IBMによって20億ドル(約2100億円)で買収された、ウェザー・チャンネルブランドをサポートするデジタル事業のウェザー・カンパニー(The Weather Company)。すべてをFacebookに依存していると話すウェザー・カンパニーの編集主任、ニール・カッツ氏がDIGIDAYポッドキャストで語った。
現在、デジタルメディア企業にとってFacebookは無視できない存在だ。世界中で17億人のユーザーをもち、その規模の可能性に夢をもたずにはいられない。
IBMによって20億ドル(約2100億円)で買収された、ウェザー・チャンネルブランドをサポートするデジタル事業のウェザー・カンパニー(The Weather Company)がすべてFacebookに依存しているのはそのためだ、とウェザー・カンパニーの編集主任、ニール・カッツ氏は、DIGIDAYポッドキャストで述べた。Facebook上での視聴回数は実質的にゼロだった昨年と比べ、2016年は25億回の視聴数に達する見込みだ。この数字は、同社がすべてのプラットフォームを通して獲得しようとしている50億回の動画視聴数の半分にあたる。
「Facebookが我々パブリッシャーにトラフィックを生みだすことに興味がないということは分かっている」と語るカッツ氏。
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ウェザー・チャンネルブランドは依然主力ブランドだが、ウェザー・カンパニーはFacebook上で「気象予報に近接した情報」のバーティカルメディアを開始している。科学に焦点をあてたアカウント、「ロケッツ・アー・クール(Rockets Are Cool)」の例を挙げると、100万のFacebookファンと、2.5億回の動画視聴数を獲得している。また、動物に焦点をあてたバーティカル、「クラジマルス(Crazimals)」は、90万のファンと3億回の動画視聴数を獲得。女性と旅行に焦点をあてたバーティカルメディア「ビー・ライト・バック(Be Right Back)」は、近々ローンチを予定している。
気象情報を提供することで知られたメディア企業が、こうしたメディア展開をすることは奇妙かもしれないが、それはデータに基づいた戦略だとカッツ氏はいう。ウェザー・カンパニーの動画の半分は、現在、気象予報に直接関連のない動画だ。
「日常の生活のなかでユーザーが天気予報アプリを開く理由は、『今日は上着が必要なのか?』または、『明日傘が必要なのか』を知ることだ。しかし、一度アプリを開いたら、我々のオーディエンスの多くは、気象関連のニュースまたは、科学、自然、アウトドアアドベンチャーの、気象情報に近接したコンテンツをそのまま見続けることに気づいた」と、カッツ氏。
今回はこのポッドキャストからハイライトを紹介する。
主要なソーシャルメディアに参入するには絶好の機会だ
非常にたくさんのオーディエンスを抱える、Facebook、インスタグラム、Snapchat(スナップチャット)が動画配信プラットフォームとして台頭してきたことで、多くのデジタルメディア企業は参入を望んでいる。いくつかの点では、Facebookとパブリッシャーとの関係は、コムキャスト(Comcast)のような有料テレビ会社やテレビネットワークとの関係に似ている。
「有料テレビ会社とテレビネットワークの関係は、実際に力があるのはどちらかをめぐり、長年に渡って綱引き状態だ。今日、そして今後1年半、2年のあいだは、プラットフォームが力をもつことは明らかだ。人々が最終的に時間を使いたいと思うモノをもっているコンテンツクリエイターが、この綱引きに勝てるか。我々はもちろん勝てると願いたい。だから、その期間のあいだ持ちこたえることが可能なブランドを構築し続けているのだ」と、カッツ氏は語った。
ソーシャル分散型メディア企業は多くのリスクに直面している
さまざまなソーシャルプラットフォームにすべて依存することで、多くのパブリッシャーは、自ら制御できる術をもたずに、企業やプラットフォームに自らの運命を任せている。それに対して、ウェザー・カンパニーは、いまだに毎日3000万人が自社サイトやアプリを利用している。ソーシャルメディアにおける規模の拡大は魅力的だが、これら異なるプラットフォームへの対応方法について、ほかのメディア企業は慎重になる必要がある。
「ソーシャルだけに頼ったビジネスを見るとき、銀行にどれだけの資金をもっているかで、事業を進めていくだけに充分なブランド力を築ける時間を作れるだろう。しかし、ブランドを構築しておらず、閲覧数を獲得するためだけのグロースハック戦術をただ行っている場合、とてもリスクのある事業になるだろう」とカッツ氏はいう。
インスタグラム対Snapchat
Facebookがウェザー・カンパニーのデジタル動画運営の主要な部分となっている一方で、同パブリッシャーはインスタグラムにも目を向けている。
具体的にいうと、24時間以内に消えてなくなる動画や写真をユーザーが投稿できる、まさに、Snapchatのような、インスタグラム「ストーリー」をカッツ氏は気に入っているという。インサイダー(Insider)のようなパブリッシャーはすでにインスタグラム「ストーリー」に時間と資源を投入しはじめている。ウェザー・カンパニーもいままさに、それを開始したところだ。
「Snapchat『ディスカバー』に参入していない場合、そこで多数のオーディエンスを構築することはとても厳しい道のりになる。インスタグラム『ストーリー』をインスタグラムのアプリに統合させる方法を見て、それがいかにトップポジションを維持しているかを知れば、オーディエンス規模を成長させるのにはうってつけの方法になるだろう」。
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