Lighthouseとは、さまざまな状況でのサイトのパフォーマンスを数値化した指標のことです。これがGoogleによって、導入されたのは2016年のことで、パブリッシャー内部でサイトのフロントエンドやバックエンドに口をはさもうとする利害関係者が増えるいま、このスコアの重要性は高まっています。
パブリッシャーは、自らを単なるメディア企業以上の存在と考えるようになっています。いまや彼らは、広告をマーケターに販売し、製品を消費者に販売し、さまざまな問題の解決に取り組むマーケターを支援するブランドなのです。そしてこのことが、読者から収集するデータの種類やさまざまな収益源の優先順位の決め方に影響を及ぼしています。
しかし、そのためにはサイトの読み込み速度を向上し、世界最大の検索エンジンであるGoogleから高い評価を受けなければなりません。そこで、自社サイトの「Lighthouse(ライトハウス)」スコアにもっと注意を払うことが必要になります。Lighthouseは、さまざまな状況でのサイトのパフォーマンスを数値化します。LighthouseがGoogleによって、はじめて導入されたのは2016年のことで、目新しいものではありませんが、パブリッシャー内部でサイトのフロントエンドやバックエンドに口をはさもうとする利害関係者が増えるなか、このスコアの重要性は高まっています。
デジタルマーケティングの新語について解説する「一問一答」シリーズ。では、今回もはじめましょう。
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――まず、Lighthouseとは何ですか?
Lighthouseは、GoogleのChromeブラウザに統合されたオープンソースのツールで、ウェブ開発者は複数の異なる指標でサイトのパフォーマンスを評価できます。含まれる指標は、ページの速度、検索エンジン最適化(SEO)、アクセシビリティ(障害を持つサイト訪問者に関するもの)、プログレッシブウェブアプリ(Progressive Web App:以下、PWA)としてのページの機能、および開発者コミュニティによってまとめられたベストプラクティスのリストです。この5つの指標のそれぞれについて、0〜100ポイントの範囲で点数が付けられ、全体のスコアが決定されます。
――ほかのページパフォーマンスツールとの違いは?
開発者がこのような評価に利用できるツールは、有料・無料含め数多く存在します。しかし、ほかのパフォーマンスツールの多くは、1つか2つの指標に特化している傾向があります。Lighthouseでは、同じサイトのスピードとアクセシビリティを評価するのに別々のツールを利用する必要がなく、1つのインターフェイスですべての指標を確認できます。しかも無料です。
――それはほかのツールより優れていることを意味するのでしょうか?
その答えは、ツールのどのような点に注目するのかによって異なります。ツールによっては、サイトを評価するにあたって、要因を重視するものもありますが、Lighthouseは5つの指標のみでサイトのスピードなどのスコアを算出するため、ほとんどのツールにない使いやすさを実現しています。開発者は、「Chrome DevTools」やChromeの拡張機能を使ってChromeブラウザ内でページのスコアを確認できるほか、自社サーバー上でコマンドラインからツールを実行したり、Nodeツールとしてツールを実行したりできます。おかげで、ほとんどのワークフローや業務に簡単に組み込むことができます。
――Lighthouseのスコアが良ければ、そのサイトはGoogle検索で必ず上位に表示されるのですか。
高いスコアが損になることはないでしょう。しかし、ほかの多くのGoogle製品と同じく、Lighthouseのスコアには謎に包まれた部分があります。少なくとも、開発者がサイトの読み込み速度を上げるのには役立つでしょうが。
――いま、なぜ多くの人がサイトのスピードに注目しているのでしょう?
サイトのスピードが検索結果に影響するからです。デスクトップ環境では、10年近く前からスピードが検索結果に影響を与えてきましたが、モバイル環境では、2018年の夏まで検索結果に影響する要因ではありませんでした。しかし、いまやほとんどのサイトが、デスクトップユーザーよりモバイルユーザーに大きく依存するようになり、スピードはかつてないほど重要になっています。その頃からLighthouseが話題にのぼりはじめたことは、おそらく偶然ではありません。
――すべてのサイトが満点を獲得すべきですか?
誰もが自分の仕事で良い成績を上げたいと思うものですが、広告によって運営されているサイトが満点を獲得するのは、アドテクの現状から考えてまず不可能でしょう。たとえば、JavaScriptを多用してページに広告を配信しているサイトは、多くのポイントを失っている可能性があります。同様に、できるだけたくさんの種類のブラウザでサイトをスムーズに動作させたいと考えている開発者は、たとえLighthouseスコアを改善できたとしても、最新の画像フォーマットを使いたがらないかもしれません。
また、サイトがGoogleのツールをどの程度使用しているかという点も、スコアに影響します。たとえば、パブリッシャーが自社サイトをPWAとして動作させる必要がないと判断している場合、ほかのサイトの全体的なスコアが考慮されるPWAのスコアは低くなるでしょう。
Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)