科学分野のパブリッシャーであるフューチャリズム(Futurism)は、たった1枚の毛布を転機として新たな事業に乗り出した。昨年、同パブリッシャーはグラビティブランケット(Gravity Blanket)という商品を開発。不眠症や不安、注意欠陥過活動性障害(ADHD)などの症状を改善するため重みをもたせた毛布だ。
科学分野のパブリッシャーであるフューチャリズム(Futurism)は、たった1枚の毛布を転機として新たな事業に乗り出した。昨年、同パブリッシャーはグラビティブランケット(Gravity Blanket)という商品を開発。不眠症や不安、注意欠陥過活動性障害(ADHD)などの症状を改善するため重みをもたせた毛布だ。
この毛布はアメリカのTV番組グッドモーニングアメリカ(Good Morning America)でも取り上げられ6万5000枚を売り上げた。売上金額は1500万ドル(約16億円)にのぼるという。これを受けてフューチャリズムは、フューチャリズムプロダクツ(Futurism Products)という正社員6人と永続契約の契約社員2人による商品開発チームを立ち上げ、ほかの商品の開発に乗り出している。同チームによる最新の商品であるクリプトキャンドル(Crypto Candle)は、コインが溶けるとビットコインと引き換えられるというジョークギフトで、5月2日に発売された。フューチャリズムによると、具体的な内容は明かせないがほかにも3商品を開発中とのことだ。
大半のパブリッシャーは、収益を増やそうとするときには商品開発や販売よりもアフィリエイトを選ぶ。前者はリスクが高く、コストもかかるからだ。だが売れればその見返りははるかに大きい。フューチャリズムはそこに魅力を感じた。
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読者とともに商品開発
フューチャリズムプロダクツのプレジデントを務めるマイク・グリロ氏は「アフィリエイト事業を軌道に乗せるには、非常に大規模に手を広げる必要がある」と語り、次のように述べた。「当社には多くのオーディエンスがいる。彼らに直接販売したらどうだろうか? と考えた」。
どのような商品を開発すべきかを把握するため、フューチャリズムの商品チームは自社でもっとも業績をあげているエディトリアルコンテンツに着目した。なかでも注目したのが、リーチの多いFacebookの動画だ。同チームはこのデータをもとに商品の仮想コンセプトを作り、同社のFacebookグループ内のロイヤルユーザーや、同社のeメールニュースレターを大量購読している人たちに向けて、そのアイデアを投げかける。
そしてつぎにその商品のカスタマーを獲得するためのコストを算出する。もし商品のコスト効率が良いようであれば、同チームは物理的な試作品をいくつか作成し、社員と選ばれたオーディエンスとのあいだで共有する。
次に同チームは商品のための独立したウェブページを作成し、購入意欲がある人たちがeメールアドレスを含めて登録するかを観察する。もし興味を持ってもらえているようであれば、フューチャリズムはそのウェブページか、キックスターター(Kickstarter)を使って商品を市場に送り出す。
エディトリアルとの関係
商品の準備が整ったら、商品チームはエディトリアルコンテンツを作成し、フューチャリズムのオーディエンスに商品を紹介する。コンテンツは通常、文章による発表と動画コンテンツを組み合わせる形式だ。グリロ氏によるとこの両方の事業は独立して機能しているという。
「商品とエディトリアル間に、意義ある分離を設けるために、鋭意努力している」と、同氏は語る。
フューチャリズムがはじめて販売した商品、グラビティブランケットやアクセサリー商品は、フューチャリズムのブランドを冠していないが、今後の商品は同パブリッシャーのブランドと、より明確に結びつくことになりそうだ。
また、商品を世に送り出すのにキックスターターを使うべきかどうかについても議論が続いているという。キックスターターを使っているパブリッシャーはほかにもある。たとえばゴサミスト(Gothamist)はWNYCに買収されてから、ウェブサイトのリニューアルのために利用している。だが、キックスターターのコミュニケーション部門のシニアディレクターを務めるデイビッド・ギャラガー氏は「新商品の開発販売は非常に時間がかかる」ため、物理的な商品を世に送り出すためにキックスターターを使うパブリッシャーはあまり多くないと語った。
Max Willens(原文 / 訳:SI Japan)