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「 Apple はいまや、規制当局のように振る舞っている 」:北欧・シブステッドの公共政策担当ディレクター

北欧の大手パブリッシャー、シブステッド(Schibsted)が、「アプリの公正化を求める連盟(Coalition for App Fairness)」への参加を発表した。これはApp Storeなどのルール改善を求める非営利団体で、現在およそ20社が参加している。

同連盟は、ゲームのフォートナイト(Fortnite)で知られるエピック・ゲームズ(Epic Games)やオンラインデートサービスのマッチグループ(Match Group)、配信プラットフォームのSpotify(スポティファイ)やディーザー(Deezer)といった大きな影響力を有するアプリ系パブリッシャーが9月に設立した。これは、「アプリストアの所有企業(主にApple)が、パブリッシャーに対してアプリ内課金のうち30%を手数料として請求するといった不公平なルールの是正」を目的とした団体だ。

シブステッドの公共政策担当ディレクター、ペトラ・ヴィクストロム氏は「いまや、Appleなどのゲートキーパーが、まるで規制当局のような振る舞いをするようになっている」と語る。

オスロを拠点に、VG、アフテンポステン(Aftenposten)、ベルゲンス・ティデンデ(Bergens Tidende)などの新聞社を所有する大手企業のシブステッド。今回、米DIGIDAYはそんな同社が連盟に参加した理由、ニュース系パブリッシャー各社のApp Storeに対する懸念、そしてAppleへの要求によって実現が期待できることについて、ヴィクストロム氏へのインタビューを行った(インタビューは内容を明瞭にするため若干の編集を加えている)。

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――シブステッドが今回、連盟に加わったのはなぜか?

当社はこれまでも、AppleがApp Storeで定める条件の問題について取り組んできた。SpotifyがEUの独禁規制当局とともにAppleへの提訴を行ったときも、各紙に記事を掲載し、表立って支援を表明してきた。

だが、Spotifyと当社では、Appleによる問題が少々異なっている。Spotifyも当社も、ほかのパブリッシャーも、アプリ内購入時に、収益の30%を支払う必要がある。これは明らかに手数料として非常に高い。これは譲れない点だ。とはいえ、我々パブリッシャーは、特にデータへのアクセス関連で、特有の問題を抱えている。そこが我々にとって重要なのだ。

――そのデータアクセス関連の問題とは?

App Storeに出しているアプリでアプリ内課金を行う場合に、Appleは同社の課金システムを使用するよう求めている。クレジットカードやクラーナ(スウェーデンの後払い決済サービス)などの使用前にだ。

Appleがこのシステムを強制するようになって何年か経つ。当グループにもApp Storeから締め出されるのを恐れて、これを受け入れた新聞社がいくつかあり、アプリ内課金を実装していた。スウェーデンとノルウェーで最大の新聞社にとって、App Storeに載せないというのは選択肢にない。

また、北欧ではスマートフォンシェアの半分以上がiPhoneで、Appleは市場において非常に大きな存在となっている。

新聞社独自の問題が、サブスクリプション契約をしたカスタマーがAppleのカスタマーになってしまうということだ。つまり、契約したカスタマーのデータが一切得られない。誰なのか、どこに住んでいるのかもわからない。我々のカスタマーサービスに電話をかけてきたカスタマーすら特定できない。

読者との関係性を失うというのは、新聞社にとって非常に大きな問題だ。ウェブサイトからサブスクリプションを購入した場合は、このような問題は起きない。自分たちでコントロールできるからだ。

――Appleに対してこの問題を訴えたか?

訴えた。問題は、Appleというのは話し合いが極めて難しい相手ということだ。関係性自体が非常にややこしい。

――連盟に加わることについて躊躇はあったか? 報復といったことを恐れているか?

そういった躊躇はなかった。当初から我々はこの問題に積極的に関わってきて、さまざまな意思決定者とも対話を重ねてきた。連盟への参加を恐れるということは一切ない。Appleはいずれにせよ、我々の考えについては十分に承知しているはずだ。

――連盟はAppleだけが相手なのだろうか? Googleやマイクロソフトは対象になるのか?

連盟の立ち上げ目的はAppleだ。だが、Googleも対象になるのは間違いないだろう。

Googleの場合は、数週間前に関連のブログ記事で当社も30%の手数料を取る、ほかにもさまざまな要求する、と述べている。当然ながらこれも我々の対象になる。シブステッドとしては、まだGoogleの行動は十分に精査していない。

我々にとってGoogleは極めて重要だ。もしGoogleが似たような手数料を強制しはじめたら、当社のアプリ事業は終わりだろう。

――現実的に、連盟はどういったことを達成できるだろうか?

同じような問題を抱えた大企業が何社も集まっている。米国ではエピック・ゲームズ、欧州ではSpotifyなどが独占禁止法に関連して提訴を行っており、Appleへのプレッシャーは大きい。こういった問題の解決には何年もかかる。最終的に望ましいのは、Appleと交渉、合意して、実務上で実りのある関係を築けるようになることだ。

現在はそれができていない。交渉すらできないのだ。Appleがプレッシャーを感じれば、少なくとも交渉のテーブルにつく可能性はある。

――シブステッドにとって、Appleがまもなく行う個人情報の取り扱いに関するアップデートは驚異だろうか?

極めて大きな懸念を抱いている。Appleはいまや、まるで規制当局のような振る舞いをするようになっている。GDPRや国際的なデータ保護当局のガイドラインを超えて、自分たちだけで規則を決めている。データの収集方法、自分たちのカスタマーとのコミュニケーション方法についても彼らが決めている。

規則や法律の設定や執行は、民主的に選ばれた機関が行うものだ。Appleのような民間企業が独自の規則を作って、それを他者に強制するようなことはあってはならない。

[原文:Why Nordic publishing giant Schibsted joined the coalition lobbying for Apple App Store ‘fairness’

LARA O’REILLY(翻訳:SI Japan、編集:長田真)