「情報の黙示録」: BuzzFeed のG・シルバーマン氏、誤報・捏造を追い詰める

メディア業界は過去3カ月間、世界で起こった新型コロナウイルスのパンデミックを報じることに専念してきた。そしてこの数週間は、ジョージ・フロイド氏の死をめぐる抗議行動の報道へとシフトしてきた。どちらのテーマもニュースサイクルを独占し、その結果、間違った情報や偽ニュースがインターネットのあちこちに登場することとなった。

BuzzFeed Newsのメディア編集者であるクレイグ・シルバーマン氏は、「我々は、情報の黙示録とでもいうべき渦中にいる」と語る。

人間には情報処理を進めていく過程で、シルバーマン氏が言うところの、架空の信念や陰謀論を作り上げる傾向が自然に備わっている。しかし、そうした人間の自然な行動と、新しい技術やソーシャルプラットフォームから構成される、いままでと大きく異なるデジタル環境とが組み合わさって、火に油が注がれてしまったとシルバーマン氏はいう。

シルバーマン氏は、「よりオープンで、より分散した環境ができ、それが操作や悪用しやすい方法になる」と言い、さらに、政府や陰謀論を信じるコミュニティが、ほとんど費用をかけずに、いままでよりはるかに早く、多くの人々にリーチできる方法で、それを行うことができるようになったと付け加える。

これが、メディア業界で誤報や偽ニュースが大きな問題になると同時に、教育や公共の安全全体に関わる問題にもなる。

米DIGIDAYが毎週お届けしている番組「ザ・ニュー・ノーマル(The New Normal)」の最新エピソードでシルバーマン氏は、メディア業界やマーケティング業界で働く人々には、コンテンツの視点と金銭的視点の両方から、自分たちが情報サイクルにどのように寄与しているかを慎重に見ていく責任を負うと述べた。誤報ゲームで勝利する人々は、それでひと儲けをする人々だ。

シルバーマン氏はこう話す。「メディア業界や広告業界で働く人間の一人ひとりが、この環境下で力を与えられている。その力について……どこにお金を使い、どこに注意を向けるかについて考えることは、前向きなことであり、影響を与えることができることだ」。

「フェイクニュース」がよい用語でない理由

2016年以来、フェイクニュースという言葉は米国では強い政治的意味を持つようになり、世界のニュースや政治に関係ないニュースもまた、ときにその犠牲になってきた。シルバーマン氏は、前例のない世界的パンデミックが起こったことでプラスになる点をひとつ挙げるならば、公衆衛生に関わる問題であるため、人々がいままでになく誤報の問題に目を向けるようになったことだと述べる。

「『フェイクニュース』という用語は、ある程度無意味なものになった」とシルバーマン氏はいう。「これを政治的メッセージだと思っていた人にとって、良い目覚ましになる。彼らはいまや、新型コロナウイルスにまつわる誤報は、安全や衛生上の重大な問題につながりうると気づいたからだ。

新しいコードを使って誤報に対応

「フェイクニュース」という言葉そのものの評価が両極端に分かれたことを受け、シルバーマン氏のチームでは、100%真実であることが知られていない情報の識別を行うために異なるコードの使用をはじめたという。

  • 未確認(Unverified)は、その背後に情報筋の出処や証拠がない情報の分類に使われる。寄せられたクレームや、オリジナル記事を含まずに書かれた記事の特定にも役立つ。シルバーマン氏のチームによると、この情報は、健全な懐疑主義をもって扱われるべきものだという。
  • 誤解を招く(Misleading)は、動画や写真のキャプションの誤りのように、実際の出来事がコンテクストからはずれて描写されたときに使われる用語だ。さらに、人の目を欺く角度で撮影された画像や、都合の良いところだけをつまみ食いするような出来事の描写にも使われる、とシルバーマン氏はいう。
  • 偽(False)は、信頼できる情報筋もしくは明確な証拠が誤りであることを明らかにした情報に当てはめられる用語だ。まったく異なる時間や場所で撮影されたのに、現在のものである、もしくは違う場所であるかのように提示された画像や動画にも適用される。

大きすぎて対処できないプラットフォームの問題

各種プラットフォームが最初に登場したとき、オープンなソーシャルプラットフォームが情報共有にもたらしうる影響に関して、甘い部分がたくさんあったとシルバーマン氏はいう。現在、Facebookとそのプロプライエタリなメッセージジングアプリ、ワッツアップ(WhatsApp)がインターネット上での誤報の2大拡散源になっている。

シルバーマン氏は、これらのプラットフォームが、プラットフォーム上の偽ニュースによる問題の修正に関心を持ったのは良い兆しだという。しかし問題は、プラットフォーム上にはたくさんの人がいるが、運営企業自体にはマンパワーがなく、出回る偽情報の量を減らすのに大きなインパクトを与えることができないことだ。

「(各プラットフォームは)大勢の人々を雇用して、コンテンツの節度やセキュリティ、整合性をチェックしているが――本当に必要な人間の数を知っている人に言わせれば――ポリシーを適用して実際に有意義な対応をするには、4~5倍の人員が要るだろう」と、シルバーマン氏は指摘する。

陰謀論の温床となる両極端なメディアサイト

シルバーマン氏は「集団極性化と呼ばれる現象がある。同じ意見を持つ人間が多く集り、話し続ければ続けるほど、彼らの考えは極端な方向へ進む」という。そのせいで、非常に規模の大きい右翼メディアのエコシステムができあがり、それがやがてより極端な内容の投稿をするようになる。

右翼メディアは陰謀論の影響を受けやすい傾向があるが、これは左翼メディアでも同様に起こるとシルバーマン氏は話し、ワクチン反対運動について指摘した。政治的属性に関わらず、そうしたメディアサイトは偽情報だけを共有しているだけにとどまらず、未確認情報や誤解を招きうる情報を共有したり、他のニュースを世間に出回らせないようにするカウンタープログラムを生み出したりできると、シルバーマン氏は述べた。

Kayleigh Barber(原文 / 訳:ガリレオ)