ベライゾン 、モバイル動画配信サービス「Go90」を終了へ:多額投資の末に

アメリカの無線通信大手ベライゾン(Verizon)が、これまで多額の投資を行ってきたモバイルデバイス向けの動画プラットフォームGo90(ゴーナインティ)のサービスをついに打ち切る決定を下した。

G90は同社が2015年10月に立ち上げたモバイル向けの動画ストリーミングサービスで、関係者4人が同サービスの終了を明かした。同関係者によると、同社はすでにGo90と動画配信アプリを7月31日に同時終了する計画について、Go90のコンテンツ提供パートナーに説明をはじめたという。Go90は番組とコンテンツの権利を制作会社に返還する予定だ。オウサムネスTV(AwesomenessTV)やVice MediaもGo90に番組を提供している。

これによりベライゾンがこれまで多額を投じてきた挑戦は終わりを告げる。同社は何年にも渡り、Go90のためのコンテンツの買収やマーケティングに相当な金額を投資してきた。同社がGo90にこれまで具体的にどれだけの金額を投じてきたかは不明だが、Go90の内情を知る関係者2名によると、そのコストは総額でおよそ12億ドル(約1300億円)にものぼるという。一方、別のベライゾンの関係者は、コストは総額でも3億ドル(約330億円)には達しないだろうと主張している。

オース誕生の余波で

ベライゾンの広報担当者は今回の件について、「オース(Oath)が生まれたことを受けて、Go90はサービスを終了する。ベライゾンは今後、モバイルデバイスの顧客に向けたスポーツやファイナンス、ニュース、エンターテイメントのサービスと、これからの時代の5Gアプリを提供する大規模なデジタルブランドとなるべく取り組んでいく」と、声明を発表した。

Go90は鳴り物入りではじまったサービスで、立ち上げイベントにはカニエ・ウェストがパフォーマンスを行ったほどだ。ベライゾンはモバイル動画配信のプラットフォームを築き上げようとした。狙っていた立ち位置はNetflix(ネットフリックス)とYouTubeの中間で、テレビのような質の高い短い動画と、中編のオリジナル番組を提供していた(それだけでなく、ライセンス提供のテレビ番組や、スポーツの生中継すら配信していた)。だが、Go90はオーディエンスを集めるのに苦労した。視聴者は短尺の動画は勝手知るYouTubeで、逆にプロが制作したテレビのような質が高い番組は、Netflixをはじめとする配信大手で視聴した。

ここ数カ月で、ベライゾンはGo90の社員多数をAOLとヤフー(Yahoo)が合併したデジタルブランド、オースの各部署へと異動させた。Go90の社員の多くは、買収したモバイル動画プラットフォームのベッセル(Vessel)の元社員だった。ベッセルもまた低迷していた動画プラットフォームだ。関係者によると、ここ数カ月、Go90で働いていた社員はおよそ10人程度だという。また、いまのところ人員変更の予定もなく、Go90のリソースは、そのままオースの扱う多様なパブリッシングおよびディストリビューションプラットフォームで利用する予定とのことだ。

さほど驚きはない決定

動画制作においてGo90はいくつかの成功を収めてきた。コービー・ブライアントに関する短編動画、「親愛なるバスケットボールへ(Dear Basketball)」はオスカーを受賞している。一方、関係者によると独立型のアプリのGo90は、オーディエンスの獲得に苦労しており、オースでオリジナルの番組を配信するほうが理にかなっているという。ベライゾンによると、オースが所有する各メディアでGo90の番組の配信をはじめた場合、1700万人以上がGo90の番組を視聴することになるという。

Go90の終了自体にはさほど驚きはない。その予兆はオースのCEO、ティム・アームストロングの今年はじめのコメントにも表れていた。テック業界ニュースサイトのRecode(リコード)のイベントでGo90の存続について尋ねられたアームストロング氏は、「ブランドは残る。どれくらいの期間残るかはわからない」と答えていた。

Sahil Patel(原文 / 訳:SI Japan)