「ネイティブアドのラベル表示」について、広告主とパブリッシャーは以前から「読者が広告と記事を区別できるよう十分配慮している」と主張してきた。だが、米連邦取引委員会(FTC)が、ネイティブアドに関するさらに厳しいガイドラインを発表したことから、一部の広告主とパブリッシャーは、これまでの慣行を見直さなければならない可能性がある。
一例を挙げると、FTCは「promoted(宣伝用)」や「promoted stories(宣伝記事)」というラベルに関して、消費者に誤解を与えかねないと難色を示していた。パブリッシャーに対して、「ad(広告)」または「sponsored advertising content(スポンサード広告コンテンツ)」といった言葉を使用すべきとしている。もしくは、「Promoted by [広告主の社名]」というように、ラベルへ広告主名を表記するのなら許容できるとした。だが、それでも多くのパブリッシャーには課題がたくさん残るはずだ。
「ネイティブアドのラベル表示」について、広告主とパブリッシャーは以前から「読者が広告と記事を区別できるよう十分配慮している」と主張してきた。だが、米連邦取引委員会(FTC)が、ネイティブアドに関するさらに厳しいガイドラインを発表したことから、一部の広告主とパブリッシャーは、これまでの慣行を見直さなければならない可能性がある。
一例を挙げると、FTCは「promoted(宣伝用)」や「promoted stories(宣伝記事)」というラベルに関して、消費者に誤解を与えかねないと難色を示していた。パブリッシャーに対して、「ad(広告)」または「sponsored advertising content(スポンサード広告コンテンツ)」といった言葉を使用すべきとしている。もしくは、「Promoted by [広告主の社名]」というように、ラベルへ広告主名を表記するのなら許容できるとした。だが、それでも多くのパブリッシャーには課題がたくさん残るはずだ。
広告データの追跡・分析を手がけるメディアレーダー(MediaRadar)のトッド・クリゼルマン共同創設者兼CEOによれば、広告のラベル表示方法やスポンサー名の視認性、ラベルの目立ち具合に関するFTCの新しいガイドラインを守っているパブリッシャーは、30%にとどまるという。そのうちの26%以上のサイトは、スポンサー企業名を挙げずにネイティブ広告を掲載している。クリゼルマン氏はこれを踏まえて、「大多数のパブリッシャーが、実際に今回の発表の影響を受けるだろう」と指摘する。
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ネイティブアド表記のばらつき
なにより、ラベル表示に「アド」という言葉を使用しているパブリッシャーは皆無といっていい。ネイティブ広告会社ナッジ(Nudge)がパブリッシャーのネイティブ広告63件を調べたところ、もっとも一般的な用語は「sponsored(スポンサード)」で12.7%が使用。「presented by(〜による提供)」が9.5%、「sponsor story(スポンサー記事)」または「sponsored story(スポンサー記事)」が7.9%だった。
「今回のガイドラインにもっとも抵触する可能性が高いのは、『アウトブレイン(Outbrain)』や『タブーラ(Taboola)』のようなコンテンツレコメンドエンジンだろう」と述べるのは、ネイティブ広告プラットフォーム企業、ポーラー(Polar)の創設者兼CEOのクナル・グプタ氏だ。「この2社は通常、『from around the Web(Webより)』と『recommended for you(あなたへのおすすめ)』というラベル表示で広告コンテンツを提供している」。
たとえば、タブーラのウィジェットは、「promoted」リンク、または「sponsored」リンクとラベル表示することが多い。同社の法務責任者であるシェリー・パイオフ次席法務顧問は、「業界標準の『AdChoices』アイコンによって、コンテンツが広告であることを示している」というが、「FTCの新しいガイドラインを踏まえ、現在の慣行を見直す」と語っていた。
一方、アウトブレインは、ウィジェットのラベル表示は、配信先のパブリッシャー次第だという。だが、社としては「Recommended by Outbrain(アウトブレインによるおすすめ)」と一文を加えるなど、ペイドリスティング枠であることをユーザーに明示してきたと述べる。
広告と分かるようにするには
ちなみに「ニューヨーク・ポスト」は、以下の画像のようなラベル表示が一般的であるため、調査が行われる可能性がある。
FTCは、「ニューヨーク・ポスト」のアウトブレイン枠に表示されているような「promoted stories」ラベルは誤解を招きかねないと述べている。
FTCは広告のラベルについて、明確に表現されているだけでなく、気づいてもらえるように(サイズや配置、色によって)十分目立っている必要があると述べている。SNS経由でネイティブ広告にたどり着くことも多いので、広告であることをしっかりと掲載ページに明示するよう求めているのだ。
「消費者は、さまざまな経路でネイティブ広告に行き着くため、そこへ繋がるリンクの周辺に、広告であることが目立つよう明示する方法が必要だ」と、FTCは述べている。
この目安に達していない可能性があるのが「BuzzFeed」だ。「BuzzFeed」のネイティブアドのページでは、広告主名に加えて「brand publisher(ブランド・パブリッシャー)」という表記がされている。
「BuzzFeed」のネイティブ広告では、「ブランド・パブリッシャー」と書かれるのみで、広告主によるスポンサード記事だと明記はされていない。
同様に、「コスモポリタン(Cosmopolitan)」に掲載された以下のネイティブ広告も、記事における広告主の役割を明記していない。執筆者名欄に「コスモポリタン+広告主の企業ロゴ」だけである。FTCは、このような「企業ロゴやブランド名だけで、テキストを使って企業名を明記していない」表記を避けるべきだとしている。
「コスモポリタン」の広告記事では、メディアタイトルと企業ロゴのみを表記。
さらに、外部リンクを読者がクリックして記事にアクセスする場合も、パブリッシャーは見出しの近くに広告であることを明記すべきという。「ネイティブアドの見出しの周辺に配置されていれば、消費者が気付いて理解する可能性が高い」と新ガイドラインには書かれている。
おそらく「エリート・デイリー(Elite Daily)」に掲載された、以下のネイティブ広告のような例を念頭に置いていたのかもしれない。このサイトでは、見出しと画像の下までスクロールダウンしないと、広告表示を確認できない。
FTCの推奨に反して、「エリート・デイリー」のネイティブ広告の表記は、見出しのはるか下にある。
「エリート・デイリー」のミゲル・バーガー=カルデロン最高戦略責任者(CSO)は、「スポンサードコンテンツを常に明確にラベル表示している」と主張している。前述のほかのパブリッシャーはコメントを避けたか、コメントを求めても今のところ回答はない。
Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)
Image via ThinkStock / Getty Images