メディアが新年の予測を書き立てる時期となった。2017年の業界の行く末について、バラ色の未来を語る記事があちこちにあふれている。そこで、我々は正反対のことをしてみよう。新しい年に起こりそうなことについて耳ざわりのいい話をするのではなく、起こり得なそうなことを業界の人たちに予測してもらった。
メディアが新年の予測を書き立てる時期となった。2017年の業界の行く末について、バラ色の未来を語る記事があちこちにあふれている。
そこで、我々は正反対のことをしてみよう。
新しい年に起こりそうなことについて耳ざわりのいい話をするのではなく、起こり得なそうなことを業界の人たちに予測してもらうのだ。とはいえ、むやみに悲観的な話をするつもりはないし、1月特有の新鮮な気分を台無しにしたいわけでもない。あなたが仕事モードにアクセル全開となる前に、はっきりしたビジョンをもてるようにしたいだけだ。なお、簡潔に要点を伝えるために、一部の発言には編集を加えている。
Advertisement
AOLプラットフォームズ(AOL Platforms)
プレジデント
ティム・マールマン氏
(GoogleとFacebookの)庭を囲む壁が崩れることはないだろう。2社の独占状況(デュオポリー)が変化することはなさそうだ。
CNN
CPO(最高製品責任者)
アレックス・ウエリン氏
機械学習と人工知能(AI)は未来の風景だが、2017年にその未来の姿を十分に見せてくれるとは思えない。チャットボットと会話することに価値が見いだせるのは、単純かつ反復可能で、内容が必要最低限の会話だけだろう。
メディアレーダー(MediaRadar)
CEO(最高経営責任者)
トッド・クリゼルマン氏
アドブロックが、広告費の上昇に歯止めをかける存在というより、むしろ拍車をかける(そして脅威を与える)ものになっている状況は続くだろう。なぜなら、パブリッシャーが、もっと消費者の好みにあう広告を制作し、(GoogleのAMPなどを使って)ページを高速化する取り組みを行っているからだ。また、デジタルソリューションに対するマーケターの需要は、いまでも根強い。
メディア・ストーム(Media Storm)
CDO(最高デジタル責任者)
チャーリー・フィオダリス氏
Twitterが突出したソーシャルプラットフォームとしての地位を取り戻すことはないだろう。私は(Twitterの)熱心なユーザーなので、このようなことをいうのは辛い。だが、Twitterはすでにクールな要素を失い、成長が止まり、「オーバー・ザ・トップ(OTT)」プラットフォームとしてブレイクスルーを起こせずにいる。
アウトブレイン(Outbrain)
製品責任者
デニス・ヤスカビッチ氏
今年は、パブリッシャーが各コンテンツの価値を推測する必要がなくなるだろう。パブリッシャーは「たとえ、コンテンツシンジケーション(関連記事誘導)が必要になっても、シンジケーションするコンテンツの種類をより有利な立場で判断できる」といえるようになる。
アイリスTV(Iris TV)
共同創設者
リッチー・ハイドン氏
仮想現実(VR)は2016年に大いに盛り上がったが、2017年はその傾向が続かず、VRが主要なメディア市場に登場することはないだろう。その理由はコストだ。VRコンテンツの制作や配信にかかるコストのせいで、マネタイズできるチャンスはかなり小さい。そのため、マスマーケットの衰退はゆっくりとしか起こらない。デジタル広告市場が、いまなお主流になれない現状を考えれば、なおさらのことだ。
デルモンド(Delmondo)
CEO
ニック・シセロ氏
Snapchat(スナップチャット)に取り組むパブリッシャーが、当初と同じようなワクワクした気持ちでリソースをつぎ込むことはなさそうだ。Snapchatと直接仕事をしていないパブリッシャーにとって、マネタイズの見通しはあまりよいものではない。Snapchatが、「ディスカバー(Discover)」のパートナーではないブランドや企業を受け入れることに躊躇しているからだ。
ファーザーリー(Fatherly)
創設者
マイケル・ロスマン氏
コンテンツマーケティングの効率的なマーケットプレイスは、今年も現れないだろう。コンテンツマーケティングの取り組みが、パブリッシャーとブランドの双方に大きな影響を与える状況が続いていてもだ。ブランド内やエージェンシー内の各部門(メディア、コミュニケーション、ソーシャル、CRM、イノベーション、制作など)がコンテンツマーケティングの予算を取り合う状況は、相変わらず続くと思われる。小回りが利き、競合することの多い複数のステークホルダー間の調整をうまく行えるパブリッシャーにとっては、有利な状況といえる。
タイム社(Time Inc.)
CCO(最高コンテンツ責任者)
アラン・マリー氏
大統領になったとしても、ドナルド・トランプ氏がTwitterを手放すことは絶対にないだろう。
Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)
Photo by GettyImage