2022年のCESはNBCユニバーサル(NBCUiversal、NBCU)が言及してきた、ファーストパーティデータプラットフォームNBCユニファイド(NBCUnified)の発表から始まる。マーケターはまずは提供されるものが何なのかを把握することが重要だ。
新型コロナウイルス変異株「オミクロン」の猛威を前にして、メディアのディールメーカーたちは――どうやら、そのほかの関係者もほぼ全員――2022年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)から距離を置くことに決めた。
しかしながら、同イベントのサイトに掲載されている主要メディアのスケジュールには変更がなく、1年近く前からNBCユニバーサル(NBCUiversal、NBCU)が言及してきた、ファーストパーティデータプラットフォームの発表が行われた。
主なキーポイント:
- プラットフォームの名称はNBCユニファイド(NBCUnified)。3つの個別のコンポーネントで構成されている。具体的には、NBCU IDと、広告主がサードパーティデータをNBCU IDに付加できるデータマーケットプレイス。そして相互運用であれ、データクリーンルームを利用する場合であれ、広告主によるデータマッチングが可能なテクノロジーだ。
- NBCユニファイドは、5000万の世帯IDはもとより、1億5000万の個人の決定論的コンシューマーIDを誇る。2023年までには2億を超える予定だ。NBCユニバーサルによれば、ニュースやスポーツからテーマパークまで、さまざまな種類の製品やコンテンツをあわせて月間2億3000万人にリーチするという。
- NBCユニバーサルの発表では、NBCユニファイドのローンチは2022年第2四半期の予定。新たに立ち上げられたエンタープライズデータグループがローンチするはじめての製品となる。なお2021年7月には、ジョン・リー氏が経営陣に返り咲いている。
比類のない巨大なデータ
数多くの小規模パブリッシャーが2021年の1年間をかけてファーストパーティデータ製品に向けたビジネスを構築しており、2022年のビジネスに関しては、かつてないほど多くのパブリッシャーが広告主との商談でデータを駆使していた。
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NBCユニバーサル(データクリーンルームの初導入は2021年。現状、NBCユニファイドはまだ利用できない状態)が結びつけられるデータはその比ではなかった。それに、NBCユニバーサルいわく、NBCユニファイドが結びつけられる範囲、つまり、デジタルからストリーミング、リニア、販売やサブスクリプションのデータまで、さまざまなコンテンツ消費の分野で、同社に匹敵する競合相手は、2021年2月に開始したディズニー・セレクト(Disney Select)などひと握りしかいないという。また、幅広いサービスも提供できるので、サードパーティのトラッカーに頼らず、広告主に対してさまざまな種類の結果の測定も可能になる。
「NBCUの環境はそれ自体巨大なものだ」とデジタル制作企業メディアモンクス(Media.Monks.)でデータプラクティスのシニアディレクターを務めるマイルス・ヤンガー氏は話す。「NBCUのような『コンテンツ要塞』で重要なのは、さまざまな環境でオーディエンスを追跡し続ける必要がないということだ」。
まずは提供内容の把握が重要
NBCユニファイドが提供するデータマーケットプレイスでは、広告主がNBCU IDのプロファイルに、メディア消費やサイト行動から簡単には識別できない情報をスムーズに追加できるようになる。このマーケットプレイスにある情報が、競合他社とどの程度わたり合えるのかは明らかではない(ちなみに、クラウドサービスプロバイダーのスノーフレーク[Snowflake]は自社のデータマーケットプレイスで200を超えるさまざまなデータソースを提供している)。マーケットプレイスにはパートナーが何社あるのかコメントを求めたところ、NBCユニバーサルからは回答がなかった。
まずは提供されるものが何なのかを把握することが重要だ。
「具体的な提携先の情報は踏み込んだ話には不可欠であり、その情報があれば、各マーケターの現在ある関係先との整合性を確認できる」。そう話すのはケプラー・グループ(Kepler Group)でクライアントソシューションディレクターとメディアプランニングリーダーを務めるケビン・カーン氏だ。「サードパーティのセグメントは、プラットフォームやエクスチェンジで幅広く利用できる。そのシンジケートデータを、NBCUの根幹を支えるクロスデバイスグラフやユニファイドIDにマッチングできれば、さらに魅力が増す。その結果、提供されるデータを有意義に利用できるマーケターの幅が広がる」。
[原文:The Rundown: NBCUniversal’s first-party data platform keeps pace]
MAX WILLENS(翻訳:SI Japan、編集:猿渡さとみ)