ForbesのWebサイトはユーザー体験の質の低さで知られてきた。Googleは8月のはじめに、ForbesのWebサイトの広告表示に関して「失格」と認定した。また米DIGIDAYの調査でも、Forbesがサイトで提供するユーザー体験の質の低さが指摘されている。現在、同社はこの問題に取り組む姿勢を見せている。
これまでForbesのWebサイトは、ユーザー体験の質の低さで知られてきた。Googleは8月のはじめに、ForbesのWebサイトの広告表示に関して「失格」と認定した。また米DIGIDAYがパブリッシャー幹部を対象に最近実施した調査でも、Forbesがサイトで提供するユーザー体験の質の低さが指摘されている。同社では採用応募ページですら、複数のWebページにまたがっているのだ。
UX改善の取り組み
Forbesはこうした問題に取り組む姿勢を見せ、今年1月に新しいモバイル専用サイトをローンチ。このサイトはGoogleの支援するプログレッシブウェブアプリ(PWA:Progressive Web App)になっており、ページ表示にかかる平均時間は6.5秒から2.5秒に短縮された。このPWAでは、インタースティシャル広告や、ホームページ上でカウントダウンタイマーが表示されるような広告は掲載されない(デスクトップ版のサイトでは広告の掲載は続いているが、8月22日の時点でタイマーは取り除かれている)。現在、PWAはサイトへの全訪問者のうち25%が利用可能となっており、第3四半期末までにForbesの全ユーザーが利用可能となる見込みだ。
Forbesによると、PWA利用者のセッションあたりのインプレッションは、旧モバイルサイト利用者と比べて、10%向上しているという。
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また、PWA利用者はセッションあたりの閲覧時間が最大40%長く、閲覧ページ数も15%多くなっている。ほかにも、Forbesで製品および技術担当シニアバイスプレジデントを務めるサラ・ザラティモ氏によれば、詳細な数字は公開できないが、記事の4分の1までで読むのをやめた人が、20%減少しているとのことだ。
組織体制も見直し
PWAの普及を促進するため、Forbesは今年1月、製品および技術部門の各チーム同士の連携を強める措置をとった。具体的には各製品開発チームに担当マネージャーを置き、チームメンバーであるデザイナーやWeb開発者、データアナリストを管理するようになった。これによってそれまで各チームがバラバラに動くことで発生していた無駄の削減に成功している。
もうひとつの改善点は、週に数回のタイミングで複数の変更点を含む一括アップデートを行っていたのを、各製品チームが変更点ごとに臨機応変にサイトをアップデートできるようにしたことだ。ザラティモ氏によれば、Forbesではそれまでおよそ週に2回アップデートを行ってきたが、いまでは1日に複数回のアップデートが行われている。一括アップデートのかわりに個別に変更できるようになったことで開発者が容易に問題部分を特定、解決できるようになった(ただし広告部門はいまも週に2回の一括アップデートを続けている)。
また、Forbesは年初に通信プロトコルをHTTP/2にシフトしている。これにより広告サーバーの情報を圧縮し、ページの読み込みの短縮に成功した。ほかにも同社が過去2年間で行なったこととして、サーバーをクラウドに移行したこと、JavaScriptフレームワークに戻したこと、テキストを数字に再コード化するアルゴリズムを採用しサーバーを通過するデータ量を減らしたことが挙げられる。
「1ビットでも削減するたびに、お互い褒め合っている」と、ザラティモ氏。こうした改革により、ForbesはWebページの平均サイズを2MBから300kBへと、大きく削減することに成功している。
Ross Benes(原文 / 訳:SI Japan)