Appleが(2023年9月公開予定の)「iOS 17」のアップデートでプライバシーとセキュリティの新機能を搭載すると発表したとき、パブリッシャーのなかには当初、エンゲージメント率を測定する能力に影響が出るのではないかと懸念した者がいた(とくに「iOS 15」のメールプライバシー保護機能によって、メール開封率が信頼できなくなった後ではなおさらだった)。
しかし、ニュースレターを中心にビジネスを展開してきた3社のパブリッシャーによると、少なくともそうした懸念はその後、和らいでいる。
「マーケターが直面している不透明さとは異なり、ニュースレターパブリッシャーの電子メール分析への影響は、うまくいけば、結局のところそれほど大きなものではない」と彼らは言う。なお、この件についてAppleの広報担当者にコメントを求めたが、すぐに回答は得られなかった。
ニュースレターパブリッシャーに影響はない
AppleのiOS 17アップデートは2023年7月にベータ版がリリース。それによると、URLからリンクトラッカーを自動的に削除し、メッセージやメール、Safariのプライベートブラウジングのリンクから個々のユーザーを追跡しないようにする機能が追加されている。マーケターのなかには、URLパラメータの削除によってキャンペーン分析の信頼性が低下することを懸念する者がいるが、フロントオフィススポーツ(Front Office Sports)、ザ・ジスト(The Gist)、インダストリーダイブ(Industry Dive)の幹部は、米DIGIDAYの取材に対し、「クリックスルー率やそのほかのメール分析に影響はないと考えている」と語った。
パブリッシャーやブランドの電子メール戦略を支援しているコンサルタント企業インボックスコレクティブ(Inbox Collective)のダン・オシンスキー氏は電子メールで、「ニュースレターパブリッシャーには実質、何の影響もない」と書いている。
今回のアップデートで、UTMと呼ばれるメール内のURLからクリック元を追跡するためのコードが削除されることはないだろう。これはオシンスキー氏が変更点を調査し、独自のテストを実施したメールサービスプロバイダーやベンダーにインタビューした結果の結論だ。UTMはURLに追加され、ユーザーがリンクをクリックすると、目的のWebサイトに移動する前にメールチンプ(Mailchimp)のようなメールサービスプロバイダーを通じて、クリックのログを取るために短時間リダイレクトされる。
メディアビジネスは、トラフィックがどこから来ているかを追跡し、オーディエンスをよりよく理解する方法として、UTMリファラルを利用している。
特別な変化はないとの声
フロントオフィススポーツ、ザ・ジスト、インダストリーダイブの幹部はDIGIDAYに対し、「Appleの迫りつつあるアップデートにはほとんど動揺していない」と語った。ユーザー識別を目的にURLに追加データを追加する一部のマーケターとは対照的に、彼らは電子メールから自社サイトへのクリックを追跡するためにUTMを使用しているためだ(これらの識別パラメータは、多くの場合、Cookieと結び付いており、FacebookやGoogleなどのプラットフォームから、広告主がニュースレターのリンクをクリックしたユーザーが後に自社のWebサイトで何かを購入したかどうかを確認できるよう、Webアクティビティを追跡する)。
Appleが(2023年9月公開予定の)「iOS 17」のアップデートでプライバシーとセキュリティの新機能を搭載すると発表したとき、パブリッシャーのなかには当初、エンゲージメント率を測定する能力に影響が出るのではないかと懸念した者がいた(とくに「iOS 15」のメールプライバシー保護機能によって、メール開封率が信頼できなくなった後ではなおさらだった)。
しかし、ニュースレターを中心にビジネスを展開してきた3社のパブリッシャーによると、少なくともそうした懸念はその後、和らいでいる。
「マーケターが直面している不透明さとは異なり、ニュースレターパブリッシャーの電子メール分析への影響は、うまくいけば、結局のところそれほど大きなものではない」と彼らは言う。なお、この件についてAppleの広報担当者にコメントを求めたが、すぐに回答は得られなかった。
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ニュースレターパブリッシャーに影響はない
