「予想をはるかに超える」: ロイターの Twitter 戦略の裏側

ブルームバーグ(Bloomberg)のTicToc(ティックトック[※TikTokとは異なるブルームバーグのサービス])というライバルがいるなかで、ロイターのTwitter動画コンテンツが力強い成長を見せている。

ロイターはTwitter動画コンテンツを3言語にまで拡大しており、5つのアカウントを通じて過去3年間休むことなく配信を続けている。同社のプラットフォーム外開発およびソーシャル担当ディレクターのピアパオロ・マニリオ氏によると、Twitterの動画内広告収益は数億円規模に達しているという。

7月のロイターのTwitter動画コンテンツのプレロール広告、ミッドロール広告、スポンサーシッププレイスメントによる収益は、前年度比で150%増加した。同社はTwitter上の広告収益について具体額を公開していないものの、前年度の時点ですでに収益は大きな物となっていた。2019年度第2四半期のトムソンロイター(Thomson Reuters)の収益は14億ドル(約1500億円)、ロイターニュース(Reuter News)の収益は1億5600万ドル(約170億円)だった。

また7月に同社のTwitter動画コンテンツは、過去最高の再生数も記録しており、トップニュース、日本版、LATAM、Biz、インド版の5つのメインアカウントにおける合計再生数は、7500万回に達した。ロイターの動画は、全世界で今年5億4000万再生を記録している。同社が投稿するTwitter動画の広告収益のうち7割を占めているのが、トップニュースのアカウントとなっているのだ。

月間収益は10倍以上に

これと比較して、ブルームバーグのTicTocの月間再生数はTwitter、インスタグラム(Instagram)、Facebook、YouTubeを含む複数ソーシャールプラットフォームの合計で月間9000万再生、120万エンゲージメントを記録している。2017年と2018年においてTicTocの平均再生数は1日あたり75万回となっており、月間再生数は3000万回超だった。

マニリオ氏によれば、ロイターが3年前にTwitter向け動画コンテンツの制作をはじめたころは、これほどの高収益が得られるとは想定していなかったという。「月間収益は10倍以上になった。予想をはるかに超える額だ」と、同氏は驚いたという。

ブルームバーグも2017年12月から開始したTicTocがTwitter上で年中配信を行っている。TicTocは配信初年度から黒字を達成している。TicTocは今後さらに複数言語で各地域に配信を拡大していく予定で、OTT(オーバー・ザ・トップ)配信サービスとしては、今年末までにロイターと並ぶと見られている。

だが、ロイターはブルームバーグがTicTocで行っている取り組みを、ただそのまま真似るつもりはないようだ。

ロイター独自の強みを活かす

ロイターのプラットフォーム外コマーシャル開発担当ディレクター、ジェシカ・エイプリル氏は「いまのところロイター独自の強みを活かせている。すなわち世界中のオーディエンス向けに幅広い分野から大量のコンテンツを提供できるという強みだ」と語る。「Twitterコンテンツとして、フランチャイズ番組を制作するというのもひとつの手だ。実際この手法は面白いと思っている。だが、当社のユーザーに対して価値を提供し、収益を回収できる方法はそれだけではない」。

Twitterでアメリカのニュース提携のトップを務めるニック・シャロン氏は、ロイターもブルームバーグもTwitterとの提携で成功を収めたと指摘している。さらに同氏はTwitterのCEO、ジャック・ドーシー氏が10月第4週に述べた、「Twitterはパブリッシャー向けの『持続可能』な収益モデルを模索している」という発言に同調している。ドーシー氏は、TwitterはFacebookやApple News+のようにパブリッシャーへの直接の支払いを考えていないと述べている。

ロイターやブルームバーグなどのパブリッシャーに対して、Twitterの広告ターゲティング問題による当座の影響はないと思われるが、同問題により10月第4週にTwitterの株価は22%近い落ち込みを見せた。こうした問題はあるものの、Twitter全体の第3四半期の収益は前年度比で9%の伸びを見せている。

最適化できるかを見極める

アイクロッシング(iCrossing)の最高メディア責任者を務めるクリス・アポストル氏は、Twitterの最近の広告ターゲティング問題によって、クライアントがメディア購入戦略でTwitterを避けるようなことはないと述べている。一方で「TwitterではFacebookやYouTubeほど大規模にリーチできないのはこれまでも知られてきたことだ。だが今回の業績報告ではその傾向がさらに強まったことを示している。Twitterは2020年までにリーチとターゲティング機能を向上させるべきだろう」と指摘している。

もしこれが実現すれば、ロイターなどのパブリッシャーにとっても、より多くの収益が見込まれる可能性がある。ロイターは既存のTwitter動画戦略を継続していく予定だ。ロイターの各国におけるツイートのうち25%が動画コンテンツを含んでいる。エイプリル氏によれば、ビジネス動画とヒューマンインタレスト記事のコンテンツが特に良いパフォーマンスを記録しているという。ロイターは2019年に動画コンテンツに関わっている社員の具体数について回答を拒否したものの、昨年の時点で少なくとも10名以上が動画コンテンツに相当の力を注いでいると述べている。

「プラットフォームごとに独自の戦略を設けるべきだと考えている」とエイプリル氏は語り、次のように述べた。「各プラットフォームの戦略をどのように最適化できるかを見極めるのが私たちの仕事だ。分かりきったことを毎回やり直すようなことはしない。それでは成長につながらないからだ」。

Deanna Ting(原文 / 訳:SI Japan)