フォーブスが収入増、さらに過去10年で最高収益を達成:メディア業界における久々の朗報

米経済誌発行会社フォーブス(Forbes)は2018年度、2006年にフォーブス・メディア(Forbes Media)となって以来最高の収益を上げたと発表した。香港の投資会社インテグレーテッド・ホエール・メディア(Integrated Whale Media)が有する同社は、今後、スタートアップに対する買収および株式投資へのさらなる資金投入を考えている。

フォーブス・メディアCEOマイケル・フェダリ氏は英DIGIDAYに対し、具体的な額は明かさなかったものの、総収入が前年比18%増、収益は42%増を記録したと語った。「私の業務は基本的に、投資家に常に満足してもらえるよう取り計らうことであり、その点において、弊社は非常に良い仕事をした」。

潤沢な資金を後ろ盾に、フォーブス・メディアはメディアおよびテクノロジー企業の買収も視野に入れている。2017年には、ロンドンを拠点とするビジネス誌のザ・メモ(The Memo)を取得した。また、社名は明かさないが、同誌が年に1度選出する有望な若手「アンダー30(Under 30)」リストに入った人物/企業に対する投資も2回行なっている。さらには、今後毎年、初期ラウンドの投資または買収を1~2回行なうつもりでいるという。フェダリ氏は興味のある対象として、人工知能およびブロックチェーンに重点的に取り組むテクノロジー企業や、「収入および収益に積極的な」メディア企業を挙げた。

「チャンスは逃さないよう、常に探している。売却先を探している企業についても、投資家を探している企業についても、市場はいま、非常に熱いからだ。『アンダー30』リストのおかげで、弊社にはいわば資産のパイプラインがある。そこが我々の強みだ。弊社の編集者は、1年中、そうした企業を探しているし、先方から申し入れがあるケースがますます増えている。あのリストは、さらなる取引の実現に必要なパイプラインを構築してくれる」。

大きく変化した事業収入

フォーブス・メディアの事業自体は、現在と10年前とで、大きく様変わりしている。この約10年、フォーブス・メディアの出版業は1億ドル(約108億円)の減収を記録しているが、その分は好調なデジタル分野の――そして、イベントやライセンシングなど、新たな収入源の――おかげで、完全に取り返せていると、フェダリ氏は語る。

2014年度は、同社の事業収入のうち、デジタル広告が38%を、出版広告が21%を占め、その他は印刷物販売が22%、イベントが10%、ライセンシングが8%だった。現在の割合は大きく変わっており、デジタル広告が49%、「イベント、インサイトおよび再版」が23%に成長し、ライセンシングが10%、印刷物販売および出版広告がそれぞれ11%と7%だと、フェダリ氏は語る。

「いまは、多くの人々が多様な収入ポートフォリオ形成の必要性を口にしている。7年前、それがこの会社に来た当時の私の使命だった。収入源の多様化、とりわけ非広告分野への参入だ。いまは、以前に比べて、かなりバランスが取れている」。

多様化する収益の詳細

この成長を支える柱のひとつがライブイベントだ。フォーブスは2018年、アンダー30サミット(Under 30 Summit)など、多額の収入が見込めるものを含め、世界規模で60以上のイベントを開催した。アンダー30サミットは今年、アムステルダムでも開かれ、ヨーロッパ進出も果たした。他の主要イベントには、同じくヨーロッパ進出を果たしたCMOサミット(CMO Summit)や、ウィメンズ・サミット(Women’s Summit)がある。2019年には、アンダー30グローバル・ウィメンズ・サミット(Under 30 Global Women’s Summit)も開催する. ザ・メモの買収以来、ヨーロッパにおけるイベントの重要度がさらに高まっていると、フェダリ氏は語る。

「どの主催イベントについても、1年目は約40%のマージンを見込んでいる。そして、イベントが成熟するにつれて、マージンも60%、70%と増えていく。イベントは、利益率のきわめて高い事業に成長してくれた」。

同社はまた、フォーブス・チャイナ(Forbes China)、フォーブス・インド(Forbes India)、フォーブス・ロシア(Forbes Russia)をはじめ、全世界で40のライセンシング事業を展開。ほかにも、アシュフォード大学のオンラインコースと提携するMBAプログラム、フォーブス・スクール・オブ・ビジネス(Forbes School of Business)だけでなく、オンラインスキルトレーニングプラットフォーム、ラーン@フォーブス(Learn@Forbes)などを行なっている。

「我々のライセンシングビジネスは、利益が約束された事業と言っていい。毎年受け取る年金のようなものだからだ」と、フェダリ氏。「ライセンス契約に関する最低支払額は、毎年の予算に計上できる。最低支払額に収入の一部や株式分まで付いてくるものもある」。

「社員全員の勝利として」

フォーブス・メディアには現在、400人近くの従業員がおり、2019年には新たに30の職務を設ける計画がある。さらに、好調な1年の締めくくりとして、ニュース編集室のスタッフおよび他の非エグゼクティブ全員に年末特別ボーナスとして、年俸の4.5%を支給したという。

「社の数字達成は、社員全員の勝利でなければならない」と、フェダリ氏締めくくる。「我々はいま、それができると言えるだけの状況にある」。

Sahil Patel(原文 / 訳:SI Japan)