タイム社(Time Inc.)主力誌だったタイム誌は2018年秋に、報道によると1億9000万ドル(約205億円)で、セールスフォース・ドットコムの最高経営責任者であるマーク・ベニオフ氏とリン・ベニオフ氏の夫妻に売却された。米DIGIDAYは、編集長兼CEOのエドワード・フェルゼンタール氏にインタビューした。【※本記事は、一般読者の方にもnoteにて個別販売中(480円)です!】
かつては何年も、姉妹ブランドの強化やコンテンツの大規模配信を行っていたタイム誌は、2019年に独自の道を切り開くことになる。タイム社(Time Inc.)主力誌だったタイム誌は2018年秋に、報道によると1億9000万ドル(約205億円)で、セールスフォース・ドットコムの最高経営責任者であるマーク・ベニオフ氏とリン・ベニオフ氏の夫妻に売却された。
ニュース週刊誌のタイム誌は、黒字経営や善意ある億万長者による所有、イベントや動画、コンテンツ制作を拡大できる態勢など、あらゆる強みを利用して2019年を迎える。だが、ニュースに対する広告主の反感や厳しい競争、独力で臨む前途にも直面している。
米DIGIDAYは、広告主の目を引く方法や、語るストーリーのタイプ、タイム誌の独自性ついて、編集長兼CEOのエドワード・フェルゼンタール氏にインタビューした。以下の会話は要約されている。
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――タイム誌自体が1年間にわたって変革され、そのひとつの時代は所有者の交代とともに終わった。書き言葉がまだタイム誌の独自性のカギだと感じるか? タイム誌はまだコンテンツ会社なのか?
タイム誌はもちろんコンテンツ会社だ。今後もコンテンツ会社のままだ。書くのは、現代のコンテンツ会社であることの意味のひとつの中核をなす。
――でも、重要部分ではない?
ひとつの中核だ。販売プロセスにその多くを費やすうちに、我々が今年学んだことのひとつは、独自のストーリーをこれまで十分にうまく語れていなかったということだ。販売プロセスには、タイム誌の過去の状態や現状、なり得る状態を十分に報告する必要がある。
プレゼンを行った相手のグループはいずれも、(さまざまな金銭的なレベルで)興奮を示したが、タイム誌が多くの人々が思っているようなものでないことに驚いた。我々が語ったストーリーは、このブランドの新たな基盤を築いてきたということだった。我々は、まず第一に、米国ではまだ最大の印刷版ニュースメディアだ。そして、それが書かれたものであり、我々が行うすべてのことの基礎を成す。
――従来型の広告は、かつてほどマーケターの興味を引いていないように思える。自社でやっているいま、マーケターに対するタイム誌の主なセールスポイントは何だと思うか?
様子を見ているところだ。質への逃避ではなく、質への迅速な移行であるなら、タイム誌はすでに、これを経験している。
――だが、広告主はまだ、カテゴリーとしてニュースに対してかなりアレルギーがあるが?
その分野で、タイム誌は固有の強みを持っている。ニュースは明らかに、我々の独自性や、我々が毎日行っていることの柱だが、我々はニューヨーク・タイムズ(The New York Times)やワシントン・ポスト(Washington Post)とは異なる。タイム誌の表紙は物理的存在だと思うが、ほかのほとんど誰もができないが、タイム誌にはできることの象徴でもある。我々が雑誌上で象徴的に赤色になっている枠内に何かを掲載すると、そのトピックは重要度が高まる。我々のような信頼のブランドと結びつき、世界的に重要なトピックで大きく取り上げられることには、このように大きな関心が向けられている。
――目標は、別の柱やサブフランチャイズを見つけて、広告プログラムの武器にすることと言ってもいい?
それは、少し単純化しすぎだ。我々には、世界で再現するのが非常に難しい、96年間受け継がれてきた信頼がある。それにアクセスも。我々はこの1年間に、世界をリードする10以上のプロフィールを紹介した。我々には、フランチャイズを構築するこうした機会がある。
健康サイトの「タイム・ヘルス(Time Health)」が格好の例だ。タイム・ヘルスは成長がもっとも速い当社の取り組みだ。タイム誌の信頼を健康関連の記事と結びつけ、そうしたトピックに特別な関心を寄せるターゲットのオーディエンスに提供すれば、うまくいく。
タイム・ヘルスは成長がもっとも速い新しい取り組みであり、すばらしい更新率を達成している。現在は医院に配信されているが、計画外だった設定での配信に対して、あらゆる種類の要望が寄せられている。これは、我々がタイム誌ブランドを拡大できる方法を示す一例だ。
――タイム誌の仕事が国内の話題を論じることであるならば、プラットフォームの支配に関する話題は、タイム誌が取り扱うべきものに思える。それについては、タイム誌は報じているか?
それは、我々皆がうまく伝え、うまく説明し、これらの企業やプラットフォームに説明責任を負わせる責任と機会を持つ分野だ。地政学的に重要な話題だ。(プラットフォームは)多くの点ですばらしくポジティブだが、この話題は慎重に見守る必要がある。タイム誌はそれにひと役買うことができる。我々はそれにかなり重点を置くつもりだ。
Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)