AppleのiOS 17アップデートは2023年7月にベータ版がリリース。それによると、URLからリンクトラッカーを自動的に削除し、メッセージやメール、Safariのプライベートブラウジングのリンクから個々のユーザーを追跡しないようにする機能が追加されている。マーケターのなかには、URLパラメータの削除によってキャンペーン分析の信頼性が低下することを懸念する者がいるが、フロントオフィススポーツ(Front Office Sports)、ザ・ジスト(The Gist)、インダストリーダイブ(Industry Dive)の幹部は、米DIGIDAYの取材に対し、「クリックスルー率やそのほかのメール分析に影響はないと考えている」と語った。
パブリッシャーやブランドの電子メール戦略を支援しているコンサルタント企業インボックスコレクティブ(Inbox Collective)のダン・オシンスキー氏は電子メールで、「ニュースレターパブリッシャーには実質、何の影響もない」と書いている。
今回のアップデートで、UTMと呼ばれるメール内のURLからクリック元を追跡するためのコードが削除されることはないだろう。これはオシンスキー氏が変更点を調査し、独自のテストを実施したメールサービスプロバイダーやベンダーにインタビューした結果の結論だ。UTMはURLに追加され、ユーザーがリンクをクリックすると、目的のWebサイトに移動する前にメールチンプ(Mailchimp)のようなメールサービスプロバイダーを通じて、クリックのログを取るために短時間リダイレクトされる。
メディアビジネスは、トラフィックがどこから来ているかを追跡し、オーディエンスをよりよく理解する方法として、UTMリファラルを利用している。
特別な変化はないとの声
フロントオフィススポーツ、ザ・ジスト、インダストリーダイブの幹部はDIGIDAYに対し、「Appleの迫りつつあるアップデートにはほとんど動揺していない」と語った。ユーザー識別を目的にURLに追加データを追加する一部のマーケターとは対照的に、彼らは電子メールから自社サイトへのクリックを追跡するためにUTMを使用しているためだ(これらの識別パラメータは、多くの場合、Cookieと結び付いており、FacebookやGoogleなどのプラットフォームから、広告主がニュースレターのリンクをクリックしたユーザーが後に自社のWebサイトで何かを購入したかどうかを確認できるよう、Webアクティビティを追跡する)。
インタビューに協力してくれた3社の幹部は誰も、iOS 17のアップデートについてAppleから直接連絡を受けておらず、何が起こるのかを判断するために、独自に調査しなければならなかったという。「我々は神経質になっていたが、少し和らいだ。S.O.Sを出しているという感じではない」とザ・ジストの共同創業者であるエレン・ハイスロップ氏は言う。
フロントオフィススポーツのオーディエンスオペレーションおよび分析担当バイスプレジデントであるエドガー・ウォーカー氏も、「心配はしていない」と語る。ウォーカー氏は「iOS 17はクリックトラッキングやユーザーエンゲージメントを根本的に変えるものではない」としたうえで、「UTMで電子メールからサイトに来た人々を追跡できることに変わりはない」と付け加える。
インダストリーダイブの共同創業者兼最高技術責任者(CTO)のイーライ・ディキンソン氏は、「我々がいつも行っていることと同じ方法でクリックを追跡できると確信している」と話す。
広告主が見ている場所とは?
「しかし、いまから9月までのあいだに状況が変わる可能性はある」とディキンソン氏は指摘する。実際に影響があるのは、Appleがメールプライバシー保護(MPP)のような機能を追加すると決めた場合だろう。これは、ユーザーに代わって電子メールを開封するもので、送信者はユーザーが実際に電子メールを開封したかどうかを知ることができない。
Appleが電子メール内のすべてのリンクを開く機能を追加したら、「それは確実に我々の指標に影響を与えるだろう」とディキンソン氏は言い、「ユーザーがニュースレターの購読を解除するためにクリックするようなリンクを開く機能が追加されれば、とくに厄介なことになるだろう」と言い添える。
ニュースレターパブリッシャーの幹部3人全員が、現状この機能がキャンペーンにどのような影響を与えるかについて、取引先の広告主から懸念の声は上がっていないと述べている。その理由のひとつとして幹部らは、「広告主は通常、キャンペーンの効果を測定するのにクリックスルー率ではなく、開封率やニュースレター購読者のコホートに頼っているからかもしれないからだ」と語った。
[原文:Why some publishers don’t think Apple’s iOS17 update will impact their link tracking in newsletters]
Sara Guaglione(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:島田涼平)