Vice 傘下のグルメサイト、「 フードコート 」運営に挑戦:マネタイズの多角化が狙い

Vice(ヴァイス)傘下のフード情報サイト、マンチーズ(Munchies)がシェフとレストランを物色している。その目的は、同パブリッシャーの最新の試み「フードコート」に力を貸してもらうためだ。

Viceとフリーマントルメディア(FremantleMedia)が共同所有するマンチーズは先日、開発業者のトリプル・ファイブ・グループ(Triple Five Group)とブランドライセンス契約を交わし、同社にフードホールの開発を一任した。そのフードホールは、2019年春にニュージャージー州メドウランズでオープンするアメリカン・ドリーム(American Dream)に設営される。アメリカン・ドリームはショッピングとエンターテインメントのための複合施設で、300万平方フィート(約28万平方メートル)の広さを誇る。マンチーズのフードコート(アメリカン・ドリームに設営される2つのフードホールのうちのひとつ)には、18の販売業者のためのスペースのほかに、チームが動画を撮影したり、シェフが実演を行ったりできるステージエリアも設営される予定だ。

アメリカン・ドリームはメットライフ・スタジアムに近く、目もくらむほどのさまざまなアトラクション(12階建ての高さを誇る屋内スキーヒルや、世界最大の屋内ウォーターパーク、観覧車、高級ショッピングセンター、「4-D」映画館など)もある。こうしたことからマンチーズは、同複合施設には年間4000万人が来場すると見込んでいる。

ベンダー選定の基準

契約の一環として、マンチーズはブランドライセンス料に加えて、ロイヤリティ(金額はフードコートの売上に応じて変化する)も受け取ることになっている。金銭に関する契約内容の具体的な詳細は教えてもらえなかった。

フードコートに入る販売業者はマンチーズが選ぶことになっている。同パブリッシャーの感性を表現し、フードホールのセッティングにふさわしいものを提供できるベンダーだ。また、過去に一緒に仕事をしたシェフの獲得とともに、想定されるターゲットに向けたカクテルパーティーの準備も進められている。

「このフードコートを自分たちのわがままの産物にはしたくない」と語るのは、マンチーズの共同設立者でパブリッシャーのジョン・マーティン氏。「フードコートの運営には、いくつか必要なことがある。たとえば、サンドウィッチやピザの販売がそうだ」。

ブランドマーケの好機

食べものにフォーカスするパブリッシャーの多くがそうであるように、マンチーズも広告以外から売上を得るために、さまざまな策を講じてきた。過去にはミールキットの販売でシェフド(Chef’d)と業務提携を結んだ(シェフドは今年7月に突然、営業を停止した)。昨年秋には、初の料理本『マンチーズ:世界最高のシェフが贈る「深夜食」(MUNCHIES: Late-Night Meals from the World’s Best Chefs)』を出版、今後1年以内にさらに2冊を出版することになっている。また、ブルックリン・ウィリアムズバーグにある本社では、定期的にブランデッドイベントも開いている。

こうした収入源は「有意義」ではあるが、売上の多くを占めるものではないと、マーティン氏は述べる。このほかに同社は、Viceが運営するテレビチャンネル「Viceland(ヴァイスランド)」向けの番組の制作や、広告主向けのブランデッドコンテンツの制作、サイトでの広告販売から利益を得ている。マンチーズのサイトが4年前に立ち上げられて以来、売上に占めるデジタル広告の割合は100%から25%に変化してきていると、マーティン氏は述べる。

マンチーズのフードコートは、フードパブリッシャーが自社ブランドを現実世界に広げつつあることを示す最新の例だ。たとえば、BuzzFeedのテイスティ(Tasty)は先日、マジソン・スクエア・ガーデンに屋台を出店した。ブランドライセンスに関する数々の実験を成功させてきたテイストメイド(Tastemade)も、ブランデッドコンテンツや動画制作事業を補う新たな収入源として、カフェに目を向けている

モール運営者の変化

ブランドマーケティングの好機以上に、マーティン氏の口振りからは、フードコートはさまざまな種類の売上を生み出せるという楽観が感じられた。たとえば、マンチーズはブランデッド商品を施設内で販売する許可を受けている。また、イベントをはじめとする実験的なマーケティングプログラムも自由にそこで行えるのだ。

このオープンエンドなアプローチは、近年見られる、モール運営者の態度の変化を示す何よりの証拠だ。かつての彼らは、建物のなかで行われることの主導権をしっかりと握っていた。

「モール運営者はこれまで、ブランドがイベントやポップアップ・アクティベーションを行う場合、6桁にも及ぶ高い料金の支払いを要求してきた。マーケティング・アクティベーションの意味など、ほとんどなかった」と語るのは、ブランドライセンス活動の追跡を行う企業、ライセンシング・アクティビティー(The Licensing Letter)でエグゼクティブエディターを務めるカリーナ・マソロバ氏だ。「だが状況は変わり、危機を感じはじめたアメリカのモールは、客足を促進してくれるブランドに価値を見出すようになっている」。

ゆっくりと時間をかけて

プログラムの作成は、ゆっくりと時間をかけて、マーケティングとエディトリアルの両チームの協働によって行われることになっているという。だが、自社の従業員だけでなく、シェフやスポンサー、アメリカン・ドリーム側からのアイデアもうまく取り入れていきたいと、マーティン氏は考えている。

その作業はまだ初期段階ではあるが、最良のシナリオには一種の「テントポール(「企業の屋台骨を支える大ヒット商品」の意)」コンテンツが含まれ、フードコートで展開されることになると、マーティン氏は述べる。「『トータル・リクエスト・ライブ(Total Request Live)』(MTVで放送されていたリクエスト番組)がタイムズスクエアで行っていたことを自分たちで実施するのが夢だ」と、マーティン氏は語った。

Max Willens (原文 / 訳:ガリレオ)