「ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)」読者に実施されたオンライン調査によると、同紙はデジタルプラットフォームのアドフリーバージョンや記事単位課金、また宅配の追加料金までも含めた、新しい収益方法の可能性を模索しているようだ。
「ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)」読者に実施されたオンライン調査によると、同紙はデジタルプラットフォームのアドフリーバージョンや記事単位課金、また宅配の追加料金までも含めた、新しい収益方法の可能性を模索しているようだ。
広告モデルを採用するすべてのパブリッシャーと同様に、WSJは広告収入の減少に対処するため、読者からさらに収益をあげようと試みている。同紙は、広告収入に頼らず読者からより多くの収益をあげているという点で、出版業界では例外的な存在だ。前会計年度では、部数売上の収入が広告収入を上回った。
WSJはその収入の流れを守り続けてきた。収益化機会が不透明なFacebookなどのソーシャルプラットフォームにエディトリアルコンテンツを拡散することについては保守的な見方をもっている。人々が無償で記事へアクセスすることができないように、抜け穴をふさぎ、親会社であるニュース・コーポレーション(News Corp)のパブリケーションに渡って記事を共有するためのモジュールを構築した。
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この調査で、WSJは模索中のいくつかの構想を提示し、回答者にフィードバックを求めると同時に、異なる価格帯で同紙のコンテンツに料金を支払う意思について尋ねている。
WSJは紙版宅配費を見直しており、そのサービスに対して顧客への費用請求を検討している。
WSJはデジタルプラットフォーム(スマートフォンアプリやタブレットアプリ、ウェブサイト)用にアドフリーバージョン導入の可能性について模索している。次のセクションは、広告表示がないことが皆さんにとって、どれだけ魅力的かを理解してもらうことを目的にしている。
新しい収益プランの中身
デジタルプラットフォーム(スマートフォンやタブレットのアプリ、ウェブサイト)のアドフリーバーションについては模索中としているが、追加料金の有無、またその金額については明言していない。記事単位の課金の場合、同社は1記事につき79セント(約89円)を考えているという。また、紙版の宅配料の請求を検討しているというが、その金額についても言及はなかった。さらに同紙は、クロスワードとパズルの専用アプリも検討しているらしい。
コメントを求められ、WSJは次のような声明を出した。「メンバーシップビジネスとして、WSJはメンバーの経験を向上させ、革新するための知識を構築しようと、いつも努めている。我々は安定したメンバーのフィードバックループを確立しており、これは一例に過ぎない」。
WSJの紙版もしくは電子版の無制限アクセスは現在、月額32.99ドル(約3700円)。その一方、プリントデジタルパッケージは月額36.99ドル(約4160円)となっている。同紙は、今年半ばまでに、版元のダウ・ジョーンズ関連全商品(WSJに加えバロンズ[Barron’s]、ファイナンシャル・ニュース[Financial News]などを含む)の購読者数300万到達が目標だ。現在のところ、250万(そのうち200万はWSJ)を少し超えており、紙版と電子版、ほぼ半々の割合となっている。
他社のマネタイズ状況
アドフリーオプションを模索しているのは、WSJだけではない。アドブロック利用者の増加に対処するため、通常の電子版購読よりもコストがかかるオファーを準備していると、ニューヨークタイムズ(New York Times)はいう。ワイアード(Wired)やアトランティック(The Atlantic)を含め、ほかのいくつかのパブリッシャーたちもこの方向に進んでいる。
パブリッシャーのあいだではマイクロペイメントへの関心が高まっているが、賛否は両論だ。そのため、読者の賛同を得られるかは疑わしい。
WSJの新しい課金アイデアのなかで、もっとも論争の的になっているのは、宅配料金の請求だろう。読者たちにそのような料金の請求が「妥当」であるかと尋ねた質問から判断すると、それについてはWSJも認識しているようだ。
Lucia Moses(原文/ 訳:Conyac)
Photo by Kevin Dooley(CreativeCommons)