャリアも含めたデータに変換。そこに、「サイネージを見たか見なかったか」のアンケート調査結果から得た、「視認率」を掛け合わせ、配信枠ごとの性別・年齢別の推計インプレッションを算出しています。

また宮川氏は、「ドコモのデータを活用すれば、もちろん顧客の同意を得た上でだが、いまよりも多様なセグメントを作ることもできる」と補足します。「将来的には、ビジネスマンやファミリー層などにターゲティングが可能だと考えている」。

──広告主からの反響は?

現在、LIVE BOARDマーケットプレイスを利用している広告主は、30〜40社ほどだと、宮川氏はいいます。「反響としては、データをベースにバイイングできる点を、高く評価いただいているケースが多い。今後は、レポーティングの精度を高めるなどして、プログラマティックOOHの効果をより実感してもらえるように尽力したい」。

──プログラマティックOOHは今後、どう発展していくのか?

「今後は、プランニングメニューのスタンダードな選択肢として、プログラマティックOOHが扱われるようになるだろう」と、宮川氏は予測します。そのときに備え、同氏が重要だと考えているのが、「オーディエンスデータの標準化」です。「我々は現状、ドコモのデータベースをもとに、インプレッションを算出している。今後、我々の競合が出てきた際、データソースや算出方法の違いにより、同じ媒体でも数値が異なることで広告主が混乱するという事態は避けなければならない」。

宮川氏はこう述べた上で、プログラマティックOOHの発展のためには、競合との連携が必要だと語る。「市場を伸ばすためには、協力する領域と競争する領域、双方を見なければならない。協力する領域に関しては、各社と連携して標準化を図っていきたい」。

※ピープランニングより参照

Sponsored by LIVE BOARD

Written by DIGIDAY Brand STUDIO
Image courtesy of LIVE BOARD