ワシントン・ポスト(The Washington Post)は、拡張現実(AR)シリーズを5月15日にローンチし、本年度のARを駆使した記事作りが開始された。
最初のシリーズではARを使用して世界中の革新的な建造物探索体験を人々にしてもらうというもので、ドイツのハンブルクにあるエルベフィルハーモニーのコンサートホールがまず紹介された。同ホールでは訪問者たちは座席の位置に関係なく、同じ体験を見聞きできるように設計されている。
ワシントン・ポスト(The Washington Post)は、拡張現実(AR)シリーズを5月15日にローンチし、本年度のARを駆使した記事作りが開始された。
最初のシリーズではARを使用して世界中の革新的な建造物探索体験を人々にしてもらうというもので、ドイツのハンブルクにあるエルベフィルハーモニーのコンサートホールがまず紹介された。同ホールでは訪問者たちは座席の位置に関係なく、同じ体験を見聞きできるように設計されている。
ワシントン・ポストの読者はiOS端末で同紙のアプリからその記事にアクセスし、スマートフォンのカメラを自分がいる部屋の天井に向け、タップして再生する。その天井はコンサートホールの天井に変わり、同紙で芸術と建築を担当する批評家のフィリップ・ケニコット氏による音声ナレーションが再生される。ユーザーは、プロンプトをタップして、ケニコット氏による添付記事を読むことも可能だ。
Advertisement
ケニコット氏は、ビジュアル記事に対するARのあからさまな応用に関して、ARが彼のような批評家に取って代わるのかどうかという疑問が出ていると述べた。その疑問に対する彼の考えは、ARはそうした経験を置き換えるというよりも、そうした経験を強化することができるので、読者にとって批評がより興味深くなり、より意味を増すというものだ。「写真や動画よりもっと多くのことを人々が得ることができる素晴らしい方法だ」と、ケニコット氏はいう。
意図的に小さな規模で開始
このシリーズは継続され、夏の終わりまでに少なくともあと2回の掲載が予定されている。同紙は今年おおよそ6本のARシリーズを予定しており、AR記事をAndroidとレインボー(Rainbow)アプリに拡大する計画をしている。

ワシントン・ポストは、革新的なコンサートホールの天井がどのように構成されているかを表現するのにAR動画を活用した。
同紙は意図的に小さな規模でこのシリーズを開始した。シリーズ初動画は約10秒ほどの長さだと、ワシントン・ポストのプロダクト担当のジョーイ・マーバーガー氏はいった。「その短い経験で、その記事についてより多くを知ることになる。でも記事を体験する方法をそれだけに限定したくはなかった。やり過ぎにはしたくなかったんだ」と彼は語った。
アウディ(Audi)は同シリーズのスポンサーだ。最初の広告は視覚的に表示され、今後の広告は記事連載のなかでARを使ったブランデッドコンテンツの形を取ることになる。
ARコンテンツの可能性
ARは、ほとんどの人にとって、まだまだ新しい経験であり、人々に試してもらうための後押しが必要だ。また、すべての記事で有効ということではない。しかし、ワシントン・ポストはそれを今年の優先事項にしている、というのもバーチャルリアリティとは違い、コストが安く、ヘッドセットいらずで、広告主の需要があるからだと、マーバーガー氏はいう。このシリーズでは、編集とエンジニアリングに6名を採用し制作にあたっており、ほかのプロジェクトに投入されるチームのサイズに匹敵する。
企業はARへの投資を行っており、より広範な応用の可能性が示唆される。そのときのために、ワシントン・ポストは準備を進めてきた。ARについてのもうひとつの議論は、それはWebサイトよりも高いエンゲージメントを得ているパブリッシャーのネイティブアプリに、ユーザーをエンゲージさせ続ける手段であることだ。
「それはもっと広く利用されるだろうと我々は思っているし、期待が高まっているのがよくわかる。そして、我々はその最前線にいたい。そうすれば実際に動き出したときに、その分野ですごい記事作りが可能になる」とマーバーガー氏は述べた。
Lucia Moses(原文 / 訳:Conyac)
Image: Orgelbau Klais Bonn