モジラ(Mozilla)は2022年1月10日、テクノロジーやデータが社会に与える影響を伝える非営利の報道機関マークアップ(The Markup)との提携を発表。Facebookがどのようにユーザーを追跡しているかを監視するための研究プロジェクトを開始することになった。
研究者たちは長年、大手テクノロジープラットフォームが、自社製品をのぞき込むことができないブラックボックスにしていることに不満を抱いてきた。しかし、2つのNPOが手を組み、ある大手テクノロジープラットフォームがウォールドガーデン外でどのように活動しているかを調べようとしている。
ブラウザのファイアーフォックス(Firefox)を運営するNPOのモジラ(Mozilla)は2022年1月10日、テクノロジーやデータが社会に与える影響を伝える非営利の報道機関マークアップ(The Markup)との提携を発表。Facebookがどのようにユーザーを追跡しているかを監視するための研究プロジェクトを開始することになった。
主なポイント
- 9カ月にわたるこのプロジェクトでは、Facebookが自社のユーザーだけでなくFacebook、インスタグラム以外のユーザーからどのようなデータを収集しているかに焦点を当てる。
- このプロジェクトはFacebookピクセル(pixel)を監視することで機能。FacebookピクセルはJavascriptの一種であり、このJavascriptが読み込まれたサイトで、ユーザーが行動を起こすと記録される。
- 参加を希望するユーザーは、モジラが2021年夏に公開したブラウザ拡張機能ラリー(Rally)をダウンロードし、Facebookピクセル・ハント(Facebook Pixel Hunt)プロジェクトにオプトインする必要がある。
最初はうまくいかなくても…
マークアップがFacebookのユーザー追跡を監視しようとしたのはこれが初めてではない。2020年にはシチズン・ブラウザ・プロジェクト(Citizen Browser Project)を立ち上げ、人々がFacebookを利用する際、Facebookはどのように行動しているかというデータを収集した。3500人以上がプロジェクトに参加し、その成果として、マークアップはいくつかの記事を発表した。Facebookは政治的なFacebookグループのレコメンドをやめると宣言したにもかかわらず、ユーザーはいまだにそのような提案を受けているという記事などだ。
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最終的に、Facebookはコードを変更し、シチズン・ブラウザ・プロジェクトがFacebook内でのユーザーの行動に関するデータを収集することは困難になった。今回のプロジェクトは、Facebookが管理していないサイトを監視するもので、Facebookにとっては、以前より妨害が難しいはずだ。
サンプルサイズが小さい?
オーディエンスの規模は、モジラとマークアップが考慮すべき重要な事柄になるだろう。モジラが2021年6月にラリーを公開したとき、プロジェクトリーダーは米DIGIDAYに対し、消費者調査パネルに匹敵する数十万、さらには数百万のユーザー基盤を持つことになるだろうと話していた。
しかし、このようなプロジェクトに参加したいという要望がどれくらい存在するかは不明だ。シチズン・ブラウザ・プロジェクトは最初の1年間に3500人あまりが登録し、ラリーはユーザー数1000人以下のプライベートベータ版から始動した(広報担当者はそれ以降のユーザー数を明かしていない)。どちらもユーザー代表としては十分なサンプルサイズだが、ユーザー活動のより大きなサンプルがあれば、マークアップがより詳細な実態を描き出す助けになるだろう。
また、消費者のデジタルプライバシーという概念が主流に近づいている一方で、ユーザーが自分のプライバシーを守るために取っている行動はまだ少ない。たとえば、プライバシー重視のブラウザであるトーア・プロジェクト(Tor Project)は、アクティブユーザー数はまだ300万人に満たないと述べている。
[原文:The Rundown: The Markup and Mozilla will track Facebook tracking its (opted-in) users]
MAX WILLENS(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:猿渡さとみ)