【一問一答】「 クリエイティブセパレーション 」とは?:連続する動画広告の並びを管理するための規定

広告主の「ブランドスータビリティ(適合性)」に関する懸念は、広告が表示されるエディトリアルコンテンツに限定されるものではありません。テレビやストリーミングの広告主たちは、自らの広告以外に表示される、ほかの広告についても懸念を抱いているのです。米国の大統領選挙が11月に迫るなか、大量の政治広告がストリーミング市場に流れ込んできており、この懸念はますます大きくなっているといえるでしょう。

「クリエイティブセパレーション(creative separation)についてたくさんの質問を受けている」と、本稿の取材に応えてくれたストリーミングメディア企業のエグゼクティブのひとりは語ります。「以前よりもますます、その重要性は高まっている。それは政治広告は世間を騒がせるからだ」。

デジタルマーケティングの新語について解説する「一問一答」シリーズ。今回は、ストリーミングサービスが拡大しているなか、注目度が高まっている「クリエイティブセパレーション」について取り上げます。

――まず、クリエイティブセパレーションとは、ひと言でいうと?

テレビやストリーミングにおける広告が、ひとつのまとまりのなかで、複数の広告を提供する場合に、前後の広告に何が流れるかについて、規定を取り決めるときに使われる用語です。

――なるほど。では、クリエイティブセパレーションというのは、新しいコンセプトなのでしょうか?

テレビ業界では、特段新しくない用語です。テレビ局や広告主たちは、特定の広告主の同士で距離を保つことを長年行ってきました。たとえば、コカ・コーラ(Coca-Cola)とペプシ(Pepsi)のようなライバルブランドは、通常は続けて広告が表示されることはありません。しかし、ストリーミングにおいては、クリエイティブセパレーションは比較的新しいポイントです。

――なぜ、クリエイティブセパレーションがストリーミングにおいてポイントとなっているのでしょう?

ストリーミング業界に流れる広告支出が増えるにつれて、広告主たちはその資金がどのように使われているかをより注視し、より高い水準で吟味するようになっています。これらの水準には、ブランドの広告が特定の広告に続いて表示されない能力も含まれます。これは従来のテレビでは可能でしたが、ストリーミングでは比較的難しいことだったのです。

――ストリーミング広告でのクリエイティブセパレーションの管理は、なぜ難しいのですか?

ストリーミング広告はしばしば、プログラマティック経由で購入されるため、クリエイティブセパレーションの管理はより難しいのです。さらに言うと、コネクテッドTVプラットフォーム、メディア企業、そしてアドテク企業が異なる広告を同じ枠で販売できるようなストリーミングのプログラマティック販売構造は、問題をさらに複雑にしています。枠に配置される広告の種類について、さまざまな企業がコミュニケーションを持つ必要が出てくるからです。

――ストリーミングでクリエイティブセパレーションを管理することは可能なのですか?

メディア企業から直接広告が購入されていたり、ストリーミングサービスが広告を運営している場合は可能です。プログラマティック経由で購入されている場合は難しいといえるでしょう。取材に応じたエージェンシーエグゼクティブのひとりは、サーバーサイドでの広告挿入を通して、クリエイティブセパレーションをコントロールすることは技術的には可能だと答えました。サーバーサイドでの広告挿入とは、広告とテレビ番組のようなエディトリアルのコンテンツをその場でつなぎ合わせるプログラマティック広告技術のひとつです。しかし、どの広告が表示できて、どれができないか、を特定するためには、広告とその枠が正確にラベル付けされる必要があります。「可能だが、現時点では存在しない」と、2人目のエージェンシーエグゼクティブは語っていました。

――ストリーミングにおけるクリエイティブセパレーションには、ほかの問題はありますか?

あります。ラベルが必須になることに加えて、広告に対してクリエイティブセパレーションが維持されているか、広告主が確かめることが事実上不可能であるという問題です。視聴者ごとに異なる広告を表示することが多いストリーミングサービス。ということは、広告を特定のオーディエンス属性にターゲットすることが可能なのです。特にプログラマティックでの販売の場合はそうなります。その結果として、広告主たちは自分たちのキャンペーンが、ほかのどんな広告に並んで表れるのか「チェックする方法がない」と、3人目のエージェンシーエグゼクティブは指摘しました。「(テレビ)放送局だと、どの広告主が並んで流れたのかを見ることができるが、ストリーミングはそうではない」。

――ストリーミングにおけるクリエイティブセパレーションの困難さを回避する方法はあるのでしょうか?

ある程度ならあります。広告が直接販売された場合は、ストリーミングサービス側が簡単にクリエイティブセパレーションを管理することができます。しかし、上述したように、「プログラマティックで販売された場合は、より難しくなる」と、ストリーミングメディア企業のエグゼクティブは話していました。

――ストリーミング広告市場において、この問題はどれくらいの影響を与えているのでしょう?

大きな影響は、まだ表れていません。しかし、メディアやエージェンシーのエグゼクティブたちは、ストリーミング広告が政治広告と並んで流れると、それも変わるだろうと考えています。また、政治広告自体もライバルの候補者の広告と並んでは流れないようにしたいと考えるでしょう。「人々がそれを疑問に思うことはないだろう。個々の広告枠レベルで行われているため、どれだけの頻度で起きているか、もしくは問題の規模に関するコンセプトが存在しない」と、3人目のエージェンシーエグゼクティブは語っていました。

[原文:WTF is creative separation?

TIM PETERSON(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)