【一問一答】「 デマンドパス最適化 」とは?:デジタル広告の購入のされ方を最適化する行為

メディアバイヤーが、プログラマティック広告の購入方法や購入場所の選別を進めています。そして、パブリッシャーはこの状況を、自分たちの価値を示す機会の増加とみなしているようです。そこで彼らは、デマンドパス最適化戦術を利用して、販売しているインベントリー(在庫)以上の価値が自らにあることを証明しようとしています。

デマンドパス最適化(demand-path optimization:以下、DPO)は、一見するとサプライパス最適化(supply-path optimization :以下、SPO)にとてもよく似ています。どちらも、パフォーマンスを損なわずにプログラマティックオークションの購入コストを削減する取り組みを意味する包括的な用語だからです。ただし、DPO志向のパブリッシャーが収集するデータとそのデータの使用方法は両者で異なります。

デジタルマーティングにおける新語を解説する「一問一答」シリーズ。今回はDPOについて現在わかっていることをご紹介しましょう。

――DPOとは何なのですか?

DPOは、インプレッションの販売のされ方ではなく、購入のされ方を理解しようとする点で、SPOとは正反対の概念です。SPOのユーザーは、自分たちに広告を販売するアドテクベンダーを理解することに関心をもっていますが、DPOのユーザーは、広告の入札に参加する広告業者をできる限り理解することを目的としています。DPOを利用できるのはパブリッシャーだけではありません。パブリッシャーの広告をプログラマティックオークションで販売するサプライサイドプラットフォーム(以下、SSP)もDPOを利用できます。

――なぜDPOが重要なのですか?

DPOを理解するには、ショッピングモールを思い浮かべるといいでしょう。ショッピングモールでは、あるメーカーの同じ製品を複数の店舗が販売しています。メーカーは、その製品を取り扱う店舗が増えるほど、入札が行われる可能性が高くなると考えています。一方、店舗は再販業者経由でもこの製品を販売しています。そのため、この製品の販売価格は上昇しますが、店舗であれ再販業者であれ、売り手は製品を売るたびに利益を抜き取るので、メーカーに入るお金は少なくなります。これはメーカーにとって、収益減につながる危険な兆候です。また、売り手がその製品をどのように仕入れて売っているのかがわかりにくいことが、この危険に拍車をかけています。それでもなお、実に多くのパブリッシャーが、プログラマティックオークションを運営する販売業者や再販業者を介して、広告主に広告を販売しています。

しかし、DPOはこの問題の解決に役立ちます。DPOを使用することで、パブリッシャーやパブリッシャーの広告を販売する広告業者は、インプレッションがどのように購入されているのかを確認できます。そして、そこから得られた洞察に基づいて、インプレッションの入札方法や入札場所の選択に役立つ情報を買い手に提供し、買い手が特定の売り手からより多くの広告を購入するチャンスを増やせるようにします。

――なるほど。とはいえ、DPOをうまく活用するには、どうすればいいのでしょうか?

パブリッシャーであれSSPであれ、売り手にとって最終的に重要なのは、買い手がより多くのインプレッションを落札する方法を見つけられるようにするために、どれほどの支援を提供できるかということです。売り手は、購入者の勝率、支払条件、入札応答時間、広告品質などの洞察を提供し、入札に参加するアドテクベンダーに利用してもらうことができます。また、許可する入札を決めるにあたって、広告料が支払われなくなるリスクを避けるため、買い手の支払能力を確認することもできます。

たとえば、アドテク企業のサイズミック(Sizmek)が2019年初頭に破産を申請したときには、同社に広告を販売していた複数のアドテクベンダーの手元に、数百万ドル相当の未払い請求書が残されることになりました。DPOのプロセスは、ベストな買い手はどこなのかを売り手が判断することからはじまります。パブリッシャーから、SSPやエクスチェンジ、アドネットワークを経て、インプレッションを購入するDSP、エージェンシーのトレーディングディスク、および広告主に至るまでのパスを最適化するのはそれからです。

――ある一部のSSPやエクスチェンジにとっては、DPOの導入が悪いニュースになる可能性もありそうですね。

当然ながら、入札を管理すれば、パブリッシャーは入札者がどれくらいのインベントリーの購入を希望しているのかわかるようになるため、自分たちのオークションをより魅力的なものにすることができます。すべてのSSPとエクスチェンジが平等に扱われることはありません。パブリッシャーは、DPOに関する知識が増えるにつれて、不要な手数料を取る業者や、ビューアビリティ(可視性)に劣る広告を販売してサイト全体のパフォーマンスを損なう業者を排除するようになるため、一部のSSPやエクスチェンジは脱落するでしょう。

また、将来的には広告主が、パブリッシャーとエクスチェンジやDSPを直接結ぶルートを選ぶようになる可能性があります。もっとも直接的かつ効率的にインプレッションを購入できるルートに、より多くの予算を注ぎ込むようになるからです。

「エクスチェンジやSSPは最終的にコモディティ化します。エコシステムのなかで彼らが効率を高めて革新を起こすには、売り手が供給パートナーを統合することが欠かせません」と、グッドウェイ・グループ(Goodway Group)傘下の欧州子会社コントロールvエクスポーズド(Control v. Exposed)で企業パートナーシップ担当バイスプレジデントを務めるアマンダ・マーティン氏は述べています。「これが買い手の根底にある動機であり、この動機を売り手と共有する必要があります」。

――広告主にとって、DPOは良いニュースなのでしょうか?

広告主は、DPOとSPOを組み合わせて支出をまとめることで、広告を購入する企業からより良い条件を引き出したり、仲介業者としての透明性を高めてもらったりするための交渉が可能になります。また、データをアドテクベンダーから保護できるようになるでしょう。広告主がより多くのお金をより少ないアドテクパートナーに費やすようになれば、広告主の交渉力はそれだけ高まります。パブリッシャーやSSPに対する安心感が生まれれば、広告主はプライベートマーケットプレイスで購入する広告と同じような高品質の広告を、オープンマーケットプレイスで安価に購入できるようになります。トレーダーが日時、サイト、広告規模、オーディエンスなどの要素を検討するのと同じように、インプレッションへのパスが新たな最適化要素になる可能性があるのです。

――とはいえ、DPOの真の勝者はパブリッシャーですよね?

DPOは、熱心な買い手から得られる利益を増やし、怪しいアドテクベンダーと提携してしまうリスクを減らし、パフォーマンスの良い広告を販売できる可能性を高めるだけではありません。最終的には、パブリッシャーのサイトのユーザー体験を強化することになるでしょう。なぜなら、サイトでの広告表示に影響を与えかねない遅延や互換性の問題が少なくなるからだと、アドテクベンダーのソブロン(Sovrn)で製品担当バイスプレジデントを務めるキース・ピーパー氏は指摘します。DPOのおかげで、サーバーサイド入札やヘッダー入札、それに直接取引からの大量入札が減り、オークションの速度が高まるため、パブリッシャーの広告サーバーが逼迫する状況が緩和されるというのがピーパー氏の考えです。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)