英・テレグラフのサブスク拡大戦略は、インスタ&スナチャで : 特に若年層の攻略で奏功

テレグラフ(The Telegraph)は新しいオーディエンス、特に若い世代のオーディエンスを探し出し、彼らのコンテンツに馴染んでもらい、最終的には有料サブスクリプション利用者になってほしいと考えている。そんななか、インスタグラム(Instagram)やSnapchat(スナップチャット)といったソーシャルプラットフォームは便利なツールとなっているようだ。

インスタグラムとSnapchatにおけるユーザーの動きをテレグラフはより詳しくモニタリングしはじめた。これはどのようなコンテンツが、読者がサブスクリプション登録することにつながるのかを見極めるためだ。特に滞在時間とリテンションといったメトリックスに注目しているようだ。

「多くの要素が存在している。ユーザーがどのような動きを見せているのか、深く分析することが我々にとっての次のステップであることは明らかだ」と、テレグラフのソーシャル部門責任者であるベス・アシュトン氏は言う。「ペイウォールがどうなるかは、まだかなり不明瞭だ。エンゲージメントを起こし、我々のコンテンツをユーザーに紹介することが重要だ。我々のコンテンツはユーザーたちが考えているものと違っているかもしれない」。

投稿と有料サブスクリプション登録のつながりをハッキリとテレグラフが見つけられたプラットフォームはインスタグラムのみとなっている。アカウントのプロフィール欄に埋め込む記事リンク経由でのトラフィック流入だ。テレグラフのインスタグラムアカウントでは、40万5000人のフォロワーが存在しており、そのうち53%が34歳以下となっている。テレグラフによると、インスタグラムを通じて登録ユーザーや有料サブスクリプション会員になったユーザーがいるとのことだが、厳密なコンバージョン率は明かさなかった。

インスタでは文脈を工夫

テレグラフのソーシャルメディア部門は6人編成となっている。これに加えて、Snapchatディスカバー(Snapchat Discover)専門のスタッフが5人存在している。ソーシャルベイカーズ(SocialBakers)によると、彼らのインスタグラムのフォロワー数は2018年9月から2倍に伸びている。これはテレグラフのカラーパレットとタイポグラフィをインスタグラムでの投稿にも適用する工夫をはじめたこと、そしてコンテンツの範囲にライフスタイルやカルチャーといったトピックも加えたことが一因となっている。

またストーリーズ(Stories)の内容が若いオーディエンスにも理解しやすいように、文脈を提供する工夫をしてきている。たとえば、自分がヨークシャー・リッパー殺人犯であると警察を騙そうとしたジョン・ハンブルの死を伝える記事に関して、インスタグラムの投稿に彼の電話の録音内容をフィーチャーした。

「通常はこのような死亡記事の作り方をしないが、この特定のオーディエンスに対しては、ストーリーに文脈を加えることが重要だった」と、アシュトン氏は言う。「このコンテンツはストーリーからだ。必ずしもこの順番である必要はないが、いまや有名な彼の電話内容、そしてなぜそれが重要であったかを説明している」。

スナチャではCVRに着目

テレグラフが運営するSnapchatのディスカバー(Discover)チャンネルは2017年6月にローンチした。これはテレグラフにとって、若いオーディエンスにリーチするために使う基本的な、もっとも確立されたルートとなった。しかし、クローズなプラットフォームであることから、サブスクライバーへの貢献という点ではインスタグラムよりも不明確だ。テレグラフによると、このチャンネルは毎日平均で100万人の視聴者がおり、そのうち50%が18から24歳のあいだとなっている。滞在時間と、トップスナップのコンバージョン率もモニタリングしている。これによってパッと見の注意を引く、トップスナップの効果を越えて、コンテンツ自体に読者がどれだけ興味を持っているかを知る。

ユニークビューだけではない、それを越えたメトリックスがサブスクライバーを生むプロセスでどう意味を持つのか。これを見極めることはますます重要になっていると、アシュトン氏は言う。テレグラフは、エコノミスト(The Economist)やファイナンシャル・タイムズ(Financial Times)といった、ほかのサブスクリプション形式のパブリッシャーに追いつこうとしている形だ。エコノミストやファイナンシャル・タイムズは、サブスクリプション登録するには読者が何度コンテンツに触れる必要があるか、といった情報を持っている。

テレグラフが保有する5人編成のSnapchatチームには、3人のデザイナーと2人のエディターがいる。Snapchatは、ほかのソーシャルプラットフォームと同様に、オリジナルのコンテンツを作るのではなく、すでに存在するもののパッケージやデザインを変えて投稿する。これは登録、もしくはサブスクリプション入会する読者たちが、どのようなコンテンツを期待すれば良いか分かるようにだ。異なる点は、より深く情報を与えるストーリーにおける文脈の与え方だ。英国の「合意なき」EU離脱がどのような影響を持つか、という背景記事や、英国議会における「停会」が何を意味しているか、といった説明、といった具合だ。

ユーザー心理と状態を理解

テレグラフがいま、WhatsApp(ワッツアップ)で1日に2度の音声ニュースセグメントを持っている。彼らによると、このコンテンツはサブスクリプション登録に貢献しているという。ホームページにアクセスする読者と比べると、WhatsAppのチャンネルに登録する読者のほうが12倍も、有料サブスクリプションに登録する傾向にあるという。

WhatsAppチャンネルを通じて記事に飛ぶユーザーたちはまた、平均的な読者と比べて読む記事の数が2倍になるという。現時点でこのプロセスで何千人ものサブスクリプション会員を獲得したという。わざわざテレグラフのWhatsAppチャンネルを探し出して聞いている人たちであるため、エンゲージメントが高くなっているのだろう。Snapchatやインスタグラムはコンテンツに偶然、出会うことがある。

チューブラー・ラボ(Tubular Labs)のデータによると、テレグラフはFacebook、Twitter、インスタグラム、YouTubeといったメインのソーシャルメディアを合計すると820万人のフォロワー数を抱えている。ここから登録ユーザーへとなってもらうために、この大きなフォロワーベースに取り組む必要がある。

「ユーザーの心境や状態を理解することが次の論理的なステップだ。我々の全体的な目標は登録ユーザーとサブスクライバーを増やすことである」とアシュトン氏は言う。「しかし、自分たちのなかでカニバリズムが起きないように、広い範囲にアクションを起こしながら、お互いの動きを把握しながら協力して取り組む必要がある」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:塚本 紺)